経済分野では日経新聞は読売新聞より影響力があるかもしれない。矢野康治財務事務次官の文藝春秋への寄稿以降日経新聞の財政出動を妨害する言論は多すぎる。とても全ては把握できないし、批判しきれない。だがまずは社説から批判していきたい。
ひとつずつ批判していきたい。
>与党が予想以上に健闘した背景には、野党の政権担当能力に対する国民の不信感もあった。衆院選で競った「改革なき分配」の危うさを、野党の方により強く感じていたのではなかろうか。
選挙結果を都合よく解釈するのは日経新聞に限ったことではないが、ご都合主義が過ぎよう。立憲民主党は消費税減税をあまり強く主張していなかったし、「改革勢力」である維新さえ消費税減税を主張していたのだ。「改革なき分配」など関係ない。
>大阪での実績を踏まえ「改革」の重要性を訴えた日本維新の会は、大幅に議席を伸ばした。首相はこうした民意と真摯に向き合い、「分配」に傾きがちな政策運営を修正しなければならない。
維新が議席を伸ばしたのは確かに改革を望む国民が一定数いることの現れだろう。しかし一定数に過ぎないのだ。維新の獲得した比例票も議席も立憲民主党に大きく劣る。改革より分配を望む国民が多いことの証明だ。
>ただ首相が言う数十兆円規模の財政出動が本当に要るのか。なかでも高校3年生までの子ども全てに一律約10万円を給付するという公明の公約は理解できない。
数十兆円規模では足りないだろう。現在は供給サイドの政策ではなく需要サイドの政策が必要なのだから。高校三年生までの子供一人に一律10万円支給だと子供がいない我が家は貰えない。国民に一律10万円支給して欲しいものだ。
>余裕のある個人や企業にまで広くカネを配るのは、厳に慎むべきだ。むしろコロナの検査体制の拡充、病床や医師・看護師の確保などを優先してほしい。コロナ対応の司令塔機能の構築や行政権限の強化を実現する法改正も、より具体的に示す必要がある。
余裕のある個人と余裕のない個人をどこで線引きするのだ。ギリギリで貰えなければ不公平感が出てきてしまうだろう。所得税の累進課税の強化や金融所得課税の総合課税化により富裕層から多く取れば一律10万円配っても問題ない。コロナ対策のために病床や医師、看護師の確保、待遇改善は必要だが、別の話だ。一律10万円を配りつつ、病床の確保もすれば良いだけだ。
>かたや成長戦略は曖昧である。グリーン化やデジタル化、経済安全保障などの施策を列挙するが、国の財政出動や産業政策に多くを頼っているのは否めない。
「成長戦略」では経済は成長しない。必要なのは国債発行による積極財政だからだ。産業政策も悪くはない。しかし必要なのは需要サイドの政策ということを繰り返し強調しておきたい。
>首相に強く望みたいのは、個人や企業の活力を引き出す環境づくりだ。産業の新陳代謝や労働者の生産性を高める法制度、規制の改革は避けて通れない。起業の促進、女性や高齢者の活躍につながる施策をもっと深掘りすべきだ。
産業の新陳代謝という美辞麗句で包めば賛同する人も出てこようが、要は「生産性の低い」企業の倒産を促すことだ。それなら時代遅れの新聞保護の規制を取り払ってはどうか。新聞業界は「民主主義に寄与してきた」などと胸を張るが、若者はもう新聞を読んでいない。先がない産業なのだ。新陳代謝を促したい。自分達だけ例外扱いを求めるのは卑怯としか言いようがない。
規制緩和はろくなことがなかった。労働者は非正規雇用ばかりになり、生活が苦しくなった。水道の民営化まで規制を緩和した結果宮城県では外資に支配されることになった。宮城県知事を代えることで水道民営化を止める最後の機会だったのだが、これで一度は民営化する羽目になってしまった。
>コロナ禍の出口がみえたあかつきには、財政再建にも取り組む必要がある。高齢者向けの社会保障制度の効率化や消費税率の引き上げなど、いずれは痛みを伴う改革に向き合わざるを得まい。
また「痛みを伴う改革」だ。小泉純一郎からずっと痛みを伴う改革をやられてきたが、改革をした後も国民生活が良くなったことはない。痛みだけなのだ。雇用は非正規になり、実質賃金は100万円も下がり、消費税は10%まで増税され、国民負担率は44.6%にまで上げられた。生活が苦しい人はかなりの割合になるはずだ。
