盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

私は騙されない?

2018-08-20 21:19:18 | にゃんころ
関東ローカルの夕方の番組で、「ストッブ詐欺被害・私は騙されない」というコーナーがあります。

いわゆる振り込め詐欺の様々な成功例、失敗例を紹介し、「『還付金がある』はすべて嘘」「警察官が通帳を預かる事はない」などの注意喚起をするものです。
平日すべてですから、週5回。
よくネタが尽きないというか、オレオレ詐欺から始まった詐欺がいかに細分化・巧妙化しているかがわかります。

スマートな犯罪といえば、数十年前に銀行のエンジニアがたったひとりで銃も使わず誘拐もせず、誰にも気づかれずに莫大な金を横領したことがあります。

アメリカの話で、銀行口座には必ず利息がつきますが、もちろん1セント未満の端数が出ます。
このエンジニアはすべての口座で生じた端数を切り捨てて、自分の口座に入金するよう細工したのです。

塵も積もれば山となる。彼の口座にはとんでもない額の金が入りました。
まあ蟻の一穴といいますか、そのままでは完全犯罪になっていたはずですが、うっかりミスで発覚してしまいました(他の犯罪に利用されかねないので、理由はここでは教えません)。

このように、ほんのちょっとずつ目立たないように盗む方法を「サラミ法」といいます。
サラミソーセージを1本盗むと目立つけれど、薄くスライスして1枚ずつ時間をかけて盗めば目立たない、との理由で名付けられました。

確かこの犯人、服役して出所してから、コンピュータ犯罪防止のコンサルタントになって大金持ちになったはずです。

で、振り込め詐欺の元祖といえる、オレオレ詐欺。
ちょっと頭の怪しくなった老人を狙うという点では決してスマートとはいえませんが、やはり最初に考えて実行した奴はかなりの頭脳の持ち主だと思うのです。
もしその頭脳を犯罪以外に使っていたら、何らかの分野でひとかどの人間になったのではないでしょうか。


ところがどっこい、私がいいたいのはそこじゃない。

とどのつまり、財産を自由に動かせてしかも頭が少し怪しくなってる老人が、ひとりで暮らしているからこういうことになるのです。
核家族化が徹底し、普段からの交流が疎遠になっているから、「オレ」だけで息子と思い込むし、還付金を貰えると聞いたら意地汚く騙されて保証金などの名義で金をむしられる。

なぜ「確認」という概念を忘れてしまうのでしょうか。
そしてなぜ、確認もせず何百万も払ってしまうような人を、ひとりで住まわせているのでしょうか。

認知症の様子が見え始めたら、財産の名義を変えるなり成人後見人をつけるなり、あるいは準禁治産者として、金を勝手に動かせないようにすべきです。
あるいは、金が戻るとか払えとか怪しい連絡がきたら、必ず家族や役所に相談するように、取り決めをしておく。
CM でやってるように、普段の電話に合言葉を決めておいてもいいでしょう。

いちばんいいのは、まず最初に警察に連絡し、金の受け渡しぎりぎりまで「騙されたふり」をすることです。
どうせ捕まえるなら、スマートに捕まえなきゃ。
やりたい人は、自己責任でどうぞ。