新聞には本当に価値がない。改めてそう思わされる社説である。日経新聞は昨日引用した社説と同じものだが、在京6紙は予算が膨らんだことを財政規律が緩んだなどと非難する。安全保障や憲法、国家観で左右対立する在京6紙がこと財政に関わると一致して緊縮財政を主張する不気味さだ。主要地方紙も北國新聞を除いて同じである。
しかしこの程度の予算では新型コロナウイルスで落ち込んだ経済を下支えするには足りないのだ。それなのに気にするのは「借金」のことだけだ。歳出を増やさなければ餓死する国民もいるというのに新聞にはそれが見えないのだろうか。
積み重なった債務は日銀に買い取らせれば良いのである。累積債務を増税や歳出削減で返済することは不可能だ。資源国以外の國はどこも国債を返済していない。借り換えを繰り返して将来に繰り延べを繰り返している。それで良いのだ。返済は不可能だし、する必要がない。
確かにレバノンのように供給力が足りない國にはそれはできない。待っているのはハイパーインフレか外貨の不足による自国通貨の暴落だ。しかし日本は永年需要不足なのである。供給力は有り余っている。国債を大量に発行して需要不足を補う必要がある。経済の再生にはそれしかない。
新聞の社説を読む人は少数派だとは思うが、社説は新聞社の論調である。社説に従って他の紙面も書かれる。「借金」が大変だというように。新聞社はテレビ局と同一資本のもとにある(毎日新聞とTBSは人的関係のみで資本的関係は薄い)。従ってテレビ局の報道内容も新聞と同じものになる。
新聞とテレビの報道内容が財政再建のための論調になるのだ。これは侮れない世論への影響力を持つだろう。
歳出を減らすと景気が急激に落ち込むことを理解しているのだろうか。橋本龍太郎の緊縮財政で金融機関の倒産が相次ぎ、失業者、自殺者が増大したことをマスコミは忘れてしまったのか。
一応在京6紙の社説を全文引用するが読む必要はない。読む価値がないからだ。もっとも読んでも騙されなければ損はないし、SNSなどで社説の批判をしてくれればそれはありがたいことだ。
引用ばかりして文字数を稼ぐのも本意ではないのだが、仕方ない。
~~引用ここから~~
感染症の拡大防止に万全を期しつつ、予算の膨張を抑えるために、効率的な使い道を精査しなければならない。
政府の2021年度予算案が決まった。一般会計の総額は106・6兆円となり、20年度当初予算から約4兆円増えて、過去最大を更新した。
新型コロナウイルスの流行に対応する予備費として、5兆円を計上したことで総額が増加したという。保健所や感染症研究の体制強化のための予算も盛り込んだ。
新規感染者や重症者の数は増え続けており、医療体制を支える費用は惜しむべきではない。
デジタル化や、温室効果ガスの排出を抑制する「脱炭素化」の促進も大切なテーマである。
菅内閣が掲げるデジタル庁創設に向け、関連省庁の情報システム整備に、省庁の枠を超えて一括で約3000億円を計上した。環境対策では、燃料としての水素活用の支援策などを拡充した。
企業の投資を促していく成長分野への支出は重要だ。
それ以外の予算を、いかに効率化するかが問われている。
歳出の3分の1を占めている医療や年金、介護などの社会保障費は35・8兆円と、20年度当初と比べ微増だった。
薬の公定価格(薬価)を多くの品目で引き下げて約1000億円削り、高齢化による自然増を3500億円に抑えたという。
だが、22年に団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり始め、社会保障費の増加ペースは加速する見込みだ。高齢者に求める医療費の窓口負担引き上げは一定の結論を得た。給付と負担の適正化へ、さらに改革議論を続けてほしい。
公共事業費は横ばいの6・1兆円だったが、20年度3次補正に国土強靱きょうじん化対策などで2兆円超が計上され、拡大基調にある。
頻発する水害への対応は欠かせないとしても、不要不急の事業を紛れ込ませることがあってはならない。国会審議を通じ、十分に点検してもらいたい。
20年度予算は、当初の約103兆円から3度の補正で約176兆円に膨らんだ。新規国債発行額は112・6兆円と、未曽有の規模である。税収の低迷が予想される21年度も、20年度当初より約3割多い43・6兆円とする計画だ。