「痛みを伴う改革」は国民を痛みを与えるだけなのだ。痛みに耐えたあと何か良くなることはない。こんなことを堂々と社説で主張する新聞を購読するなど自傷行為としか言えない。日経新聞に限らず新聞はどれも同じだ。全国紙だけではない。地方紙もそうだ。
だが竹中平蔵が会長を務めるパソナなどは規制緩和、「改革」で儲けることができるので日経新聞に限らず日本の新聞を喜んで購読して広告を出すだろう。
>一方で政権批判に軸足を置き、消費税率の引き下げや低中所得層の所得税の実質免除にまで踏み込む無責任な公約が、有権者に広くは受け入れられなかったようにみえる。
また都合の良い選挙結果の解釈だ。消費税減税を所得税の免除は無責任な公約ではない。所得税より社会保険料の方が負担が重いのでそちらを免除ないし軽減して欲しいが。
財務省を頂点にした緊縮財政派のプロパガンダが国民を相当に洗脳している。消費税増税や歳出削減が必要なものと思い込まされている。そうではないのだ。経済は苦しめば後に報われるわけではない。勉強やスポーツ、仕事とは違うのだ。
童話「アリとキリギリス」で日本人の民族性はまさにアリなのだが、経済はキリギリスにならねば経済成長しないのである。「欲しがりません、勝つまでは」の精神では経済が良くなることは決してない。アリの日本人には難しいかもしれないが、浪費しなくてはいけないのだ。
このことは繰り返し強調してきたし、これからも主張するが、財務省を頂点にした財政破綻派のプロパガンダを打ち破るのは難しい。
日経新聞は英国のフィナンシャル・タイムズを買収したので応援したかったのだが、読売新聞より緊縮財政を主張するようではフィナンシャル・タイムズを手放す羽目になっても潰したい。それが国益、国民の利益だ。
財政破綻派の新聞、経済紙は不買して欲しいし、何より緊縮財政派に騙されないで欲しい。私のブログは過疎ブログだから影響力は微々たるものなのだが。
~~引用ここから~~
[社説]改革なき分配を国民は支持しない(写真=共同)
第49回衆院選では自民党が単独で絶対安定多数の261議席を確保し、公明党を含めた与党全体で293議席を獲得した。岸田文雄首相は続投し、10日...
日本経済新聞
第49回衆院選では自民党が単独で絶対安定多数の261議席を確保し、公明党を含めた与党全体で293議席を獲得した。岸田文雄首相は続投し、10日に第2次内閣を発足させる運びだ。
与党が予想以上に健闘した背景には、野党の政権担当能力に対する国民の不信感もあった。衆院選で競った「改革なき分配」の危うさを、野党の方により強く感じていたのではなかろうか。
活力生む成長戦略を
大阪での実績を踏まえ「改革」の重要性を訴えた日本維新の会は、大幅に議席を伸ばした。首相はこうした民意と真摯に向き合い、「分配」に傾きがちな政策運営を修正しなければならない。
折しもローマでは、20カ国・地域(G20)の首脳会議が開かれた。新型コロナウイルスの感染防止と景気の本格回復に向け「全ての利用可能な政策手段を用いる」との首脳宣言を採択した。
首相が真っ先に取り組まなければならないのも、まさにコロナ禍の克服と日本経済の底上げだ。感染症の拡大は下火になっているとはいえ、万全な体制にはほど遠い。困窮する個人や企業への支援も手を抜くわけにはいくまい。
首相は近くコロナ対策の全体像を示し、これも反映した経済対策を早急に策定したいという。今冬にかけて感染の「第6波」が起きることを前提に、必要な予算を重点的に手当てしたい。
ただ首相が言う数十兆円規模の財政出動が本当に要るのか。なかでも高校3年生までの子ども全てに一律約10万円を給付するという公明の公約は理解できない。
余裕のある個人や企業にまで広くカネを配るのは、厳に慎むべきだ。むしろコロナの検査体制の拡充、病床や医師・看護師の確保などを優先してほしい。コロナ対応の司令塔機能の構築や行政権限の強化を実現する法改正も、より具体的に示す必要がある。
首相は成長と分配の好循環を目指す「新しい資本主義」の実現会議も立ち上げた。重点を置くのは子育て世帯の住居費・教育費支援、賃金を引き上げる企業への税制支援といった分配戦略だ。
