里の家ファーム

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事実確認の廃止 メタまで変質するとは

2025年01月15日 | 社会・経済

事実確認の廃止 メタまで変質するとは

「東京新聞」社説 2025年1月15日

 フェイスブックやインスタグラムなどを運営するSNSの世界最大手「Meta(メタ)」のザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が、投稿内容を巡る第三者機関によるファクトチェック(事実確認)を米国では廃止すると発表した。日本では継続するという。

 投稿規制を批判してきたトランプ次期大統領ら保守派に擦り寄った形だ。うそや中傷が放置されれば、だまされ、傷つく人が増え、陰謀論のまん延や社会の分断に拍車をかける可能性がある。事実確認は継続すべきである。

 メタがファクトチェックを導入したのは2016年12月。トランプ氏が1期目の大統領当選を決めた直後だった。対抗馬だったヒラリー・クリントン氏をおとしめる虚偽情報が広がったためだ。

 ロシアによるSNSを通じた選挙介入なども問題となり、投稿規制の強化が続けられてきた。21年1月の米連邦議会襲撃事件では、暴動をあおったトランプ氏の利用を停止し、関係は悪化した。

 しかし、トランプ氏の返り咲きが決まると、ザッカーバーグ氏はトランプ氏への巨額の寄付を表明し、関係改善に転じた。市場独占を問題視して厳しい姿勢をとってきた民主党政権への反発と、権力に接近して市場での優越性を維持したい思惑が透けて見える。

 いちはやくトランプ氏に取り入った実業家マスク氏が保有するSNSのX(旧ツイッター)では、すでに虚偽情報や差別的な投稿が急増している。

 ザッカーバーグ氏は事実確認停止について、第三者機関が「政治的に偏りすぎた」と説明したが、米オハイオ州立大によると、虚偽情報は保守派が流布する傾向にあり、第三者の事実確認は当然だ。昨年の大統領選で「移民が米国民のペットを食べている」とのうそを拡散したのも保守派だった。

 ザッカーバーグ氏は、選挙結果をゆがめるほど虚偽情報が広がり社会を分断した経緯を直視すべきだ。SNSはもはや言論空間を支配し、人々の暮らしや社会に大きな影響を与える存在である。その重い責任から逃れてはならない。


Xやフェイスブック・インスタグラはもうやめるべき時に来たように思う。


フードシステムがもたらす多重危機 地域の多様で自由な種を守る元年に

2025年01月14日 | 自然・農業・環境問題
 

OKシードプロジェクト事務局長・印鑰智哉

 気候危機や生物大量絶滅危機が想定を超えて進みつつある。これらの多重危機の同時進行は深刻な食料危機を生み出すことは確実だ。異常気象のために実をつけなかった作物が増え、病虫害もこれまでとは違う規模で発生する可能性が高くなる上に、自然災害は激甚化し、農業生産は大きな影響を受けざるをえないからだ。それに伴い社会紛争も頻発することが懸念される。これらの多重危機を緩和するためにも食料を保障することは最大の優先順位に置かなければならないことだが、現在の日本の政治はその真逆が進行している。

食が多重危機の根本原因

 この多重危機を生み出してきた根本原因の一つは食のシステムにある。化石燃料を大量に使う化学肥料や農薬使用により成立する工業型農業が世界規模に進められた結果、土壌を損ない、土壌に蓄えられた炭素が空中に放出され、気候変動を加速し、土壌の土壌微生物、そして農薬によって多様な生命を死に追いやってきたからだ。

 この工業型農業はタネ・化学肥料・農薬の3点セットを特徴とする。タネが独占され、化学肥料を入れないと十分な収穫が得られないタネしか得られなくなれば、化学肥料は必須になってしまう。化学肥料を入れれば作物は微生物による防御を得られなくなり、農薬に頼らざるを得なくなる。土壌微生物の助力を失った作物は十分に水を得ることもできなくなるので、灌漑がなければ作物は育たなくなる。タネを奪われた農民は作物を育てるためには化学肥料や農薬を求め、市場論理に引き込まれ、灌漑施設を作ることができる権力者に従順になっていく。

 つまり農民が持つタネを奪い、化学肥料を必要とするタネを買わせることができれば、社会を征することができる。タネを握るものが世界を征すると言うが、まさに近代史はそのタネの覇権をめぐる闘いであった。遺伝子組み換え企業は世界の種子企業の買収を進め、その結果、遺伝子組み換え品種以外のタネを買えない地域が出現した。インドではモンサントが遺伝子組み換えコットンを持ち込み、インドの農家はモンサントのタネ以外のタネを入手することができなくなった。しかし、インドには適さず満足に実をつけなかった。借金をしてタネや農薬を買ったが収穫が得られなくなったために自殺に追い込まれる農民が30万人を超える悲劇が生まれた。

タネの決定権を取り戻す「タネの自由運動」

 インドでの悲劇が生まれる前に、バンダナ・シバ氏はこの事態を予測して1990年代から「タネの自由運動」を提唱し、在来品種のタネを集め、農民に貸し出せる仕組みを整備した。灌漑のない畑でもデシというインドの気候にあった在来種のコットンがその後、インド各地で復活していく。今、インドのオーガニックコットンは大きく成長しているが、まさにタネを守ることは農民の命を守ることでもある。

 バンダナ・シバ氏が提唱した「タネの自由運動」はその後、世界中に広まった。種子主権、つまり農民のタネの決定権がなければ、食料主権、食の決定権は存在しえない。種子企業に食のシステムを独占される社会は、民主的社会にはなりえない。タネの決定権は基本的人権を支える基盤となる権利なのだ。この権利はその後、国際社会がその重要性を認識し、国連で食料・農業遺伝資源条約や小農および地方で働く人びとの権利宣言においても明記されることになる。多様な在来種を守るシードバンクは世界各地に急速に広まっている。

タネをグローバリゼーションに委ねる日本政府

 一方、日本はどうだろうか? 日本政府は種子メジャー企業が作った国際条約機構UPOVに1982年に加盟を決め、1998年には知的財産権を農民の種子の権利に優越させるUPOV1991年条約を批准し、タネの企業による私物化にいち早く舵を切った。2020年には世界でもっとも種子企業に都合のいい改正を行ってしまった。

 

印鑰氏の近著『日本の種苗政策とUPOV』(A4版、36㌻)

 この政策の下で、この約30年間にわたり、日本の種子のグローバリゼーションは大幅に進んだ。国内でタネを採る代わりに海外で安く採り、国内外で高く売ることが可能な大きな種子企業は少数残るが、地域の農業を支えてきた地域の小さな種子企業は次々と姿を消している。国内での種採り農家も急激に減少した。

 世界の多くの国や地方自治体が地域の在来種の保護を進める政策や法・条例などの整備を進める中、日本政府にはその意志が皆無であり、その結果、他国にタネを依存する国になってしまった。野菜では種子の9割が海外生産となっている一方で外国企業の日本進出が進み、日本で登録される新品種の4割近くを外国企業が占めるようになった。

 在来種のタネの保護には政府も地方自治体も関心を持たず、多数の在来種を集めていた広島県農業ジーンバンクも廃止され、各地で在来種を自力で守ってきた農家も消えつつあり、貴重な生きた遺伝資源が日本から急速に消滅しつつある。

 この政策によって、日本の食のシステムは輸入に強く依存した脆弱なものとなった。世界で貿易が止まったら2年で日本は人口の6割にあたる7000万人が餓死し、世界で餓死する人の3人に1人は日本居住者になると米国の研究は指摘する。このような指摘を受けて、日本政府はその政策の変更を検討するだろうか?

改訂食料・農業・農村基本法でもグローバリゼーション強化

 昨年、農業の憲法とも言われる食料・農業・農村基本法が25年ぶりに改訂された。しかし、そこでも外国での新たなタネの産地の獲得のために予算が確保されるだけで、国内にタネ採り基盤を作る施策は皆無で、むしろタネのグローバリゼーションをさらに強化する内容となっている。

 日本政府は「みどりの食料システム戦略」で2050年までに有機農業の割合を25%にまで引き上げる(現在は約0・6%)ことを目標に掲げた。当然ながら有機農業には有機のタネが必要となる。しかし、日本は国も地方自治体も有機のタネを作っていない(例外的に滋賀県が試み始めている)。野口種苗など数少ない在来種の種苗を手掛ける団体がわずかな種苗農家といっしょに有機農業に適した種苗を手掛けているが、その市場規模はわずかなものであり、しかも種採り農家の高齢化という現状の中で、到底、25%に拡大する余力はない。拡大させるためには種採り農家の養成支援など政策的支援が不可欠だ。でも、「みどりの食料システム戦略」にはそのことは一言も書かれていない。戦略に書かれているのは「ゲノム編集」を使って、官民一体で新品種を作るという構想だが、そんなタネは地域の循環型農業では使い物にならず、有機農業では当然排除されなければならず、こんな戦略では有機農業はすぐに立ちゆかなくなること必至である。

 日本は世界で唯一「ゲノム編集」食品がスーパーで売られている「ゲノム編集」に前のめりの国だが、それがさらに今後、強化されようとしている。

 

