面白く、そして下らない

私は批判をして何かを為した気になっている大衆の一人に過ぎないが、何か少しでも波紋を起こす小石になれればと書いている。

安倍晋三の「日銀は政府の子会社」発言について

2022-05-11 21:33:41 | 経済
~~引用ここから~~
「日銀は政府の子会社」 自民・安倍氏:時事ドットコム

「日銀は政府の子会社」 自民・安倍氏:時事ドットコム

自民党の安倍晋三元首相は9日、大分市の会合で、日銀が市場を通じて政府の国債を買い入れていることに触れ、「日銀は政府の子会社だ」と述べた。日銀の独立性に対する信頼...

時事ドットコム

 


 自民党の安倍晋三元首相は9日、大分市の会合で、日銀が市場を通じて政府の国債を買い入れていることに触れ、「日銀は政府の子会社だ」と述べた。日銀の独立性に対する信頼を損ないかねない発言とも受け取れ、波紋を呼びそうだ。

 安倍氏は「(政府の)1000兆円の借金の半分は日銀に(国債を)買ってもらっている」と指摘。「日銀は政府の子会社なので60年で(返済の)満期が来たら、返さないで借り換えて構わない。心配する必要はない」と語った。
~~引用ここまで~~


安倍晋三の「日銀は政府の子会社」との発言は何の問題もない。その通りだからだ。日銀総裁を決めるのは内閣であるし(国会の承認はいる)、議決権は持たないものの日銀の株式の55%は政府が保有している。何より日銀の利益は政府のものになる。これでは日銀は政府の子会社以外の何物でもあるまい。

安倍晋三の「発言」は正しいのだ。あくまで「発言」は、だ。安倍晋三は政府と中央銀行の関係を完全に理解していた。ブレーンであった藤井聡あるいは本田悦郎から教えられたのかもしれないが同じことだ。だが安倍晋三が許されないのは第二次安倍晋三内閣でこの発言通りの政策を全く実行しなかったことだ。

日銀に国債を買わせればインフレにさえ注意すればいくらでも国債を発行しても問題ないことを安倍晋三は完全に理解していた。しかし安倍晋三は第二次安倍晋三内閣で積極財政を実行するどころか消費税を2度に渡り増税し、緊縮財政で国民を痛め付けた。積極財政で経済を成長させて国民生活を豊かにすることより財務省に媚びて政権を維持することを選んだのだよ。

罪深いとしか言いようがあるまい。首相退任後に今更「正論」を述べて後任の内閣総理大臣に圧力を掛けても何の意味もない。第二次安倍晋三内閣は7年8か月も続いた。第一次内閣と併せると安倍晋三は憲政史上最長の内閣総理大臣だった。だが外交もそうだが、安倍晋三は経済政策で日本に何の貢献もしなかった。それが私の評価だ。

>日銀の独立性に対する信頼を損ないかねない発言とも受け取れ、波紋を呼びそうだ。

「波紋を呼びそうだ」。批判を喚起したい時のマスコミの常套句だ。時事通信を買い被りすぎていたようだ。時事通信は日本のマスコミの中ではまだしも経済に理解があると思っていたのだが、そんなことは全くなかった。日銀の独立性を過度に重視し、国債の引き受けに理解を持たない。

今のところ在京6紙は様子見なのか社説で安倍晋三の発言に噛みついた新聞はない。明日にでも社説で批判するかもしれないが、今のところはどこも言及していない。

日銀の独立性は手段の独立であり、日銀が政府の子会社であることを否定するものではない。それにマスコミや知識人、日銀自体が「独立性」を過度に強調して政府の干渉に反対するが、正しくはない。

確かに日本人は独裁を嫌う。民主主義も独裁者の出現を許さない。日本の歴史上独裁者は何度か出たが、大体悲惨な最期を遂げている。織田信長のように。しかし政府に内閣総理大臣に権限を集中させるべきなのだ。公定歩合や国債の引き受けには政府が責任を持つべきであり、選挙により国民の審判を受けない日銀に独立性など持たせるべきではない。

政府の内閣の内閣総理大臣の独裁を防ぐのは国会と司法の独立だけで良い。議院内閣制では内閣と国会の関係は極めて近いものなのだが。三権分立であり、中央銀行の独立は憲法上、あるいは民主主義の慣習上のものではない。

だから検察も内閣の一部局であるし、NHK会長も内閣に任命されたNHK経営委員が決める。まどろっこしいが。ただ検察の捜査に介入するには法相の指揮権発動を経なければならない。それをしないで尖閣諸島に上陸した中国人船長を那覇地検に不起訴にさせた菅直人は違法である。またNHK会長をワンクッションおいて任命できるにしろ個別の番組に介入することは違法だ。

だが野党は安倍晋三の「発言」に噛みついている。

~~引用ここから~~
立民幹事長、安倍氏発言を批判 政府・自民は論評避ける:時事ドットコム

立民幹事長、安倍氏発言を批判 政府・自民は論評避ける:時事ドットコム

自民党の安倍晋三元首相が「日銀は政府の子会社」と発言したことに対し、立憲民主党の西村智奈美幹事長は10日の記者会見で「とうとう本音が出たかなと思う。大変問題だ」...

時事ドットコム

 


 自民党の安倍晋三元首相が「日銀は政府の子会社」と発言したことに対し、立憲民主党の西村智奈美幹事長は10日の記者会見で「とうとう本音が出たかなと思う。大変問題だ」と批判し、国会で政府側をただしていく方針を示した。松野博一官房長官は直接の論評を避け、中央銀行としての独立性が重要との認識を示すにとどめた。

 西村氏は「アベノミクスと称して異次元の金融緩和を主導してきた結果として今の日本の財政、経済状況になっている」と指摘。「子会社」発言について「やはりそういうふうに思ってきたということだ」と反発した。

 一方、松野長官は会見で「個別の発言にコメントは差し控える」とした上で「日銀法上、日銀の通貨と金融の調節での自主性は尊重されなければならないとされている」と述べるにとどめた。自民党の茂木敏充幹事長も会見で「金融政策については日銀の自主性、独立性に委ねられるのが基本」と語った。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は会見で「政府と中央銀行を連結ベースで考えるのはそれほど珍しいことではない。いわゆる統合政府という考え方だ」と発言に理解を示した。
~~引用ここまで~~


立憲民主党の幹事長からしてこの理解では経済が悪くなるのも無理はない。玉城雄一郎は理解しているが、肝心の政府、与党が理解していないのではないか。

ツイッターで安倍晋三の発言について私を含めて政治に関心のあるツイッター民があれこれ論評していたのだが、安倍晋三の「発言」を否定する声が多くて絶望的な気持ちになった。

私のタイムラインは安倍晋三に批判的なアカウントを多くフォローしているが、それでも正しいものと誤ったものを正しく評価しなければならない。安倍晋三の「発言」は正しいのだ。繰り返すが発言は、だ。安倍晋三が批判されるべきはそれを内閣総理大臣在任中に実行しなかったことだ。だから私は安倍晋三を欠片も評価できない。

国民や野党の頭の程度がこれでは政治がおかしくなるのも無理はないのではないか。


(参考サイト)
三橋貴明『安倍・元総理の日銀に関する正しい発言』

三橋貴明『安倍・元総理の日銀に関する正しい発言』

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