かたや成長戦略は曖昧である。グリーン化やデジタル化、経済安全保障などの施策を列挙するが、国の財政出動や産業政策に多くを頼っているのは否めない。
首相に強く望みたいのは、個人や企業の活力を引き出す環境づくりだ。産業の新陳代謝や労働者の生産性を高める法制度、規制の改革は避けて通れない。起業の促進、女性や高齢者の活躍につながる施策をもっと深掘りすべきだ。
コロナ禍の出口がみえたあかつきには、財政再建にも取り組む必要がある。高齢者向けの社会保障制度の効率化や消費税率の引き上げなど、いずれは痛みを伴う改革に向き合わざるを得まい。
外交・安全保障政策も怠れない。衆院選中も北朝鮮はミサイル発射を続け、中国やロシアの海軍艦艇10隻が日本列島をほぼ一周した。東アジア情勢緊迫への対応は喫緊の課題だ。温暖化ガスの排出削減が前提となるエネルギー戦略でも、より具体的で実現性の高い選択肢を示す責任がある。
立憲民主党や共産党など野党5党は、多くの小選挙区の候補を一本化したにもかかわらず、接戦区で競り負けるケースが目立った。立民は公示前の110議席を下回る96議席にとどまった。
野党は政策を立て直せ
野党が選挙戦で訴えた「安倍、菅両内閣の下でおごりやゆるみが増大した」との主張は一定の共感を得たようだ。一方で政権批判に軸足を置き、消費税率の引き下げや低中所得層の所得税の実質免除にまで踏み込む無責任な公約が、有権者に広くは受け入れられなかったようにみえる。
野党共闘には加わらなかった維新だけが躍進したのは皮肉だ。衆院選は「政権選択選挙」であり、野党であっても明確な国家ビジョンや政権構想を示して臨んでもらわなければ困る。とりわけ立民は党体制の抜本的な見直しが急務となる。
与党も衆院選で国民の強い支持を得たとは思わない方がよい。自民の甘利明幹事長が小選挙区で競り負け、辞任が決まった。野田毅元自治相、石原伸晃元幹事長らベテランも相次いで落選した。
政治資金を巡る疑惑や長老支配など「古い政治」への有権者の拒否反応は着実に増している。首相が総裁選で掲げた党改革への取り組みを軽視し、重要な政策課題で期待する成果をあげられなければ、来年夏の参院選で手痛いしっぺ返しを食うだろう。
~~引用ここまで~~
ひとつずつ批判していきたい。
>与党が予想以上に健闘した背景には、野党の政権担当能力に対する国民の不信感もあった。衆院選で競った「改革なき分配」の危うさを、野党の方により強く感じていたのではなかろうか。
選挙結果を都合よく解釈するのは日経新聞に限ったことではないが、ご都合主義が過ぎよう。立憲民主党は消費税減税をあまり強く主張していなかったし、「改革勢力」である維新さえ消費税減税を主張していたのだ。「改革なき分配」など関係ない。
>大阪での実績を踏まえ「改革」の重要性を訴えた日本維新の会は、大幅に議席を伸ばした。首相はこうした民意と真摯に向き合い、「分配」に傾きがちな政策運営を修正しなければならない。
維新が議席を伸ばしたのは確かに改革を望む国民が一定数いることの現れだろう。しかし一定数に過ぎないのだ。維新の獲得した比例票も議席も立憲民主党に大きく劣る。改革より分配を望む国民が多いことの証明だ。
>ただ首相が言う数十兆円規模の財政出動が本当に要るのか。なかでも高校3年生までの子ども全てに一律約10万円を給付するという公明の公約は理解できない。
数十兆円規模では足りないだろう。現在は供給サイドの政策ではなく需要サイドの政策が必要なのだから。高校三年生までの子供一人に一律10万円支給だと子供がいない我が家は貰えない。国民に一律10万円支給して欲しいものだ。
>余裕のある個人や企業にまで広くカネを配るのは、厳に慎むべきだ。むしろコロナの検査体制の拡充、病床や医師・看護師の確保などを優先してほしい。コロナ対応の司令塔機能の構築や行政権限の強化を実現する法改正も、より具体的に示す必要がある。
余裕のある個人と余裕のない個人をどこで線引きするのだ。ギリギリで貰えなければ不公平感が出てきてしまうだろう。所得税の累進課税の強化や金融所得課税の総合課税化により富裕層から多く取れば一律10万円配っても問題ない。コロナ対策のために病床や医師、看護師の確保、待遇改善は必要だが、別の話だ。一律10万円を配りつつ、病床の確保もすれば良いだけだ。
