盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

もしも、もしも

2018-08-16 11:28:33 | にゃんころ
「あの人が、あの時代に」MLB に渡っていたら、通用したでしょうか。

「いまの」MLB はあまりに環境が違いすぎるので、彼らの現役の時代で、と仮定します。


・沢村栄治

かなりいけたと思いますよ。
当時の MLB は縦のカーブ、いまでいえばスライダーの一種でしょうか、投げる投手が少なかったので、十分に通用したと思います。
もちろん戦争に行く前の話ですけどね。

読売と戦争に翻弄された、悲劇の投手です。


・尾崎行雄

ちょっと難しいでしょうね。直球勝負の投手なら MLB にたくさんいましたから。
しかし現在のように分業制であれば、セットアッパーとしていけたかもしれません。
ちなみにスピードガンはありませんでしたが、映像から解析したら直球は 160.2km/h だったそうです。


・金田正一

沢村くらいは通用したと思います。
しかし 400 勝はおろか 200 勝も難しかったでしょうね。
彼は勝利も多かったけど、負けも多かったのです。


・王貞治

アベレージヒッターとして、活躍したでしょう。
本塁打は 400 から 500 というところかな。後楽園球場があまりに狭すぎましたから。

まあそれをいえば、ベーブ・ルースの旧ヤンキースタジアムでの記録も、ずいぶん盛ってますけど。


・江夏豊

彼こそ全盛期に MLB に行ってほしかった人です。
完全試合のひとつやふたつ、やってのけたでしょう。

もっとも、向こうに行っていたら日本より早く、薬物に手を出したかもしれませんが…


・福本豊

盗塁を許す責任の半分は投手、といわれています。
福本は足が速いだけでなく、投手のクセを見抜く力に長けていた。だから走れば走るだけセーフになったのです。

しかし MLB の捕手は強肩揃い。具体的数値は難しいですが、おそらく日本より1割増しくらいではないでしょうか。
これまで MLB で通用した(というより契約できた)日本人捕手が城島しかいないことが、それを物語っています。

そう考えると、日本での記録(1065 盗塁)は、とても無理でしょうねえ。


・山田久志

おそらく日本歴代最高のサブマリン。
MLB にサイドスローはけっこういますが、完全なサブマリンはほとんどいません。
日本と同じくらい(284 勝)の成績も夢ではなかったでしょう。


他にも考えたい人はたくさんいますが、きりがないからね。

古い人ほど、神格化されるものです。
尾崎のように資料(投球フィルム)が残っていれば数値化できますが、沢村の投球の映像はたった1球だけ、しかも遠くからなのでボールが写っていません。

金田は「自分は 170km/h 投げた」と順調にボケ老人の道を歩んでいますが、沢村はせいぜい 140km/h くらいで、変化球が鋭かったので直球が速く感じられたのだろうと考えられています。

いずれにせよ「なかったこと」ですから、私たちは空想するしかありません。
逆にそれによって夢を見られるのです。

現在のようにすべての球場にスピードガンや STATCAST(MLB)があって数値化されてしまうと、「楽しさも中くらいなり」なのかもしれません。