感染拡大が長引けば、再び歳出圧力が強まりかねない。査定の甘い補正で、予算の増大を招く事態には注意が要る。政府は、借金頼みの歳出増が持続可能ではないことを、肝に銘じるべきだ。
~~引用ここまで~~
~~引用ここから~~
財政規律のたがが外れてしまったと言うほかない。政府がきのう閣議決定した来年度当初予算案と、先週決めた今年度3次補正予算案である。
来年度当初の総額は106・6兆円。コロナ対策に備えた予備費5兆円を除けば、今年度当初から1兆円ほど減る。総額が抑えられたように見えるのは、「15カ月予算」の考え方のもとで一体編成した今年度3次補正に、額がかさむ目玉事業をことごとく押し込んだからだ。3次補正を加えた実質的な来年度予算は、同じく15カ月予算だった今年度より16兆円も多い。
感染防止対策や失業防止のための休業支援などは理解できる。問題は、コロナ禍と関係が薄い事業まで続々と、どさくさに紛れて盛り込んだことだ。
5年間の国土強靱(きょうじん)化対策は、必要な工事を積み上げずに、与党の言い値で15兆円の総事業費を固めた。新設する大学の研究支援ファンドには、肝心の資金の運用方法を詰めないまま4・5兆円を投じる。
コロナ下で「事務負担を軽減する」との理由で、これらの事業は金額や積算根拠を明示せずに各省から要求されていた。透明性の確保が課題だったが、公の場での議論がほとんどないまま決められてしまった。
水面下の調整では、自民党の有力議員が「一律10万円の現金給付に10兆円超を使ったのに、この事業ができないのか」と迫る一幕もあったという。政府も与党も税金を扱っているという認識を失い、金銭感覚がまひしてしまったのではないか。
東日本大震災の復興予算編成の際には、民主党政権の看板政策だった高速道路無料化が見直され、国家公務員の給与もカットされた。対照的に菅政権には、財源を捻出しようとする姿勢がみられない。
訪日観光客の回復が見込めないのに、3次補正に「インバウンド復活に向けた基盤整備」として650億円計上した。人の移動の減少が予想されるなか、来年度当初では国の直轄道路を新増設する予算を増やした。
あらゆる政策には、それによって恩恵を受ける人がいる。財源を気にしなければ、予算は野放図に膨らむばかりだ。
来年度末の国債発行残高は1千兆円に迫る見通しだ。日本銀行による国債の大量購入という異例の政策に頼って、次世代に借金のツケを回し続けるのは、あまりに無責任である。
25年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化する目標は有名無実となってしまった。優先度の低い事業はやめ、必要な事業の財源をきちんと確保する。そんな基本を忘れていては、財政の健全化など望むべくもない。
~~引用ここまで~~
~~引用ここから~~
菅政権が初めて編成した来年度予算案は過去最大の106兆円超に膨らんだ。新型コロナウイルス対策費などが増えたためという。
新たに発行する国債は40兆円を超す。今年度の当初予算より10兆円以上も多い。国と地方の債務残高は1200兆円を上回り、借金漬けが一段と深刻になる。
暮らしを守る支出は惜しむべきではない。だからといって財政規律を緩めていいわけではない。歳出を野放図に増やすと、将来世代に重いつけを負わせる。
不要不急の事業を洗い出し、大胆に削る必要があったのに、政府はほとんど手を付けなかった。むしろコロナ禍による景気悪化に乗じて規模を拡大したのが実態だ。
公共事業には例年通り手厚く配分した。先週決めた補正予算案に1兆円超の国土強靱(きょうじん)化費を盛り込んだのに続き、6兆円計上した。だが整備新幹線や道路、港湾など従来型のインフラは、以前から費用対効果が疑問視されてきた。
高齢化で膨らみ続ける社会保障費も最大の35兆円超となった。高齢者に偏る支出の見直しが急務だが、不十分な対応に終わった。
政府の判断で使途が決められるコロナ対策予備費も5兆円と巨額だ。国会の事前承認が不要なためチェック機能が働かない。今年度も、一時停止が決まる直前の旅行支援策GoToトラベルに3000億円超がつぎ込まれた。