>かたや成長戦略は曖昧である。グリーン化やデジタル化、経済安全保障などの施策を列挙するが、国の財政出動や産業政策に多くを頼っているのは否めない。
「成長戦略」では経済は成長しない。必要なのは国債発行による積極財政だからだ。産業政策も悪くはない。しかし必要なのは需要サイドの政策ということを繰り返し強調しておきたい。
>首相に強く望みたいのは、個人や企業の活力を引き出す環境づくりだ。産業の新陳代謝や労働者の生産性を高める法制度、規制の改革は避けて通れない。起業の促進、女性や高齢者の活躍につながる施策をもっと深掘りすべきだ。
産業の新陳代謝という美辞麗句で包めば賛同する人も出てこようが、要は「生産性の低い」企業の倒産を促すことだ。それなら時代遅れの新聞保護の規制を取り払ってはどうか。新聞業界は「民主主義に寄与してきた」などと胸を張るが、若者はもう新聞を読んでいない。先がない産業なのだ。新陳代謝を促したい。自分達だけ例外扱いを求めるのは卑怯としか言いようがない。
規制緩和はろくなことがなかった。労働者は非正規雇用ばかりになり、生活が苦しくなった。水道の民営化まで規制を緩和した結果宮城県では外資に支配されることになった。宮城県知事を代えることで水道民営化を止める最後の機会だったのだが、これで一度は民営化する羽目になってしまった。
>コロナ禍の出口がみえたあかつきには、財政再建にも取り組む必要がある。高齢者向けの社会保障制度の効率化や消費税率の引き上げなど、いずれは痛みを伴う改革に向き合わざるを得まい。
また「痛みを伴う改革」だ。小泉純一郎からずっと痛みを伴う改革をやられてきたが、改革をした後も国民生活が良くなったことはない。痛みだけなのだ。雇用は非正規になり、実質賃金は100万円も下がり、消費税は10%まで増税され、国民負担率は44.6%にまで上げられた。生活が苦しい人はかなりの割合になるはずだ。
「痛みを伴う改革」は国民を痛みを与えるだけなのだ。痛みに耐えたあと何か良くなることはない。こんなことを堂々と社説で主張する新聞を購読するなど自傷行為としか言えない。日経新聞に限らず新聞はどれも同じだ。全国紙だけではない。地方紙もそうだ。
だが竹中平蔵が会長を務めるパソナなどは規制緩和、「改革」で儲けることができるので日経新聞に限らず日本の新聞を喜んで購読して広告を出すだろう。
>一方で政権批判に軸足を置き、消費税率の引き下げや低中所得層の所得税の実質免除にまで踏み込む無責任な公約が、有権者に広くは受け入れられなかったようにみえる。
また都合の良い選挙結果の解釈だ。消費税減税を所得税の免除は無責任な公約ではない。所得税より社会保険料の方が負担が重いのでそちらを免除ないし軽減して欲しいが。
財務省を頂点にした緊縮財政派のプロパガンダが国民を相当に洗脳している。消費税増税や歳出削減が必要なものと思い込まされている。そうではないのだ。経済は苦しめば後に報われるわけではない。勉強やスポーツ、仕事とは違うのだ。
童話「アリとキリギリス」で日本人の民族性はまさにアリなのだが、経済はキリギリスにならねば経済成長しないのである。「欲しがりません、勝つまでは」の精神では経済が良くなることは決してない。アリの日本人には難しいかもしれないが、浪費しなくてはいけないのだ。
このことは繰り返し強調してきたし、これからも主張するが、財務省を頂点にした財政破綻派のプロパガンダを打ち破るのは難しい。
日経新聞は英国のフィナンシャル・タイムズを買収したので応援したかったのだが、読売新聞より緊縮財政を主張するようではフィナンシャル・タイムズを手放す羽目になっても潰したい。それが国益、国民の利益だ。
財政破綻派の新聞、経済紙は不買して欲しいし、何より緊縮財政派に騙されないで欲しい。私のブログは過疎ブログだから影響力は微々たるものなのだが。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます