盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

甘い?

2018-08-30 20:58:37 | にゃんころ
最近テレビだけでなく日常生活で、美味であると褒める事を「甘い」という人が多いと思いませんか?

確かにフルーツトマトなど意図的に糖度を上げることを目的とした食べ物なら、「甘い」は褒め言葉です。
しかし「甘いカニ」「甘いマグロ」なんて、うまいはずがないでしょう。
完全に「旨味・滋味」の呼び方を間違えているのです。

一般に哺乳類は生まれると、母乳やミルクなどで育ちます。
味のうち、まず「甘味=おいしい」と学習するわけです。
ある程度成長すると、乳でないもの(人間なら離乳食、肉食動物なら獲物、草食動物なら草など)を口にし始めます。
この味は嫌だ、おいしくない、といっても母親はもう乳をくれないので、無理にでも飲み込まないと餓死するだけです。

そうやって「辛味や酸味、苦味などもおいしい」と覚えていくのです。
同時に、苦味の中には毒のあるものが多いので、「この苦味は安全、この苦味は危険」なども同時に学んでいきます。

つまり、味の褒め言葉にまず「甘い」と口にしてしまう人は、甘味以外のうまさを何らかの事情で学べなかった「幼児舌」の持ち主なのです。
「何らかの事情」とはたいてい親による偏食、つまり子供のわがままに釣られて甘い食べ物を与え続けたり、子供が小遣いで何を買っているか目を光らせていない結果です。

テレビで「甘いー」「溶けるー」「まいうー」「外はかりかり中はとろとろ」しかいえなくても、グルメレポーターと呼ぶのだそうです。
料理を褒めるのに、そんな中途半端な表現はうんざりだし、表現したいのならひとことだけ、

 「おいしい」

これでいいんです。

もちろん作る方は、そうはいきませんよ。
何の風味がどれくらい効いているから何の味がどこまで活きるのか、しっかり理解して説明できるのが理想です(家庭料理はそこまで必要はないですけど)。

いずれにせよ、何でもかんでも「甘い」といいたがる人の舌は、信用しないのが吉です。