お米を重イオンビーム放射線育種品種に

稲刈りを控えた秋田県の水田

 中でも近年の農水省の方針でもっとも問題だと思われることが重イオンビーム放射線によって遺伝子を損なった稲を日本の主力品種としようとすることである。

 2025年から秋田県は県の7割以上を占める「あきたこまち」を「あきたこまちR」に全量転換する。この「あきたこまちR」は重イオンビーム放射線によってカドミウムを吸う遺伝子の一部を破壊した「コシヒカリ環1号」の遺伝子を受け継ぐ。

 この重イオンビーム放射線育種によって作られた稲にはさまざまな問題が指摘されているが、ここではその一つを指摘しておきたい。壊された遺伝子OsNramp5はカドミウムを吸収する上で機能することがわかっているが、この一部を破壊することで必須ミネラルのマンガンも3分の1未満になってしまうことがわかっている。

 マンガンは、光合成をする上でも、また植物の免疫の中核となるファイトケミカルを作る上でも不可欠な役割を果たす。マンガン不足の水田で出穂期に高温が続くと、光合成に問題が生じて、収穫が2割~3割減ることが指摘されている。また、病原菌や害虫に影響を受けやすく、開発した農研機構もごま葉枯れ病になりやすいことを認めている。つまり元の品種よりも、遺伝子を操作することで、高温にはさらに弱く、病気になりやすい、収穫も減る危険がある品種になっているのだ。

 農水省は2030年までに「コシヒカリ環1号」系品種を5割の都道府県に導入することを目標に掲げている。内閣府食品安全委員会は2023年12月にカドミウムが健康被害に大きな影響を与える可能性は低いと断じているにも関わらず、すべての品種が置き換えられようとしている。

2025年は種子主権の元年に

 タネなくして食はなく、食がなければ社会も存在しえない。タネはこの多重危機を切り抜けるための鍵である。しかし、日本の政治ではタネは無視し続けられている。それに加え、世界最大の遺伝子組み換え企業バイエルが「ゲノム編集」作物の販売に2025年から本格的に乗り出そうとしている。日本が実質唯一自給できるタネは米だが、その米も重イオンビーム放射線育種米が増えるのを止められなければ、やがてそれらは「ゲノム編集」米に代わっていくだろう。このままでは多重危機に対処できる生命力のあるタネは日本では得られなくなる。

 この流れを変えるためには地域にまだ存在する多様なタネを守り、種採りを支援する体制を構築することが不可欠な課題となる。条例などで在来種を守り、それを学校給食や病院などで生かす仕組みを地域で作り出すことが有効な対抗策となりうる。自由なタネが失われようとしている今、その意味を再認識して、多重危機を克服できる頑丈な地域の食のシステムを構築する必要がある。2025年をそんな動きを開始する元年としたい。


本文中に出てくる野口種苗。https://noguchiseed.com/hanbai/
大規模農家向けではないのでぜひ小口からご利用いただきたいと思います。
わたしも毎年利用し、また自家採取もしております。
市販されている種はほとんどが種をまいてもその性質にはならないF1品種です。
作物は育った土・気候によってそれぞれの性質を種に残します。


成人の日に考える 未来を「築く」人たちへ

2025年01月13日 | 社会・経済

「東京新聞」社説 2025年1月13日

 観測史上最高の暑さになった昨年の夏、北海道から九州まで、中学生から29歳の若者たち16人が、大手電力事業者10社に対し、地球温暖化の要因となる二酸化炭素(CO2)の排出削減を求めて、名古屋地裁に提訴しました。「明日を生きるための若者気候訴訟」と銘打って。

 「産業革命後の世界の平均気温の上昇を1・5度までに抑える」-。国連が国際社会に求める世界共通の目標です。さもなくば異常気象が激化して、何が起きるかわかりません。

 訴状などによると、被告10社が日本のエネルギー関連のCO2排出量に占める割合は約3割に達するのに、排出量が多く国際社会では廃止の流れにある石炭火力をこの先も長く使い続けようとしているなど、対策が不十分-というのが「明日を生きる若者」たちの主張です。このままでは深刻さが加速する気候危機を回避できない。国連が示す1・5度目標実現への道筋に沿い、すみやかにCO2を減らして、と訴えているのです。

 原告の一人、九州大学土木工学科3年の高田陽平さん(21)=福岡市=が気候問題に関心を持ったのは高校2年の時、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんのスピーチを動画投稿サイトのユーチューブで見たのがきっかけでした。

 2018年の暮れにポーランドで開かれた国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)。当時15歳だったグレタさんは、居並ぶ世界のリーダーたちに、次のように訴えました。

 「例えば2078年に、私は75歳の誕生日を迎えます。その時私の子どもや孫たちが一緒に過ごしていれば、彼らは今のあなた方について、私に尋ねるかもしれません。まだ行動できる時間があるうちに、なぜ何もしてくれなかったのだろうかと」

◆今できることをする

 同年代のグレタさんが抱く危機感と未来へのまなざしに共感し、高田さんは複数の環境NGOに関わって気候危機の実相を学び、訴える活動を始めます。昨年11月には、アゼルバイジャンで開かれたCOP29にも参加しました。

 「正直、訴訟の当事者になることに抵抗感がなかったわけではありません。でも『自分なんかがいくら動いても、世界は何も変わらないよ』とあきらめてしまえば、結局被害を受けるのは自分自身ですからね。今できることを希望を持ってやっていこうと思っています」と、高田さんは話します。

 自らの将来に不安を感じ、政府や電力事業者に、要求を突きつけるだけではありません。原告の多くは「その次の世代」が生きる未来への責任感を口にします。

 高田さんは言いました。

 「今の小学生は、夏休みの天気のよい日に、外でのびのびと遊べない。まるで戦時のように警報に追い立てられたりしています。なぜこの子たちは…と、大人になったばかりの自分も責任を感じてしまうんです」

 大人とは、成人とは、未来を「壊す人」ではなく、自分自身とその次の世代がより良く暮らす環境を「築く人」、今できることをする人だと思うから

 「おかしいと声をあげた人の声は決して消えない。その声が、いつか誰かの力になる日がきっと来る」。24年度前期のNHK朝ドラ「虎に翼」のヒロイン、佐田寅(とも)子のセリフを思い出しました。

◆学びつつ、気づきつつ

 さて、新成人のみなさん、おめでとうございます。ことしも書家でタレントの矢野きよ実さんに、贈る言葉=写真(略)=をしたためていただきました。

 <後悔は持ち去る わたしが あなたよ輝け>

 「私たち世代が残した後悔は、私たちが持ち去ります。あなたたちは、自分と子孫の輝かしい未来のために、今、なすべきことをなしてほしい」と。

 大人としての成長の階段を今のぼっていくみなさんへ、「その前」を生きてきた世代から、自戒も込めたエールです。


新成人の皆様おめでとうございます。
今の社会、夢も希望も持てないような状態が続いています。
でも必ず変えることができます。
ぜひ、変える主体となって生きてほしいと思います。

こんなビデオ見つけてしまいました。
食料品の値上がりで給食を作る方たちも大変な状況です。

【国民の怒りを聞け💢】13才の中学生にこんな事言わせていいのか?大人は怒れよ!財務省前デモすら報道しない自由!暴挙に国民7割が拒否!【政治AI解説・口コミ】

園のようす。

今日は畑の納屋の雪降ろしです。

屋根からの1枚。
全部はできないので、ぐるりと雪庇になるところだけですが汗をかきました。

松の葉。

以下閲覧注意。(トガリネズミの亡骸です)

久しぶりにネズミ捕りにかかってしまいました。



世界気温最高 1.55度上昇 国連機関 24年 パリ協定目標初超過

2025年01月12日 | 自然・農業・環境問題

「しんぶん赤旗」2025年1月12日

EU気象機関「即時行動を」

 国連の世界気象機関(WMO)は10日、2024年の地球表面の平均気温が観測史上最高を更新し、産業革命前の水準を1・55度上回ったとの推計を発表しました。欧州連合(EU)の「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」も同日、24年の世界の平均気温は産業革命前と比べて1・60度上昇したと発表。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が気温上昇の抑制目標とする1・5度を、単年で初めて超えたと指摘しました。

 WMOは、欧米をはじめ複数の国際気象情報機関の観測データから算出。2015~24年が観測史上最も高温の期間だったとも報告。1850~1900年の平均気温との比較では、気温上昇は1・3度にとどまっているとの暫定的な見解を示しました。WMOのサウロ事務局長は、24年単年での抑制目標の超過は「パリ協定の目標達成の失敗を意味しない」と強調しました。

 C3Sは気温上昇の主要原因について、化石燃料を使用した暖房や産業活動、交通機関から排出される温室効果ガスにあると指摘。23~24年は、太平洋赤道域から南米沿岸にかけて海面水温が上昇するエルニーニョ現象も影響したとみています。

 C3Sのバージェス副所長はドイツの国際公共放送ドイチェ・ウェレに対し、世界はパリ協定を投げ捨てるべきではなく、今すぐ行動しなければ長期的に世界の平均気温を1・5度以内に抑えられないと指摘。「将来の気候危機と現在進行形の異常気象に対処するために、(選挙で)私たちが投票する候補者がこの重要問題に取り組むのかを確かめなければいけない」と訴えました。