背景には、来年秋までに行われる衆院選をにらんだ与党の歳出拡大要求がある。無駄の排除を掲げる菅政権だが、看板倒れとみられても仕方がない。
アベノミクスは、政府が予算を大盤振る舞いし、日銀が国債を事実上買い支えた。菅政権も継承したのなら危機感がなさすぎる。
急速な高齢化が進む中、借金まみれのままでは、社会保障制度に対する国民の不安が高まる。財布のひもがさらに締められ、景気回復の足かせとなる恐れがある。
消費税は今年度、個別の税収で初めて最大になる。コロナ禍でも国民に負担を求めている以上、政府は財政の無駄を省き、健全化の道筋を示す責任がある。
予算案は年明けの通常国会に提出される。予算審議は国会の最大の責務だ。政府に財政の将来像を明らかにするよう求めるべきだ。
~~引用ここまで~~
~~引用ここから~~
政府が2021年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は当初予算で過去最高の106兆円超となり、新規国債の発行で4割を賄う。コロナ禍の克服と成長基盤の強化に焦点を当てたのはいいが、財政規律の緩みは隠せない。
政府は20年度第3次補正予算案も含めた「15カ月予算」との位置づけで、コロナの感染防止と経済の回復を後押しする。一連の予算で医療体制の拡充や企業・家計の支援を急ぎ、グリーン化やデジタル化を促すのは妥当だ。
だが賢い支出を積み上げたと胸を張れる内容だろうか。15カ月予算の中に、首をかしげたくなるものが紛れているのは確かだ。
多くの問題をはらむのはコロナ対策の予備費である。20~21年度の合計で10兆円を確保し、その使途を政府の判断に委ねる。病床や医療人材の確保などに充てるのならともかく、不要不急のカネをばらまくのでは困る。
公共事業全体の規模を抑えつつ、与党が望む国土強靱(きょうじん)化には予算を重点配分した。減災・防災事業の重要性は認めるが、21~25年度に15兆円も投じる必要があるのだろうか。
脱炭素社会の実現を促す基金や、大学の高度な研究を促す基金への支出も巨額である。目利きの能力に乏しい人々がグリーン化やデジタル化を大義名分に、無駄な投資や出資を繰り返さぬよう、政府は細心の注意を払ってほしい。
一般会計の3分の1を占める社会保障費への切り込みも甘い。高齢化の進展などに伴う実質的な伸びを3500億円にとどめたというが、この程度の抑制では社会保障制度の持続性が危うい。
介護保険の抜本改革に向けた議論を避けたまま、3年に1度の介護報酬改定で安易に引き上げを認めたのが典型だろう。薬価の引き下げは評価したいが、その陰でコロナ対応を名目とする異例の診療報酬引き上げが決まっていたのも見過ごすわけにはいかない。
国の21年度の基礎的財政収支は20兆円超の赤字となり、地方との合計で25年度に黒字化するという目標の達成はもはや絶望的だ。国・地方の21年度末の長期債務残高は1200兆円超に膨らむ。
たとえ危機下でも財政に負荷をかけすぎれば、そのツケはいずれ返ってくる。当面の予算措置で一定の規律を守るだけでなく、コロナ後を見据えた本格的な歳入・歳出改革の議論も始めるべきだ。
~~引用ここまで~~
~~引用ここから~~
政府が一般会計総額106兆6千億円の令和3年度予算案を閣議決定した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2年度当初予算より4兆円近くも膨らみ、9年連続で過去最高を更新した。
2年度予算についても、15日に閣議決定した3次補正まで含めると、175兆円を超える尋常ならざる規模まで膨らんだ。
これだけの予算をつぎ込むのである。菅義偉政権は、感染拡大の阻止はもちろん、経済再生を成し遂げることに重大な責任を負うことを厳しく認識してほしい。
当初予算と3次補正を一体で編成する15カ月予算とした。当面のコロナ対策は主として補正で手当てし、当初予算には使途が決まっていない予備費5兆円を盛り込んだ。高齢化で膨張を続ける社会保障費も過去最大を更新した。
