盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

夜 会

2018-08-25 14:42:14 | にゃんころ
風の噂に「中島みゆきが TOKIO に楽曲を提供している」と聞いたので、「宙船」をアルバム盤で聴いてみました。

さすが中島みゆき、と思う前に感じたのは、「あれ? 長瀬ってこんなにうまかったっけ?」でした。

私は小学生時代からいろいろな楽器をやっていまして、高校と大学ではバンドを組んでドラムを叩いていました。
プレーヤーとしての腕がプロで通用しないことは自覚していたので、主に PA(音響)を手がけ、システムを組んだり他のバンドの演奏時にミキシングコンソールを操作していました。
大学時代は音響会社でアルバイトをして、武道館のコンサートのスピーカーを積んだりしました。

その会社の社長から「お前、うちにこいよ。仕事はきついし給料は安いし、何よりお前の持ってるコウモリの耳は商売道具になるからな」と、そのままであれば音響屋になっていたはずなのですが、私はその道には進みませんでした。

私にはアレルギーがあって、すぐに鼻が詰まるのです。

皆さんも経験あるでしょ、風邪をひくと鼻が詰まって音がもやもや聞こえることが。
すぐにああなってしまのですよ。
私には絶対音感がありますし、ものすごい聴力の持ち主ですが、聞こえたり聞こえなかったりしたら話になりません。
音楽や音響は仕事にはできないから、あくまで趣味にしようと割り切っていました。

コンサートやレコーディングに関わっていたので、そっち方面は詳しいです。
話し始めると長くなるので、今回は「宙船」に絞りましょう。

長瀬の歌声を聴いて最初に感じたのは「音程が正しすぎる」ことです。

人間、どれほどうまい人でも、必ず声に自然な揺らぎがあるものです。
音痴でずれるのではなく、ほんの少しずれるからこそ生じる魅力。
彼の歌には、それがないのです。

もちろん、ずれているのを1音ずつ修正できる、そういう機械がスタジオにあるのです。
音程もタイミングも自由に変えられる機械が。
私がいじっていたのは40年前なので、いまではもう「完璧」な歌唱にできるでしょう。

それがいけないのです。
もう少しいいかげんに、わざと音をわずかに外したりタイミングをずらしたほうが、人間臭さが出て魅力があったりするものなのです。
演歌なんか特にそうでしょ。

長瀬の歌には、それがない。
採点するカラオケなら高得点でしょうけど、魅力がない。

そして次にライブ盤を聴いて、安心しました。
「あ、やっぱり長瀬は下手なんだ」と確認できました。

YouTube で、演奏はパクで歌だけライブ、という典型的な映像でした。
これはよくある手法で、楽器の指の動きと実際の音が全然違うのです。
まあ TOKIO はあの歳で「アイドルバンド」ですから、レコーディングには優秀なスタジオミュージシャンがつきます。
彼らの楽器の腕を云々するのは、酷というものでしょう。

そして最後に中島みゆきのアルバム盤を聴いて、ぶっ飛んだわけです。
何とすばらしい曲であることか。

中島みゆきを100点満点とすると、
TIKIO のアルバム 45点  ライブ 5点
というところでしょうか。


「中島みゆきオールナイトニッボン月イチ」は、来月が最終回だそうです。
もうとっくに還暦を過ぎて、次回の「夜会」の仕込みもせねばならず、深夜に生はもうきつくなったのでしょう。
録音でもいいのになあ。

あ、スカパーの基本セットを契約している人に、朗報。
中島みゆきの「夜会」、ここ数年の後半の作品が 11 月にチャンネル銀河で放送されます。
(前半の作品はすでに7月に放送されました)。
朗読劇でも、ライブでも、ミュージカルでもない。
すばらしい作品群です。ぜひ録画してお楽しみください。

あと3ヶ月、忘れないようにね。