まさに喫緊の課題だ。
「戦争」に向けて力を注ぐ政権より、「平和」を掲げる政権を誕生させることだ。
日本も、世界も、地球に住む一族として。


教職員未配置4739人 教育受ける権利侵害 全教調査

2025年01月11日 | 教育・学校

「しんぶん赤旗」2025年1月10日

昨年5月の1.38倍

 全教は9日、休職した教職員の欠員補充ができないなど、教職員数が本来必要な数に達していない「未配置」の実態調査結果を発表しました。34都道府県・11政令市で4739人に上り、昨年5月時点から1・38倍に増加。対応する教職員の負担が増えるとともに、少人数学級見送りや教科外の教職員による指導など、子どもたちの教育を受ける権利が侵害されている深刻な実態を明らかにしました。

 調査は昨年10月1日時点の未配置数を集約。小学校2248人、中学校1304人、高校385人、特別支援学校512人など。産育休代替の欠員が887人で最も多く、定数の欠員が877人、病休代替の欠員が735人と続いています。

 対応としては、「非常勤等で対応」が59・2%、「見つからないまま」が39・3%、「他校からの兼務」が0・8%など。

 影響は「美術の担任の産休代替が見つからず、美術の授業をカットするなど学習進度などがむちゃくちゃになっている」(中学校)、「校長や教頭まで授業を持っている」(義務制)、「ドミノ式に病休者が出てくる」(高校)、「4月から今(10月時点)も担任不在で、交代で教職員が対応しているために子どもが落ち着かない」(小学校)など。

 板橋由太朗中央執行委員は、未配置対応について「既に長時間過密労働に置かれている教職員の負担を増大させ、労働環境悪化が懸念される。子どもたちにとっても教育を受ける権利が侵害され、学校生活そのものや心的不安などにも影響している」と指摘。教職員を増やし、少人数学級化を図ることで校務分掌など1人あたりの業務量削減こそ行うべきだと強調しました。

 未配置や長時間過密労働の解消に向けて、定時に帰れる職場の実現を求める「全国一斉定時アクション」を15日に実施することを発表しました。

⁂     ⁂     ⁂

こちら経済部

消えた「内部留保」

「しんぶん赤旗」2025年1月11日

 自民・公明が年末に決定する「与党税制改正大綱」は翌年度以降の税制の方向性を決める文書です。昨年度の大綱は、法人税減税で「内部留保を活用して投資拡大や賃上げに取り組むことが期待された」が、かなわず、内部留保が「GDP(国内総生産)に匹敵する水準まで増加」したことを取り上げ、「法人税改革は意図した成果を上げてこなかった」と述べました。

 この記述は、アベノミクスの税制面での破綻を吐露したものだと話題になり、日本共産党も国会質疑などで引用し、政府・自民党を追及してきました。

 今年度の大綱も昨年度と同様に「法人税改革は意図した成果を上げてこなかった」と述べるものの、「内部留保」という表現がなくなっています。

 もしかしたら追及されるのが嫌で消したのかもしれません。それだけに、“内部留保の活用で賃上げや下請け待遇改善を”という政策が的を射ていると感じるのです。(清水)


どんどんGDPが下がる中で内部留保が大きく「成長」しています。
これを切り崩し、教員の増員を図り、全労働者の賃上げに廻せばよいだけの話です。


狂乱化が止まらぬ米国トランプから“最初の被害”を受ける国 日本の石破政権が真っ先に「沈没」か?

2025年01月10日 | 社会・経済

MAG2ニュース2025.01.07

 by 高野孟『高野孟のTHE JOURNAL』

初っ端に沈没するのは石破政権か。トランプに撹乱される2025年の国際社会

2025年は、1月20日のトランプ米大統領就任で事実上、幕が明ける。放言癖・虚言癖は相変わらずだが、8年前と比べると認知障害、妄想性障害が一段と亢進しているようで(本誌No.1289参照)、今なお最大の経済大国であり史上最強の軍事帝国でもある国の最高指導者がそんな風であるという前代未聞の事態にどう対処すべきか、全世界に困惑が広がっている。

鉄鋼市場ではすでに二流か三流国に成り下がっている米国

実際、トランプの発言はますます思いつき的な短絡性を強めていて、その場はそれでいいとしても後の落とし所も何もないといった、本当の言いっ放しの無責任が目立つようになった。

日本製鉄が約150億ドルでUSスチール買収するという取引を阻止しようとしている一件がその典型で、トランプは12月2日に自身のSNSで「かつて偉大で強力だったUSスチールが外国企業に買収されることに全面的に反対だ」「買収者は(暗い夜道に、という意味なら脅迫に当たるが?)気を付けろ!」と喚き、その言葉の激しさに釣られたのかバイデン現大統領も、改めて反対を表明した。

それに対し当のUSスチールは12月27日に声明を出し、「日本製鉄による買収は中国の脅威に対抗し、米国の鉄鋼業が競争力を強化できる唯一の手段だ。買収が不成立なら喜ぶのは〔買収に反対している〕全米鉄鋼労組と北京だけだ」と強く反論した。

いくらトランプが凄んだところで、2023年の世界の粗鋼生産ランキングを見れば、ダントツのトップは中国宝武鉄鋼集団(13077万トン)、2位がルクセンブルクのアルセロール・ミッタル(6852)。4位に日本製鉄(4366)、7位に韓国のPOSCO(3844)、10位にインドのタタ製鉄(2950)は入るが、10位以内の残り5社は全て中国。つまりトップ10の6社までもが中国企業なのである。

さらに11位から50位までを見ても、40社中21社が中国企業で、米国企業はといえばその間にようやく、15位ニューコア(2120)、22位クリーブランド・クリフス(1727)、24位USスチール(1517)が入ってくるという有様で、つまりは米国は世界の鉄鋼市場ではとっくに二流国か三流国に成り下がっているのである。

単純な事実を理解できぬ人物を大統領に選んでしまった米国民

国別の粗鋼生産量をみても、中国(1位)・インド(2位)・ロシア(7位)・ブラジル(11位)のBRICs4カ国合計は、G7のいわゆる旧先進7カ国合計の5.0倍。BRICS加盟国のイラン(12位)・エジプト(20位)・サウジアラビア(22位)・南アフリカ(34位)・UAE(41位)まで加えてBRICS9カ国合計とすればG7の5.3倍である。

これだけを見ても、トランプが「〔暗い夜道に?〕気をつけろ」と言っても、それで恐れ入るような世界ではなくなっているのに、ご本人だけがそのことに気付いていない「裸の王様」状態であることがよく分かるだろう。

それでも買収を阻止するというなら、USスチール社はそれが中国の脅威から米国の鉄鋼業を守る「唯一の手段だ」と言い切っているのだから、トランプは「いや、こうすればUSスチールと米鉄鋼業は守ることができる」と代替案を示さなけれならないが、そんなものは持ち合わせていない。

つまり「米国第一」というのは中身のない、単なる「掛け声」あるいはお祭りの「わっしょい」のような囃し言葉であって、それだけでは米国が再び「偉大」になることはあり得ない。

トランプが主張する「関税乱発」策も同じ問題の構造で、中国に対する追加関税60%とかメキシコの自動車に200%以上とかを実施すれば、確かにその分、輸入には歯止めはかかるだろうが、だからと言ってすぐに国内でそれを穴埋めするだけの製造業が育ってくるはずもなく、困るのは米国の企業や消費者である。代替策の用意なしに目先の出る杭を打って見せるだけではそうなるに決まっている。

フランスの皮肉屋の文明批評家=エマニュエル・トッドが『帝国以後』(藤原書店、2003年刊)で、

経済制裁や金融フロー中断の脅しは、もちろん世界経済にとって破滅的には違いないが、それでまず最初に打撃を受けるのは、あらゆる種類の供給について世界に依存している米国自身なのだ。

と喝破したが、それから20年経ってもまだこの単純な事実を理解できない程度の人物を大統領に選んでしまうのが米国民である。

トランプの戯言に過ぎないグリーンランド買い取り案

トランプが

デンマークの自治領グリーランドの買い取り

カナダを米国の51番目の州への編入

パナマ運河の管轄権復活

などを言い出していることも、彼の認知障害・妄想性障害が相当悪化して狂気に近づきつつあることの現れと考えて差し支えない。

グリーランドについて最初に口にしたのは、第1期途中の2019年のことで、これにはデンマーク首相が強く反発、予定されていたトランプのデンマーク訪問が中止となる騒ぎとなった。

その時は、彼の関心は石炭や亜鉛、銅、鉄鋼などの天然資源にあると報じられたが、今回はそれよりも「国家安全保障と世界の自由のために、米国はグリーンランドの所有と管理が絶対的に必要」と強調している。

これに関連して、12月26日付の毎日新聞に「ロンドン篠田航一」署名の記事があり、「米ニュースサイト『ポリティカ』によると、仮にロシアが米側に向けて核ミサイルを発射した場合、グリーンランド上空を通る可能性が高い」ことがトランプがここを欲しがる地政学的理由であると述べられているが、これには「あれれ?」と引っかかった。

この北極圏越しの米露ミサイル対決という問題は、私が『最新・世界地図の読み方』(講談社現代新書、1999年刊=絶版)などで盛んに論じてきたところで、大凡の地理関係は頭に入っている。

ロシアの陸上固定のICBM基地の多くがあるとされる東経100度以東の東シベリアのどこかから西経75~80度のニューヨークやワシントンDCに向け北極点越しに発射した場合は、グリーンランドの端っこを掠めるかもしれないが「上空を通る」という感じにはならない。

それにそもそも、ICBMは偵察衛星の目に晒される陸上発射よりも、衛星からは探知不能な潜水艦からの海中発射が重視されるようになっているはずで、その場合はグリーランドは地理的には全く関係がない。

それでも、もしかするとポリティカに「上空を通る」という記述があるのかと探求したが、すでに削除されたのか、そのような記事は見つからなかった。

確かに、米国はグリーンランド西岸に1950年代から「ピツフィク空軍(現在は宇宙軍)基地」を保有していて、それは北極圏空域の監視に役立ってはいるのだろうけれども、その機能に何らかの障害が生じ、グリーランドそのものを米国が買い取らなければそれを克服できないほどの重大事情が発生しているという話は皆無。

詰まるところこの主張は、トランプの不動産屋的な地上げ屋感覚に基づく単なる戯言に過ぎず、マスコミがそれに何か重大な地政学的根拠があるかのように論じてバックアップしてやる必要などどこにもありはしない。トランプに対して「バカ言ってんじゃね~よ!」と切って捨てればいいのである。

にも関わらず、この篠田さんという方は、毎日新聞ロンドン支局長らしいのだが、こういうあやふや記事を書き、トランプが何か世界にとって意味のあることを言っているかのような幻想を拡散する役目を果たしている。地政学的な話をする場合は、せめて初歩的な動作として、関連する地図(図1、2参照)を眺めてから記事を書いた方がいいんじゃないでしょうか。

内閣の寿命を余計に縮めることになるかもしれない石破首相

このようなトランプの狂乱化に対して、欧州やロシア、中国など各国は、適当に躱(かわ)したり去(い)なしたりしながら、出来るだけまともにぶつかり合うことのないよう大人の付き合いをしようとするだろうが、石破茂首相は本来の性格が真面目すぎることに加えて、「米国は盟主」だと思う冷戦時代の価値観から未だに自由になっていない(その証拠が彼の「アジア版NATO」と言う時代遅れの構想)ことから、そのように上手く立ち回れないかもしれない。

とりわけ、トランプからの誘いに応じて1月中旬に訪米して就任前の彼と会談するのは、かなり危険で、いきなりビーンボールを投げられて重傷を負う可能性がある。

トランプの流儀はシンプルで、1対1の駆け引きを重視し、相手に弱みがあると見れば一歩も二歩も遠慮なく踏み込んで得点を上げようとするだろう。その手に引っかからないようにするには、周到な準備と根回しが必要で、「就任前に会ってくれれるのなら喜んで飛んで行こう」などと軽々しい構えでいると、それでなくとも短いと予想されている内閣の寿命を余計に縮めることになるかもしれない。

憂鬱極まりない新年である。

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Xの利用停止相次ぐ

英国の大学

「しんぶん赤旗」2025年1月10日

 英国の大学や高等教育機関が相次いで、ソーシャルメディアプラットフォームのX(旧ツイッター)の利用を大幅に減らすか、完全にやめています。同国で昨年、人種差別的な暴動をあおる誤情報を拡散したためとしています。ロイター通信が8日、前日に実施した調査を伝えました。

 ロイターは計150を超える大学などのXのアカウントを調べ、この数カ月間ほとんど投稿がないか、全く投稿がない学校と連絡を取りました。

 世界屈指のビジネススクールのロンドン・ビジネス・スクール(LBS)が最後に投稿したのは昨年9月でした。

 ケンブリッジ大学は傘下の31カレッジのうち少なくとも7校がXへの投稿を停止しています。同大で学生数が最大のホマートン・カレッジは「このプラットフォームがますます有害になっていることを承知している。新たな代替手段を検証していく」と説明しました。

 オックスフォード大学のマートン・カレッジはXのアカウントを削除しました。

 Xは、トランプ次期米大統領の側近となった米実業家イーロン・マスク氏が率いています。


駅まで送ってきました。

良い天気になりました。
でもプラス氣温にはならなかったようです。


仁藤夢乃 2024年、少女たちの置かれた状況を振り返る ~進む低年齢化、さらには大学生や中高年にも広がる性売買

2025年01月09日 | 社会・経済

バカなフリして生きるのやめた

Imidas連載コラム 2025/01/09

性売買がより身近になった2024

 年が改まり2025年となった。思えば昨年も、すさまじい勢いで少女たちを取り巻く状況が悪化した1年だった。コロナ禍以降、少女や女性たちの貧困が深刻化するとともに、性売買業者の動きも活発化し、この数年間で性売買はより女性たちにとって身近なものとなっている。20年にはお笑い芸人がラジオ番組の中で「コロナが収束したら美人さんが風俗嬢をやります」「なぜなら短時間でお金を稼がないと苦しいから」というような内容の発言をして批判されたが、以降の日本の若年女性を取り巻く環境は、このお笑い芸人の予想以上に深刻化している。

 世界屈指の性売買スポットとして知られるようになった東京都新宿区の大久保公園周辺や、家出少女の集まる「トー横」(新宿東宝ビル横の広場)等、新宿・歌舞伎町に集まる少女たちの低年齢化が進み、私たちが活動を通して出会う中にも12~14歳くらいの年齢の少女たちが増えている。そして、彼女たちにとって身体を売って宿や生活費を確保するのは当然のこととなっている。

 しかし、性売買は少女の中でだけ広がっているのではなく、大久保公園周辺では幅広い年齢の女性たちが身体を売っている。10代や20代が中心だが、50代以上の女性たちも増えている。これまで性売買に関わる少女や女性たちは、虐待から逃れるために家を出た先で性搾取の被害に遭ってきた人が多かった。が、コロナ禍以降は、家族との関係は良好でも、生活が苦しく、学費や生活費のために身体を売っている学生や、会社員としての収入だけでは生活できないという女性、生活が困窮した中年女性が性売買することが増えた。そのことが性売買のそばにいる少女たちに与える影響も大きい。

平気そうに振る舞う子どもたち

 コロナ前、Colabo(コラボ)とつながる少女たちの中には、性売買せざるを得ない状況に置かれていることに「なんで私だけこんな思いをしなければならないのだろう」「なんで友達が学校に行ったりカフェでお茶している間に自分はおじさんと性行為をしなければならないのか」「こんな生活は本当はしたくない。自分の家、暮らせる場所が欲しい」と涙を流す人が多くいた。彼女たちの多くは10代後半だった。

 しかし、それから数年が経ち、性売買が女性たちにとってより身近なものとなった今、中学生以下の年齢で性売買を始めた少女たちの多くは、そのように思うことすらできない状況にある。親が頼りにならなかったり、生活が苦しかったりする時に身体を売るのは当たり前になっていて、「周りもみんなやっている」という状況があるので、「なんで私だけ」と思うこともない。

 そこには深い諦めがあり、自分がそういう生活をしなければならないのも仕方ないこと、というより当然のことなんだと思わされている人が多い。他に選択肢も用意されていない中で、そうすることを自分で選んだと思わされている子がものすごく増えている。「うち、今の生活に困ってないよ」「私にできること、このくらいしかないし」「みんなもやってるし」と、彼女たちは「平気」そうに話す。

 だけど、彼女たちが傷ついていないわけではない。腕はリストカットの傷あとだらけ、自殺未遂を繰り返し、死にたい気持ちを抱えながら、こんな社会や大人への諦めのその先を生きている。「こんなこと何でもない」というように振る舞うことで、自分を保とうとしている。自分の痛みに気づかないふりをしていないといられないほどの状況なのだ。

性売買が身近になった理由について

 どうしてこれだけ性売買が身近なものになったのか。それは、女性や子どもたちのせいではない。女性たちを性売買に誘導する社会の構造から目を背け、経済的支援や生活支援を含めた脱性売買支援を行わない政治や行政、少女や女性たちに責任があるかのように「援助交際」「売春問題」「立ちんぼ問題」などという差別的表現を平然と使って問題を覆い隠してきたメディア、それらに疑問を抱くこともなく受け入れてきた市民の意識が下支えしてきたからだ。

 先日、ホストクラブのがさ入れ(捜索差押)で、ホスト向けに店が作成したマニュアルが見つかったと報じられた。そこには、日中は会社員や学生をしていて夜の街に慣れていない女性たちをいかに取り込み、「彼氏」になる(ふりをする)ことで女性をはめ、多額の金を巻き上げるため消費者金融や風俗店、売春へと斡旋していく手口がまとめられていたそうだ。こうした手口は十数年にわたって続いてきたが、問題とされてこなかった。

 そしてコロナ禍以降、業者が「一般」の女性を狙う手口は成功し、性売買を一般化することに成功した。それによって多くの「一般男性」たちが買春という利益を享受し、その経験を共有している。