薬価改定で実勢価格の下落を反映させるなど、予算膨張を抑制する取り組みもある。だが、総じていえば、歳出の急増を賄うのに有効な、新しい財源を見いだす工夫はほとんど見受けられない。
そこに財政規律はあるのか。予算編成過程では、脱炭素化の研究開発を支援する2兆円基金や、大学の研究基盤を強化する10兆円規模のファンド創設など、破格といえる事業も認められた。
政策目的は妥当でも基金などの運営が適正でなければ、壮大な無駄を生みかねない。政府の裁量で使うことができる予備費も同様である。支出の際には、その効果を厳しく見極めるよう求めたい。
看過できないのは、コロナ禍が収束した後の財政のありようについて全く道筋を描けていないことだ。危機に際し財政の力強い後押しが必要なのは当然としても、極度に悪化した財政の現実から目をそらすことは許されない。
このままでは、令和7年度の基礎的財政収支(PB)の黒字化目標の達成も絶望的だろう。経済環境が激変する中で財政をどう立て直すのか。この点について菅首相は明確に語るべきである。
国の歳出はリーマン・ショックで一気に拡大した後も元の水準に戻ることはなく、景気回復が続く中でも増加の一途をたどった。その中でのコロナ禍である。
いったん膨らんだ予算を元に戻すのは難しいのが現実だ。だからこそ、平時に戻ったときの具体的な対応について、国民に明示する必要がある。
~~引用ここまで~~
~~引用ここから~~
政府が二〇二一年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は百六兆円を超え過去最大の規模に膨れ上がった。新型コロナ対策に予算を投じるのは当然としても、財政規律が緩み過ぎていないか。
国の財政は非常に苦しい。税収はコロナ禍により法人税が落ち込んだのが響いて、二〇年度当初と比べ9・5%も減った。
これを穴埋めするために新たな国債を四十三兆円以上増発せねばならず、発行額が十一年ぶりに増加に転じた。二一年度の歳入に占める国債の割合(国債依存度)も七年ぶりに40%を超えることになった。
こうした状況は巨額の有利子負債で経営危機に陥った企業の姿と重なる。だが政府や与党の危機意識は薄いと言わざるを得ない。
政府は予算編成方針で「経済あっての財政」と強調。例年盛り込まれる財政健全化の指標(基礎的財政収支)の黒字化目標には直接触れず、財政再建を後回しにする姿勢を一層明確化した。
この背景にあるのがコロナ禍による歳出の圧力膨張だ。新型コロナ対策として予算を要求した場合、財務省も厳しく査定しづらいのが実情だろう。
だが「コロナ対策関係」と銘打った予算でも、すべてが急を要する予算なのかどうか丹念に吟味する必要がある。各省庁はその時の重要テーマと結びつけ、実際には関係の薄い予算を要求する傾向があるためだ。
年明けの国会の審議では、貴重な財源の使い道についてコロナ対策予算を含めて聖域を設けず、厳しく議論すべきだ。
さらに五兆円を積み増した予備費についても指摘したい。二〇年度予算では第二次補正までに十一兆円を超える予備費を計上したが、まだ使い切れていない。
予備費は緊急事態に備えるための資金で政府は国会の議決を経ずに使用できる。このため民主的な財政運営という観点から問題がある。予備費の妥当性についても国会の場で深く議論してほしい。
現在、日銀は銀行を経由した国債引き受けの上限枠を取り払っている。この金融環境が財政の緩みに直結していることも否定できない。
コロナ禍で苦境に立つ人々や産業への援助を惜しむ必要はない。ただ日銀の国債買い入れにも限度がある。野放図な財政のツケは次世代に回る。菅義偉首相は率先して、無駄を極限までそぎ落とす努力を行うべきである。
~~引用ここまで~~
しかしこの程度の予算では新型コロナウイルスで落ち込んだ経済を下支えするには足りないのだ。それなのに気にするのは「借金」のことだけだ。歳出を増やさなければ餓死する国民もいるというのに新聞にはそれが見えないのだろうか。
積み重なった債務は日銀に買い取らせれば良いのである。累積債務を増税や歳出削減で返済することは不可能だ。資源国以外の國はどこも国債を返済していない。借り換えを繰り返して将来に繰り延べを繰り返している。それで良いのだ。返済は不可能だし、する必要がない。
確かにレバノンのように供給力が足りない國にはそれはできない。待っているのはハイパーインフレか外貨の不足による自国通貨の暴落だ。しかし日本は永年需要不足なのである。供給力は有り余っている。国債を大量に発行して需要不足を補う必要がある。経済の再生にはそれしかない。
新聞の社説を読む人は少数派だとは思うが、社説は新聞社の論調である。社説に従って他の紙面も書かれる。「借金」が大変だというように。新聞社はテレビ局と同一資本のもとにある(毎日新聞とTBSは人的関係のみで資本的関係は薄い)。従ってテレビ局の報道内容も新聞と同じものになる。
新聞とテレビの報道内容が財政再建のための論調になるのだ。これは侮れない世論への影響力を持つだろう。
歳出を減らすと景気が急激に落ち込むことを理解しているのだろうか。橋本龍太郎の緊縮財政で金融機関の倒産が相次ぎ、失業者、自殺者が増大したことをマスコミは忘れてしまったのか。
一応在京6紙の社説を全文引用するが読む必要はない。読む価値がないからだ。もっとも読んでも騙されなければ損はないし、SNSなどで社説の批判をしてくれればそれはありがたいことだ。
引用ばかりして文字数を稼ぐのも本意ではないのだが、仕方ない。
~~引用ここから~~
来年度予算案 借金頼みの財政膨張は危うい : 社説
感染症の拡大防止に万全を期しつつ、予算の膨張を抑えるために、効率的な使い道を精査しなければならない。 政府の2021年度予算案が決まった。一...
読売新聞オンライン
感染症の拡大防止に万全を期しつつ、予算の膨張を抑えるために、効率的な使い道を精査しなければならない。
政府の2021年度予算案が決まった。一般会計の総額は106・6兆円となり、20年度当初予算から約4兆円増えて、過去最大を更新した。
新型コロナウイルスの流行に対応する予備費として、5兆円を計上したことで総額が増加したという。保健所や感染症研究の体制強化のための予算も盛り込んだ。
新規感染者や重症者の数は増え続けており、医療体制を支える費用は惜しむべきではない。
デジタル化や、温室効果ガスの排出を抑制する「脱炭素化」の促進も大切なテーマである。
菅内閣が掲げるデジタル庁創設に向け、関連省庁の情報システム整備に、省庁の枠を超えて一括で約3000億円を計上した。環境対策では、燃料としての水素活用の支援策などを拡充した。
企業の投資を促していく成長分野への支出は重要だ。
それ以外の予算を、いかに効率化するかが問われている。
歳出の3分の1を占めている医療や年金、介護などの社会保障費は35・8兆円と、20年度当初と比べ微増だった。
薬の公定価格(薬価)を多くの品目で引き下げて約1000億円削り、高齢化による自然増を3500億円に抑えたという。
だが、22年に団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり始め、社会保障費の増加ペースは加速する見込みだ。高齢者に求める医療費の窓口負担引き上げは一定の結論を得た。給付と負担の適正化へ、さらに改革議論を続けてほしい。
公共事業費は横ばいの6・1兆円だったが、20年度3次補正に国土強靱きょうじん化対策などで2兆円超が計上され、拡大基調にある。
頻発する水害への対応は欠かせないとしても、不要不急の事業を紛れ込ませることがあってはならない。国会審議を通じ、十分に点検してもらいたい。
20年度予算は、当初の約103兆円から3度の補正で約176兆円に膨らんだ。新規国債発行額は112・6兆円と、未曽有の規模である。税収の低迷が予想される21年度も、20年度当初より約3割多い43・6兆円とする計画だ。
感染拡大が長引けば、再び歳出圧力が強まりかねない。査定の甘い補正で、予算の増大を招く事態には注意が要る。政府は、借金頼みの歳出増が持続可能ではないことを、肝に銘じるべきだ。
~~引用ここまで~~
~~引用ここから~~
(社説)来年度予算案 財政規律のたが外れた:朝日新聞デジタル
財政規律のたがが外れてしまったと言うほかない。政府がきのう閣議決定した来年度当初予算案と、先週決めた今年度3次補正予算案である。 来年度当...
朝日新聞デジタル
財政規律のたがが外れてしまったと言うほかない。政府がきのう閣議決定した来年度当初予算案と、先週決めた今年度3次補正予算案である。
来年度当初の総額は106・6兆円。コロナ対策に備えた予備費5兆円を除けば、今年度当初から1兆円ほど減る。総額が抑えられたように見えるのは、「15カ月予算」の考え方のもとで一体編成した今年度3次補正に、額がかさむ目玉事業をことごとく押し込んだからだ。3次補正を加えた実質的な来年度予算は、同じく15カ月予算だった今年度より16兆円も多い。
感染防止対策や失業防止のための休業支援などは理解できる。問題は、コロナ禍と関係が薄い事業まで続々と、どさくさに紛れて盛り込んだことだ。
5年間の国土強靱(きょうじん)化対策は、必要な工事を積み上げずに、与党の言い値で15兆円の総事業費を固めた。新設する大学の研究支援ファンドには、肝心の資金の運用方法を詰めないまま4・5兆円を投じる。
コロナ下で「事務負担を軽減する」との理由で、これらの事業は金額や積算根拠を明示せずに各省から要求されていた。透明性の確保が課題だったが、公の場での議論がほとんどないまま決められてしまった。
水面下の調整では、自民党の有力議員が「一律10万円の現金給付に10兆円超を使ったのに、この事業ができないのか」と迫る一幕もあったという。政府も与党も税金を扱っているという認識を失い、金銭感覚がまひしてしまったのではないか。
東日本大震災の復興予算編成の際には、民主党政権の看板政策だった高速道路無料化が見直され、国家公務員の給与もカットされた。対照的に菅政権には、財源を捻出しようとする姿勢がみられない。
訪日観光客の回復が見込めないのに、3次補正に「インバウンド復活に向けた基盤整備」として650億円計上した。人の移動の減少が予想されるなか、来年度当初では国の直轄道路を新増設する予算を増やした。
あらゆる政策には、それによって恩恵を受ける人がいる。財源を気にしなければ、予算は野放図に膨らむばかりだ。
来年度末の国債発行残高は1千兆円に迫る見通しだ。日本銀行による国債の大量購入という異例の政策に頼って、次世代に借金のツケを回し続けるのは、あまりに無責任である。
25年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化する目標は有名無実となってしまった。優先度の低い事業はやめ、必要な事業の財源をきちんと確保する。そんな基本を忘れていては、財政の健全化など望むべくもない。
~~引用ここまで~~
~~引用ここから~~
社説:過去最大の予算案 コロナに乗じた野放図さ - 毎日新聞
菅政権が初めて編成した来年度予算案は過去最大の106兆円超に膨らんだ。新型コロナウイルス対策費などが増えたためという。 新たに発行する国...
毎日新聞
菅政権が初めて編成した来年度予算案は過去最大の106兆円超に膨らんだ。新型コロナウイルス対策費などが増えたためという。
新たに発行する国債は40兆円を超す。今年度の当初予算より10兆円以上も多い。国と地方の債務残高は1200兆円を上回り、借金漬けが一段と深刻になる。
暮らしを守る支出は惜しむべきではない。だからといって財政規律を緩めていいわけではない。歳出を野放図に増やすと、将来世代に重いつけを負わせる。
不要不急の事業を洗い出し、大胆に削る必要があったのに、政府はほとんど手を付けなかった。むしろコロナ禍による景気悪化に乗じて規模を拡大したのが実態だ。
公共事業には例年通り手厚く配分した。先週決めた補正予算案に1兆円超の国土強靱(きょうじん)化費を盛り込んだのに続き、6兆円計上した。だが整備新幹線や道路、港湾など従来型のインフラは、以前から費用対効果が疑問視されてきた。
高齢化で膨らみ続ける社会保障費も最大の35兆円超となった。高齢者に偏る支出の見直しが急務だが、不十分な対応に終わった。
政府の判断で使途が決められるコロナ対策予備費も5兆円と巨額だ。国会の事前承認が不要なためチェック機能が働かない。今年度も、一時停止が決まる直前の旅行支援策GoToトラベルに3000億円超がつぎ込まれた。
背景には、来年秋までに行われる衆院選をにらんだ与党の歳出拡大要求がある。無駄の排除を掲げる菅政権だが、看板倒れとみられても仕方がない。
アベノミクスは、政府が予算を大盤振る舞いし、日銀が国債を事実上買い支えた。菅政権も継承したのなら危機感がなさすぎる。
急速な高齢化が進む中、借金まみれのままでは、社会保障制度に対する国民の不安が高まる。財布のひもがさらに締められ、景気回復の足かせとなる恐れがある。
消費税は今年度、個別の税収で初めて最大になる。コロナ禍でも国民に負担を求めている以上、政府は財政の無駄を省き、健全化の道筋を示す責任がある。
予算案は年明けの通常国会に提出される。予算審議は国会の最大の責務だ。政府に財政の将来像を明らかにするよう求めるべきだ。
~~引用ここまで~~
~~引用ここから~~
[社説]財政規律の緩みを隠せぬ来年度予算案: 日本経済新聞
日本経済新聞の電子版。日経や日経BPの提供する経済、企業、国際、政治、マーケット、情報・通信、社会など各分野のニュース。ビジネス、マネー、I...