 今、ホストや性搾取の問題が注目されつつあるのは、性売買がこれまでのような頼れる家族がおらず、学歴もなく、児童福祉や教育からもこぼれ落ちた女性だけでなく、「一般」の女性たちにも広がってきたためだ。被害女性の親や家族が自分ごととして、「うちの娘がそんな目に遭うなんて」と行政や警察に相談したから問題視されたのである。従来、頼れる親も家族もいない女性たちは、被害を訴えてもまともに取り合ってもらえず、そもそも相談することすらできないまま「ないもの」とされてきた。

 結局、この社会では性売買から「女性を守る」といっても、それは人権擁護や尊厳の遵守に基づくものではなく、結局は「うちの娘が」的な誰かの所有物としての保護に尽きるのだろう。そのことにも私は憤りを覚える。

堂々と女性を選び買っていく買春者

 昨年1年間で特に変わったと感じるのが、買春男たちの堂々とした姿だ。大久保公園の周辺では買春者が常に50人ほど集まり、何周もしながら女性たちを「いくらかな」という様子で、舐め回すように見て、声をかけている。

 18年に私たちがバスカフェの活動を始めた頃は、私たちの姿を見ると、おどおどしたり、目をそらして逃げるように立ち去る男が多かったが、この2年間で女性支援団体が嘲笑の対象となり「おっ、仁藤さんじゃん。お疲れ様でーす」とニヤニヤ声をかけてくる男がいたり、「お前らなんて誰も守ってくれねえぞ」と言われたり、嫌がる女性にしつこくしている男を追い払おうとした時に暴力を振るわれることも増えた。

 私は10代の頃に家へ帰れず街をさまようようになってから、歌舞伎町の様子を20年間見続けてきたが、今、歌舞伎町には驚くほど多くの買春者が世界中から集まっている。英語圏をはじめ、中国語、タイ語、韓国語、それ以外の言葉を話す買春者もいる。自分たちの国ではできないが日本ではできる、しかも、円安で「安く」買えると知られているのだろう。

 日本に暮らす男性たちにとっても、これまで以上に買春は身近なものになっており、同僚や友人と、仕事や学校帰りにふらりと気軽に買いに来ている。「声かけて来いよ」「あの子がいいんじゃない?」などと言いながら、女性たちを見世物のように消費し、「いくら?」「ゴムなし、中出しはできる?」「3Pは?」などと女性たちに持ちかけ、買春経験を友人や同僚たちと恥ずかしげもなく、むしろ自慢げに共有している。風俗店が合法的に存在する日本では、これは今に始まったものではないのだろう。

 そういう大人たちの姿に影響されたらしき16、7歳くらいの少年たちが、3人組で女性たちを物色していることもあった。

女性を対象化し、消費する目線をどう変えるか

 性売買に関わる女性たちを「見に」来るのは、男性たちばかりではない。女子大学生や会社員風の女性が、大久保公園を見に来て「いい経験になりました」と話していたり、観光で来たという女子高生が友だちと一緒に大久保公園を「見物」し、「可愛い子がいるかチェックする」遊びをしていることもあった。これまで、そのような楽しみ方をするのは大学生から中高年の男性のグループが多かったが、この半年で変わってきた。

 親や彼氏が、少女たちが「売春」して生活しているのを知っているケースや、生活のために買春男と同居する少女や、18歳で買春者のおじさんと生活のために結婚する女性も増えている。そして、これは都会だけの話では決してない。同じ状況にある、地方に暮らす少女たちともColaboはつながっている。

 24年12月、大阪・梅田の路上が「立ちんぼ対策」で黄色く塗られた。2カ月前にそのアイデアが報じられた時、なんてばかなことを考えるのだろうと笑ってしまったが、実現した。行政も、それに賛同する市民も、性売買に関わる女性を排除し、人目につかないところに追いやることで問題を隠そうとしている。

 女性たちに責任を押し付けるまやかしの「対策」や、性搾取が温存されることで、買春等の利益を得ている男たちのあらゆる形での連帯に騙されてはいけない。現行法の「売春防止法」のように女性を処罰の対象とするのではなく、買春者と業者こそ罰する必要がある。日本では性売買が「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」で事実上合法化されており、女性の人権が蔑ろにされていること。性の商品化は女性に対する差別であり、人権侵害であることについて市民の一人ひとりが気づき、問題意識を広げていくことが必要だ。


どんどん「社会」が変な方へと向かっている。


「中居正広・フジテレビ追及国会」が暴くオールドメディアの特権と腐敗。「フジはつぶすしかない」元国税OBが断言する訳

2025年01月08日 | 社会・経済

MAG2ニュース 2025.01.06

 by 

中居正広とフジテレビの“女子アナ上納”疑惑めぐる報道の不自然

2024年の年末に芸能界を揺るがすニュースが駆け巡りましたね。元スマップの中居正広氏が、ある女性と“トラブル”になり、9000万円もの示談金を支払ったということです。

週刊文春の報道によると、この女性はテレビ局の社員であり、“トラブル”というのは性加害だったようです。この女性社員はアナウンサーでしたが、事件の影響ですでに退社してしまったというのです。

しかも、文春などによると、この事件は、テレビ局の社員が企画した宴席で起きたもので、当初は複数の社員が参加することになっていたのですが、当日になって突然、ドタキャンとなり、中居氏と被害女性の2人きりでの会合となってしまったということです。

そのため、この宴席を企画した社員が、女性アナウンサーを中居氏に“上納”したのではないか、という疑惑もささやかれているのです。

ところが、週刊誌やスポーツ紙、ネットでは現在、この話題で持ち切りなのに、不思議なことにテレビや新聞(スポーツ紙以外)では一切報じられていません。新聞・テレビでは、まるでそんな事件はなかったかのような世界線になっているのです。

なぜこのような状況になっているのでしょうか?今回はこの問題を掘り下げたいと思います。

中居のスキャンダルでも箝口令。テレビ・新聞の異常な利権構造

まず、日本のテレビと新聞は、世界から見れば実はかなり遅れており、常識はずれの状態になっています。というのも日本では、大新聞社はいずれもテレビ局との結びつきがありますが、実はこれは世界では珍しいことだからです。

新聞社がテレビ局を保有してしまうと、あまりにメディアが持つ影響力が強くなってしまうので、新聞社がテレビ局を持つのを禁止している国もあるほどです。

しかし、日本にはそういう規制はなく、まるで当たり前のように大手新聞社は全国に系列のテレビ局網を敷いています。

メディアというのは世論を操作することさえできる、国家権力に匹敵するほどの巨大な権力ですが、この巨大な権力が、巨大な利権によって守られているのです。

現在、地上波のテレビ局には、事実上、新規参入ができません。テレビ放送を行うには、総務省の免許が必要ですが、日本で地上波のキー局にこれ以上免許を出すことはほぼありません。つまり、テレビ業界は完全な既得権業界なのです。

日本で大手新聞社がテレビ局を保有しているのは、テレビ草創期に大手新聞社がこぞってテレビ局をつくったからです。まず読売新聞が日本で最初の民放の設立を行い、朝日、日経、毎日などがそれを見て相次いでテレビ事業に参入してきました。

また新聞業界には、「記者クラブ」というものがあります。これは官庁などに、報道機関専用室のようなものが設けられ、メンバーだけが独占的に取材を行えるというものです。この記者クラブは、各官庁、都道府県など800カ所に及びます。記者クラブ入れるのは、既存の新聞社等に限られます。だから、新聞業界には新規参入がなかなかできないのです。

先進国で、メディアにこのような閉鎖的な団体があるのは日本だけです。つまり、日本の大手新聞社やテレビ局は、政府の規制に守られた巨大な利権集団なのです。

そして日本の大手メディアたちは、この利権があるために、なかなか自由な報道ができなくなっているのです。新聞社の子会社であるテレビ局は、当然のようにそれに追随しています。

テレビ・新聞がウソばかりつき、巨悪に目をつぶる根本理由

日本は「報道の自由度」の世界ランキングが70位と、先進国ではありえないほど低くなっています。ほかの先進国、韓国だけではなく、チェコやスロバキアなどの旧共産圏国家、激しい人種差別があった南アフリカなどよりも、報道の自由度が低いと認定されているのです。

それは日本の大手メディアが、利権でがんじがらめになっているからでもあるのです。その結果、

「新聞・テレビは同じことしか報じない」

「新聞・テレビは双方の利益に縛られて、自由に報道ができない」

「政府の都合の悪い情報は、新聞・テレビでは流れない」

という状況が生まれています。

この新聞・テレビは、自分たちの利益を優先するためには、巨悪にも目をつぶってきました。

2023年、イギリスのテレビ番組に端を発したジャニーズの性加害問題は、芸能界だけではなく、社会問題といっていいほど大きくクローズアップされました。

ですが、ここにきて“今さら”ジャニーズ問題がクローズアップされたことに、違和感を持った人も多いはずです。

ジャニーズ事務所のジャニー喜多川氏が、所属の少年たちに性加害をしていることは、30年以上も前から暴露本が出され、関連の裁判なども行われ、「限りなく黒」という判断が出されていたものです。

にもかかわらず、この情報は一部の週刊誌や書籍、ネット記事が報じるのみであり、新聞・テレビなどで取り上げられることはありませんでした。

30年以上の長きにわたって、これほどの犯罪が「公然の秘密」とされてきたのです。それは新聞・テレビにとって、ジャニーズ問題は自分たちの利益に関わることだったからです。