日本経済新聞
政府が2021年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は当初予算で過去最高の106兆円超となり、新規国債の発行で4割を賄う。コロナ禍の克服と成長基盤の強化に焦点を当てたのはいいが、財政規律の緩みは隠せない。
政府は20年度第3次補正予算案も含めた「15カ月予算」との位置づけで、コロナの感染防止と経済の回復を後押しする。一連の予算で医療体制の拡充や企業・家計の支援を急ぎ、グリーン化やデジタル化を促すのは妥当だ。
だが賢い支出を積み上げたと胸を張れる内容だろうか。15カ月予算の中に、首をかしげたくなるものが紛れているのは確かだ。
多くの問題をはらむのはコロナ対策の予備費である。20~21年度の合計で10兆円を確保し、その使途を政府の判断に委ねる。病床や医療人材の確保などに充てるのならともかく、不要不急のカネをばらまくのでは困る。
公共事業全体の規模を抑えつつ、与党が望む国土強靱(きょうじん)化には予算を重点配分した。減災・防災事業の重要性は認めるが、21~25年度に15兆円も投じる必要があるのだろうか。
脱炭素社会の実現を促す基金や、大学の高度な研究を促す基金への支出も巨額である。目利きの能力に乏しい人々がグリーン化やデジタル化を大義名分に、無駄な投資や出資を繰り返さぬよう、政府は細心の注意を払ってほしい。
一般会計の3分の1を占める社会保障費への切り込みも甘い。高齢化の進展などに伴う実質的な伸びを3500億円にとどめたというが、この程度の抑制では社会保障制度の持続性が危うい。
介護保険の抜本改革に向けた議論を避けたまま、3年に1度の介護報酬改定で安易に引き上げを認めたのが典型だろう。薬価の引き下げは評価したいが、その陰でコロナ対応を名目とする異例の診療報酬引き上げが決まっていたのも見過ごすわけにはいかない。
国の21年度の基礎的財政収支は20兆円超の赤字となり、地方との合計で25年度に黒字化するという目標の達成はもはや絶望的だ。国・地方の21年度末の長期債務残高は1200兆円超に膨らむ。
たとえ危機下でも財政に負荷をかけすぎれば、そのツケはいずれ返ってくる。当面の予算措置で一定の規律を守るだけでなく、コロナ後を見据えた本格的な歳入・歳出改革の議論も始めるべきだ。
~~引用ここまで~~
~~引用ここから~~
【主張】来年度予算案 財政悪化の現実忘れるな
政府が一般会計総額106兆6千億円の令和3年度予算案を閣議決定した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2年度当初予算より4兆円近くも膨らみ...
産経ニュース
政府が一般会計総額106兆6千億円の令和3年度予算案を閣議決定した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2年度当初予算より4兆円近くも膨らみ、9年連続で過去最高を更新した。
2年度予算についても、15日に閣議決定した3次補正まで含めると、175兆円を超える尋常ならざる規模まで膨らんだ。
これだけの予算をつぎ込むのである。菅義偉政権は、感染拡大の阻止はもちろん、経済再生を成し遂げることに重大な責任を負うことを厳しく認識してほしい。
当初予算と3次補正を一体で編成する15カ月予算とした。当面のコロナ対策は主として補正で手当てし、当初予算には使途が決まっていない予備費5兆円を盛り込んだ。高齢化で膨張を続ける社会保障費も過去最大を更新した。
薬価改定で実勢価格の下落を反映させるなど、予算膨張を抑制する取り組みもある。だが、総じていえば、歳出の急増を賄うのに有効な、新しい財源を見いだす工夫はほとんど見受けられない。
そこに財政規律はあるのか。予算編成過程では、脱炭素化の研究開発を支援する2兆円基金や、大学の研究基盤を強化する10兆円規模のファンド創設など、破格といえる事業も認められた。
政策目的は妥当でも基金などの運営が適正でなければ、壮大な無駄を生みかねない。政府の裁量で使うことができる予備費も同様である。支出の際には、その効果を厳しく見極めるよう求めたい。
看過できないのは、コロナ禍が収束した後の財政のありようについて全く道筋を描けていないことだ。危機に際し財政の力強い後押しが必要なのは当然としても、極度に悪化した財政の現実から目をそらすことは許されない。
このままでは、令和7年度の基礎的財政収支(PB)の黒字化目標の達成も絶望的だろう。経済環境が激変する中で財政をどう立て直すのか。この点について菅首相は明確に語るべきである。
国の歳出はリーマン・ショックで一気に拡大した後も元の水準に戻ることはなく、景気回復が続く中でも増加の一途をたどった。その中でのコロナ禍である。
いったん膨らんだ予算を元に戻すのは難しいのが現実だ。だからこそ、平時に戻ったときの具体的な対応について、国民に明示する必要がある。
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来年度予算案 膨張し過ぎではないか:東京新聞 TOKYO Web
政府が二〇二一年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は百六兆円を超え過去最大の規模に膨れ上がった。新型コロナ対策に予算を投じるのは当...
東京新聞 TOKYO Web
政府が二〇二一年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は百六兆円を超え過去最大の規模に膨れ上がった。新型コロナ対策に予算を投じるのは当然としても、財政規律が緩み過ぎていないか。
国の財政は非常に苦しい。税収はコロナ禍により法人税が落ち込んだのが響いて、二〇年度当初と比べ9・5%も減った。
これを穴埋めするために新たな国債を四十三兆円以上増発せねばならず、発行額が十一年ぶりに増加に転じた。二一年度の歳入に占める国債の割合(国債依存度)も七年ぶりに40%を超えることになった。
こうした状況は巨額の有利子負債で経営危機に陥った企業の姿と重なる。だが政府や与党の危機意識は薄いと言わざるを得ない。
政府は予算編成方針で「経済あっての財政」と強調。例年盛り込まれる財政健全化の指標(基礎的財政収支)の黒字化目標には直接触れず、財政再建を後回しにする姿勢を一層明確化した。
この背景にあるのがコロナ禍による歳出の圧力膨張だ。新型コロナ対策として予算を要求した場合、財務省も厳しく査定しづらいのが実情だろう。
だが「コロナ対策関係」と銘打った予算でも、すべてが急を要する予算なのかどうか丹念に吟味する必要がある。各省庁はその時の重要テーマと結びつけ、実際には関係の薄い予算を要求する傾向があるためだ。
年明けの国会の審議では、貴重な財源の使い道についてコロナ対策予算を含めて聖域を設けず、厳しく議論すべきだ。
さらに五兆円を積み増した予備費についても指摘したい。二〇年度予算では第二次補正までに十一兆円を超える予備費を計上したが、まだ使い切れていない。
予備費は緊急事態に備えるための資金で政府は国会の議決を経ずに使用できる。このため民主的な財政運営という観点から問題がある。予備費の妥当性についても国会の場で深く議論してほしい。
現在、日銀は銀行を経由した国債引き受けの上限枠を取り払っている。この金融環境が財政の緩みに直結していることも否定できない。
コロナ禍で苦境に立つ人々や産業への援助を惜しむ必要はない。ただ日銀の国債買い入れにも限度がある。野放図な財政のツケは次世代に回る。菅義偉首相は率先して、無駄を極限までそぎ落とす努力を行うべきである。
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