ジャニーズ事務所のタレントは人気があり、テレビに引っ張りだこなので、各テレビ局はジャニーズ事務所を悪く言うようなことは報道できない、ということになっていました。また各テレビ局は、親会社が大手新聞社となっており、大手新聞社もその兼ね合いから、ジャニーズ事務所の問題については、触れてこなかったのです。

つまりは、大手新聞社、テレビ局の利害関係により、これほど大きな社会問題が、30年以上にわたり、黙殺されてきたのです。

このように大変な社会問題を、新聞やテレビがあまり報じないというのは、ジャニーズ問題に限ったことではありません。日本には、ジャニーズ問題に匹敵するような、いやジャニーズ問題をはるかに超えるような大きな社会問題が、まったく報じられないという状況が多々あるのです。

日本人が知らない、オールドメディアは「特権階級」という事実

日本人はあまり気づいていませんが、日本の大手マスコミは、世界的に見れば異常な状況にあります。

その1つが、大手新聞社の新聞購読シェアの大きさです。日本の読売新聞は、実は世界一の発行部数です。そして世界第2位は朝日新聞なのです。日本よりはるかに人口が大きいインドや中国でも、読売、朝日を超えるような新聞はないのです。実は日本の読売、朝日、毎日のような全国の家庭で読まれている「全国紙」というのは、世界にはほとんどないのです。

世界の有名新聞のほとんどは、その地域地域で発行されているものです。たとえば、世界的に有名なアメリカの新聞「ニューヨーク・タイムズ」は、ニューヨークで発行されているものです。またアメリカには「USトゥデイ」という全国紙がありますが、発行部数は160万部に過ぎません。だから日本の全国紙ように、「全国の家庭で読まれている」ものではないのです。

なぜ日本に「全国の家庭で読まれる全国紙」があるのか、というと、それは戦時中の「新聞統制」に由来しています。日中戦争から太平洋戦争までの間、政府は言論統制や物資統制の目的で、新聞各紙の統合をすすめ、原則として「地方新聞は各県一紙のみ」ということになりました。

当時、日本で最大手だった読売、朝日、毎日は、ライバル紙が大量に減ることになり、必然的に購読シェアが大きく増えることになったのです。現在の巨大な大手新聞は、戦時中の新聞統制によって誕生したといえるわけです。

しかも、日本の大手新聞は、それぞれが全国ネットのテレビ局を保有したり、提携関係にあります。読売新聞は日本テレビ系列、朝日新聞はテレビ朝日系列、毎日新聞はTBS系列、そして産経新聞はフジテレビ系列、日本経済新聞はテレビ東京系列です。日本の地上波のテレビ局ネットはすべて大手新聞社と密接な関係にあるのです。

つまり、たった5つの大手新聞社が、日本の新聞とテレビを支配しているようなものです。これは、世界のメディア界から見れば異常なことです。マスコミというのは、たくさんあってこそ健全な世論の形成に寄与するものなのですから。

世界の国々では、たくさんの新聞、テレビ局などがそれぞれ違った角度から報道します。だから国民は、1つの事柄でも様々な面から知ることができるのです。

しかし日本の場合は、それがありません。たった5つの新聞社の意見が、マスコミ全体を支配してしまうことになるのです。しかも、テレビ局は広告料が収入源となっており、スポンサーに対しては常に遠慮があります。その遠慮は、テレビ番組だけでなく、新聞記事にも影響を与えます。つまり、スポンサーに都合の悪いことは、テレビでも新聞でも報じられない、ということになってしまうわけです。

国家権力側から見れば、日本のマスコミは非常に御しやすいと言えます。なにしろ、5つの新聞社を抑えれば、日本のマスコミ全体をおさえることができるわけですから。しかも5つの新聞社は、国家による規制に守られ、毒饅頭をたらふく喰らって肥え太ってきました。いざというときは、いつでも国家の言うことを聞く存在になっています。もちろん、これは日本国民にとっては非常に危険なことなのです。

フジテレビは廃業が当然。中居正広問題を国会の俎上に載せよ

ところでこの事件は、中居正広氏の大不祥事であるとともに、フジテレビの大不祥事でもあります。フジテレビはこの事件に関して、「社員が会合を設定した事実も、ドタキャンした事実もない」と発表し、まるで自分たちはこの事件にまったく関与していないかのような言い逃れをしています。

でも、もしそれが事実だったとしても、フジテレビの大不祥事だという事実は変わらないのです。

フジテレビは少なくとも、女性社員が性被害にあっていたことは知っていたはずです。にもかかわらず、フジテレビは加害者を訴えるどころか、今まで通りテレビに出演させ続けてきました。そして、被害にあった女性社員の方が、いたたまれなくなり退職を余儀なくされたわけです。

フジテレビが、自社の社員が性加害に遭ってもその相手をテレビ出演させてきたということは、「性加害を容認した」も同然であり、むしろ性加害をほう助したとさえ言えます。

これは、放送倫理どころか、社会倫理に照らし合わせても完全にアウトです。

フジテレビは放送局として終わっているだけではなく、そもそも企業として存在してはいけないのです。国際人権団体から批判されてもおかしくない事案です。

与野党の国会議員の方々、そうでしょう?どうか、迅速にこの件について国会で取り上げ、フジテレビは早急に取りつぶすべきだと筆者は思います。

フジテレビと“共犯関係”にある民放各局のホンネ

それにしても、これだけの大事件をなぜ民放各局はまったくスルーしているのでしょうか?

日本の民放テレビは、普段なら芸能人のゴシップが大好物であり、些細なことでも針小棒大にしたり執拗に追いまわして報道したりします。本来なら、中居氏の不祥事も、格好の餌食になるはずです。

にもかかわらず、まるで何も起きていないかのごとくスルーする、この異常さ。これは「ジャニーズ事務所の性加害問題」のときとまったく同じ構造なのです。

民放各局は、「ジャニー喜多川氏の性加害問題」の後、自分たちがこのような大事件を報じてこなかったことについて反省を口にしていました。

しかし今回の件で、まったく反省していないことを露呈したのです。

民放各局が中居氏の性加害事件についてまったく報じない理由は主に2つあります。

まず1つは、中居氏がテレビタレントとして重要であるということ。中居氏は、芸能界でもトップの人気を誇り、各局の番組にレギュラーを持つ人気MCです。その中居氏の不祥事を報じることは、自分たちの番組に大きな影響を及ぼすことになります。

そのうえで、さらに大きな理由がもう1つあります。

「中居を切り捨てでも、フジテレビは全力で守る」民放各局

もう1つの理由は、この事件がフジテレビの存続を脅かすほどの大事件なので、民放各局としては全力でフジテレビを守らなくてはならない、ということです。

民放各局は、表向きは視聴率争いをしていますが、内実は、超美味しい特権を享受している「大手マスコミ特権クラブ」のメンバーなのです。

彼らは、いずれも「大手新聞=テレビ局」という構図で日本のマスコミを支配しつづけてきました。

もしその一角が崩れると、国民が日本の大手マスコミの異常な特権に気づき、特権クラブ自体が崩れてしまうかもしれない。彼らとしては、それだけはどうにかして避けたいのです。

つまり彼ら民放各局は、彼らの特権を維持するために公平な報道を避け、国民を欺き続けるというわけです。

今回ご紹介したように、日本の各テレビ局、大手新聞社が「異常に巨大な利権」を保持している構造を変えない限り、日本において「報道の自由」を実現できないのは言うまでもありません。


訪問介護 報酬引き下げで危機

2025年01月07日 | 社会・経済

新潟・村上市 減収 さかのぼって支援

「しんぶん赤旗」2025年1月7日

ガソリン代も支援

 自民・公明政府が2024年度から訪問介護基本報酬を2~3%引き下げたことを受け、訪問介護事業所の倒産は昨年、過去最多を更新しました。そうしたなか新潟県村上市(高橋邦芳市長、人口5万4000人)は、報酬引き下げによる減収分を昨年4月の改定時にさかのぼって独自に補助することを決めました。同市によると同趣旨の自治体補助は全国初です。(内藤真己子)

 支援金は、引き下げ前の訪問介護基本報酬に政府が昨年の改定で本体部分の平均引き上げ率とした0・61%を上乗せした額と、引き下げ後の実績の報酬額との差額を市内17の訪問介護事業所に支払うもの。3月にも計年800万円(予算額)を支援します。

 またガソリン代の高騰が事業を圧迫しているのをカバーするため、燃料費支援金として車1台につき月3000円を支給します。さらに利用者宅まで7キロ以上かかる訪問介護に1回50円を上乗せします。事業規模は600万円です。

 支援策は次期介護報酬改定まで3年間の措置で、総額は4200万円。介護保険給付等準備基金を取り崩します。

 政府が訪問介護報酬引き下げを決めた昨年3月、市は訪問介護事業所にアンケート調査を実施。「廃止を検討している」などの深刻な声を受け、支援策の検討に着手しました。

 9月議会で、日本共産党の野村美佐子市議が「経営者の報酬がほとんど出ていない事業所もある」と事業所の実態を告発。県内でも利用者宅が遠いところに独自の手当を出している自治体があることも示し、「市ができることはないか具体的に考えてほしい」と迫りました。

 答弁に立った高橋市長は「介護報酬に市がかさ上げをした時(国の)ペナルティーはないのか検証していた。介護報酬の(次期)改定の3年後を待たずに事業者支援に着手したい」と答弁しました。

 同議会では、国に引き下げ撤回を求める意見書を全会一致で可決。12月議会に支援金制度を盛った補正予算案が提出され可決されました。

削れる経費 底尽きた 事業所への独自支援「ありがたい」

訪問介護まで片道40分・除雪20分… でも事実上無報酬

 新潟県村上市は県内最北の日本海に面した古い城下町です。師走の朝。鈍色の低い空から、みぞれが時折強く町家に打ち付けます。

 「おはようございます」。午前8時。ヘルパーが通りに面した古い家のガラス戸をたたくと、しばらくして高齢の女性が現れ、引き戸を開けてくれました。「寝てたでしょ」「んだ。寝坊してた。来たら起きるべと思って」。女性はヘルパーと冗談を交わしほほ笑み合います。

75分フル回転

 女性は89歳。物忘れがあり要介護1です。夫や同居していた息子に先立たれ独り暮らし。月の半分はショートステイで過ごし、後は訪問介護とデイサービスを使って自宅で暮らし続けています。「ヘルパーさんは助かります。ありがてぇよ」

 ショートステイに行かない日は、1日1回の訪問介護に生活が支えられています。ヘルパーは「生活援助」の75分間で、2食分の調理と配膳、服薬確認、掃除、洗濯、買い物までフル回転でこなします。冬場は石油ストーブの給油も必須。「ヘルパーさんいなば(いなければ)暮らせね。一人ではどうしたらいいかわかねもの」。女性はしみじみ語りました。

 人口減少が続く村上市。65歳以上高齢者が人口の4割に達します。高齢単身世帯や高齢者のみ世帯が全世帯の35・7%を占め、認知症の人も増加しています。市の高齢者アンケートでは、介護が必要になっても自宅で暮らしたいと答えた人が42・1%にのぼります。

 訪問介護の利用者は増加しています。23年度の利用実績は市の介護保険事業計画より1割上回っていました。訪問介護の充実が課題です。そこへ政府は昨年4月、訪問介護基本報酬を引き下げました。事業者はたちまち窮地に陥りました。

役員報酬ゼロ

 「引き下げはショックでした。そもそも赤字。削れる経費はもうありません。恥ずかしながら私の役員報酬を10月からゼロにしました」。約80人の高齢者に訪問介護を提供しているヘルパーステーション「ゆめ」を経営する「ユニゾンむらかみ」の福田秀樹社長は打ち明けました。

 4月から借りていた事務所を閉じ、自宅を事務所にして経費を節減しようとした矢先でした。「事業を畳む方が楽ですが、待っている利用者のことを考えたらできない」と福田さん。実際、昨年は職員不足で同市内の訪問介護事業所が一つ休止に。残された利用者を何人も引き受けました。

 同市は大合併で新潟県一広い自治体になりました。中心部以外は中山間地です。周辺部の利用者宅まで片道30、40分かかる場合もあります。遠方の利用者を断る事業所もあるなか福田さんの会社は訪問しています。

 雪に閉ざされる冬はさらに過酷です。私道や敷地内は除雪されません。「2、3日前も、利用者さん宅の玄関先に車を止め介護を終えて出てきたら、車が雪に埋もれていました。掘って脱出するのに20分以上かかりました」と福田さん。

 こうした長距離の移動や除雪の時間は、訪問介護基本報酬に実態として含まれていません。加算も不十分で、過疎地域の経営は不安定です。

 同じ建物内の住宅をヘルパーが次々回る住宅併設型の事業所の利益率が高く、訪問介護全体の利益率を上振れさせたのに、政府は一律報酬を引き下げました。また職員の処遇改善加算を引き上げたので全体でプラス改定だと強弁しています。福田さんは「数字のカラクリです。処遇改善加算で職員の賃金は上げましたが、事業所には残りません」と指摘します。

防衛費回して

 村上市の独自支援策を「ありがたいです」と歓迎する福田さん。「このままでは在宅介護は崩壊します。防衛費増強にかける財源を、もっとこちらに充てていただきたいと国に強く要望したい」と訴えます。

 日本共産党の野村美佐子市議は、「市が事業者の声を聞き、独自の支援に踏み出したことは心強く、心から歓迎します。引き下げ撤回の声は全国に広がっています。特に地方の実情を国は知ってほしい。3年待たずに見直すべきです」と語ります。

3年待たず 引き上げを

新潟・村上市長 高橋邦芳さん

 訪問介護の基本報酬だけ下げられたと聞き、「なんで訪問介護だけ下がったのか? 事業所は大丈夫なのか聞いてくれ」と事業所へのアンケート調査を指示しました。そうしたら「もうやっていけない」「辞めねばなんねえ」と切実な回答が寄せられたのです。これは由々しき事態と危機感を持って対策の検討を指示しました。

 都市部では同じ建物内にある住居を次々とヘルパーが訪問し、利益を得る事業者があるようです。しかし村上市のような広域で中山間地を抱える地域ではそうはいきません。利用者の家まで片道10キロ以上かかる場合もあります。冬はヘルパーの仕事が除雪から始まる場所もあります。この時間は介護報酬の中で明確にされていません。そもそも都市部とは条件が違うのです。一律の引き下げに根拠があるとは思えません。

 支援にあたっては国が減らした介護報酬を自治体が上乗せしていいのか、考えました。だけど学校給食や子ども医療費は独自に応援していますね。それと同じだと決断しました。基金があったので取り崩してあてましたが、なければ一般財源を投入してでもやったと思います。昨年は人手不足で訪問介護事業所が一つ休止しています。介護資源を守らないとなりません。

 同時に、阿賀北地域の市町村長会議で問題提起し、3年後の改定を待たずに引き下げを見直すよう国に要望することに決まりました。それが全国市長会の要望事項にもなっています。

 国はぜひ地方の現状に目を向け、介護報酬の改定は3年後と固定せず、早期に引き下げを見直していただきたい。また訪問介護の移動距離の長い地方への手厚い支援を検討してほしいと思います。

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政府備蓄米 フードバンクに

来月から無償で 共産党などの要求実る

 農林水産省は今年2月から、子ども食堂などに食料品を提供するフードバンクに、新たに政府備蓄米の無償交付を実施すると発表しました。農水省はこれまで、子ども食堂や子ども宅食への政府備蓄米の無償交付を行ってきましたが、支援対象とされていたのは、子ども食堂・子ども宅食など、利用者を直接支援する活動だけでした。

 米不足や米価高騰を受け、日本共産党や農民運動全国連合会(農民連)、新日本婦人の会などがこの間、備蓄米の放出を政府に迫っていました。

 フードバンクは、企業などから提供を受け、規格外品などを子ども食堂や食料支援活動などに無償配布しています。農水省が把握しているだけでも279団体にのぼっていますが、昨夏以来の米不足・米価高騰により、フードバンクに米が集まりにくい状況が生まれていました。

 今回の改定でフードバンクは、前年度の全食品取り扱い重量の5分の1以内で、1団体ごとに50トンが上限で備蓄米の支給を受けられることになります。子ども食堂のみ実施している場合は1回の申請につき米120キログラムのままですが、子ども食堂と子ども宅食を合わせて実施している場合は、6日から一部申請方法が簡略化され、上限450キログラムから600キログラムに拡充されます。

 しかし、フードバンクが農水省の支援を受けるには、▽取り組み団体が法人格を有していること▽1年以上の活動実績があること▽地方公共団体と連携した取り組みを行っていること―などの要件があります。支援を行き渡らせるためのさらなる改善が求められています。

 農民連の藤原麻子事務局長は、年齢の枠が取り払われたことはこの間要求してきたことであり歓迎すると強調。「現場では法人格をとらずにフードバンクを行っている団体も多く、そうした団体へも対象を広げるよう求めていきたい。同時に、困窮世帯が増えており、根本的には国が農産物などを直接買い上げて食料支援活動に取り組むことが必要だ」と語っています。


やぁ!久しぶりの明るいニュースです。
「声」をあげましょう。
新潟・村上市のような自治体が増えて行けばいいのですが。

早く帰りました。
カミさんの骨折、手術が必要だとのことでした。
14日入院で、何日入院になるのかはまだわかりませんが全治1.5か月と言われました。2月には兵庫に帰る予定で飛行機のチケットも手配済みですが、さてどうなりますやら。たぶん大丈夫でしょう。


ゆがんだ正義と向き合う

2025年01月06日 | 社会・経済

「東京新聞」社説 2025年1月6日

 4年前のきょう、2021年1月6日、共和党の大統領だったトランプ氏=当時(74)=の落選を認めない支持者たちが米連邦議会を襲撃しました=写真。民主党のバイデン氏=当時(78)=の当選確認の手続きを妨害し、大統領選の結果を変えようとしたのです。

 トランプ氏はその直前、集会を開いて支持者をたきつけていました。米国の民主主義を大きく揺るがせた歴史的な事件です。

 トランプ氏は選挙結果を変えようとした罪などで刑事訴追されましたが、大統領選を勝ち抜いて今月20日に返り咲きます。訴追した司法省への敵意をあらわにしており、人事などで報復するとみられます。すでに特別検察官は起訴を取り下げ、辞任する見通しです。

 司法省はDepartment Of Justice(ジャスティス)。ジャスティスには「司法」という意味もありますが、日本人にとってなじみ深い訳語は「正義」でしょう。「大辞林」(三省堂)によると、正義は「人が従うべき正しい道理」で、「人々の権利を尊重しながら義務や報奨、制裁などを正しく割り当てること」との意味もあります。

◆事実ねじ曲げ政敵攻撃

 襲撃事件を巡るトランプ氏への起訴状によると、暴徒の対応に当たった警察官ら5人が亡くなりました。

 でも、トランプ氏は「誰も死ななかった」と強調しています。事件を矮小(わいしょう)化して自身の起訴を不当だと主張し、暴動に加わった受刑者に大統領として恩赦を与える方針も表明しました。メディアがファクトチェックをしたり、亡くなった人を紹介したりしても、聞く耳を持ちません。

 死者の有無をゆがめることも問題ですが、死者がいなければ議会への暴力が許されるものでもありません。自身が敗北した選挙で不正があったと根拠なく言い張り、憎悪を駆り立て政敵を攻撃する行為を「正義」とは呼びません。

 トランプ氏は米南部ジョージア州の高官を脅して選挙結果を曲げようとするなど、ほかに三つの事件で訴追されました。有罪評決が下った事件もありますが、大統領選に再び当選したことで量刑の言い渡しが延期されるなど、罪の所在がうやむやになっています。

 日本には、明治維新を機に生まれた「勝てば官軍」という言葉があります。争いごとでは道理や手段がどうあれ勝者が「正義」になるという意味です。

 この言葉を「最も嫌い」とする新潟国際情報大学の佐々木寛教授は次のように語ります。

 「トランプ氏を見ていて浮かぶ言葉。選挙の『みそぎ』という言葉にも表れるように、勝ったら過去を水に流すという考え方が広がるが、法や倫理が脅かされ、歴史や文化の否定にもつながる」

 「『おごれる者は久しからず』との言葉もある。権力の上には正義や倫理がなければならない」

 企業経営でも「勝てば官軍」という言葉は、どんな手段を使っても競争に勝ち、利益を上げることが「正義」との趣旨で使われることがあります。不動産王の異名を持つトランプ氏もそのような「正義」観なのかもしれません。

 選挙戦からトランプ氏を支えた米実業家マスク氏だけでなく、当選後はSNS最大手メタのザッカーバーグ氏やソフトバンクグループの孫正義氏ら、巨額のお金を携えてトランプ氏の元に出向く企業トップも増えています。

◆勝てば官軍でいいのか

 「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助氏は「勝てば官軍」に否定的だったようです。かつて側近として支えた江口克彦氏の著書「ひとことの力-松下幸之助の言葉」によると「勝てば官軍、という商売は、あかんよ。結局は、失敗するで」と語ったそうです。

 松下氏は、懇意にしていた僧に「大将というものは、そんなことをしてはいけない」と諭されたそうです。不当な手段で競合社に勝ち一時的に業績が好転しても、いずれ経営難に陥り、社員を路頭に迷わせる、と。書籍は「勝てば官軍」を主張した経営者が会社を倒産させた事例にも触れています。

 「米国第一」を掲げ、米国の力を信奉するトランプ氏の内政・外交政策は米国内にとどまらず、国際的に大きな影響を与えます。

 これまでの「正義」を基調とした国際秩序が根底から覆るかもしれません。それでも日本をはじめ国際社会は、トランプ氏の「ゆがんだ正義」と向き合わねばなりません。その覚悟も問われる4年間の始まりです。


当たらなかった天気予報。
昼からはプラス氣温という予報でしたが、プラスになることはありませんでした。
☂あるいはみぞれの予報も、しっかりと雪でした。
青森県では記録的大雪となっているようです。
けがなどの事故のないようお過ごしください。
明日は新札幌のカミさんのかかりつけの整形へ乗せていかなければならず、更新できないかもしれません。


暴走イスラエル 虐殺止める正義の国際連帯を

2025年01月05日 | 戦争と平和

「しんぶん赤旗」主張2025年1月5日

 イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃が止まりません。15カ月間で少なくとも4万5千人が殺され、うち1万7千人が子どもです。負傷者は11万人、水や食料の供給妨害による病死も続出し、手足切断の小児患者の人口比は世界最高で、100万人の子どもに精神衛生の支援が必要です。病院や学校を含む9割の家屋が破壊か重度損壊で、冬を迎え、寒さによる死亡も相次ぎます。

 「人の皮をかぶった獣が相手だ。完全封鎖をした。地獄を見るだろう」とイスラエル政府や軍幹部が公言したように、まさにジェノサイド(集団殺害)です。ヨルダン川西岸でも830人以上が殺されています。

■法順守迫るICJ

 イスラエルは昨秋にはレバノンへ空爆と地上侵攻を強行し、多数の住民が犠牲となり難民化しました。シリアではアサド政権崩壊に乗じて空爆や軍事行動を行い、イエメンへの空爆も続けています。自衛を口実にした国際法無視の際限ない武力行使とそれを許していることは、中東と世界の安全と平和秩序を崩します。米国で大統領に就任するトランプ氏は親イスラエルを鮮明にしており、同国の暴走を加速させかねません。

 虐殺と破壊、長年の不正義を止めなければと、世界で新たなうねりが起きています。日本でも世界と連帯した運動を広げ、ガザ攻撃の中止と停戦はもちろん、中東問題の国際法に基づく公正な解決と平和の道への転換を実現すべき時です。

 イスラエルは1967年の第3次中東戦争でヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムを占領。国連安保理決議で撤退を求められても居座り、抑圧と入植を続けてきました。

 国際司法裁判所(ICJ)は昨年7月、武力による領土取得、パレスチナ人の国家樹立を含む自決権のはく奪であり、明白な国際法違反と断罪。57年を超える占領と暴力の速やかな終結、損害賠償をイスラエルの義務とする勧告的意見を出しました。ジェノサイド防止とガザへの攻撃停止の暫定措置命令に続くICJのこの勧告的意見は、今に至る、より根本的な不正義にメスを入れたものです。

 9月には国連総会が勧告的意見を支持する決議を採択、イスラエルへの武器提供の禁止など各国がとるべき措置を列挙しました。

 その後、世界最大級の投資ファンドのノルウェー政府年金基金がイスラエルの通信企業への投資をやめるなど、ICJの判断、国連総会決議に沿った動きも出ています。世界の市民の運動と各国政府のとりくみの重要な成果です。

 「政府が行動しないなら、市民社会の諸団体と人権機関が自国政府にICJ勧告的意見の順守を迫り、すべての政治指導者と大臣らに働きかける時だ」と国連の人権分野の専門家40人の共同声明は訴えます。

■日本でも運動広げ

 日本共産党は「ストップ・ジェノサイド」を訴え欧州やアジアで連帯を広げ、政府にはイスラエル製攻撃ドローンの輸入計画破棄や同国との経済連携協定交渉の中止、米国にイスラエル軍事支援中止を迫れと求め、地方自治体でも事業連携の動き(愛知県)に反対してきました。市民とともにさらに力をつくします。


今は―10℃くらいです。
明日は昼頃からプラス氣温になるようです。
屋根雪注意です。
道がザクザクになり歩きにくいでしょう。


2日間、更新なしで・・・

2025年01月04日 | なんだかんだ。

たいへん忙しいハメになっています。
というのも、暮れの30日、カミさんが犬の散歩中コケ(宙を舞ったそうです)まして、右手首骨折です。
すぐに当番医へ行ってレントゲン・CT検査したのですが、その時は折れた様子もなく、専門医ではなかったので痛み止めをもらって帰りました。
しかしますます腫れて紫に。
整形で当番してる病院を探すと札幌厚生病院がヒット。
丁度息子たちと札幌へ行く予定だったので診てもらいました。
再度レントゲンを撮ると今度ははっきりとずれていたそうです。
そんなわけで、雪かきも出来ず、食器洗いも出来ず、運転も出来ず、もちろん仕事も休み・・・
いやぁ、困りました。
1カ月は無理でしょう。
また雪も多い。
息子の奥さん、こんな吹雪で喜んでいました。
楽しいこと苦しいこといっぱいあった年末年始でした。


今年もよろしくお願いします。

2025年01月01日 | 生活

 朝、雪が降っていたので初日の出は見ることはできませんでしたが10時ころになって晴れて、初日を拝むことができましたが又すぐ隠れてしまいました。

 今日は神戸に住む息子が帰ってきます。
忙しいのでしょう。
1泊して帰ってしまいます。
札幌の子たちが千歳まで迎えに行って皆でこちらに来るようです。
今夜は酒なしの「宴会」でしょう。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。
災害のない社会であってほしいですね。
なんか、力が湧いてきます。
人にも、すべての生き物たちにも、そして地球にも優しく農業を続けていけるようマイペースでやっていきます。