自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)の重症度にはさまざまな要因が関与しており,腸内細菌もその要因の1つと考えられている。
ASD児は,臨床症状として,便秘や下痢,便秘と下痢を繰り返すなどの消化器症状を併存する頻度が高い。また,定型発達児と比べ特徴的な腸内細菌叢を認め,消化器症状はASDの中核症状と相関することが示唆されている。
近年,治療介入として,プロバイオティクスやプレバイオティクス,さらには,腸管への便微生物叢移植が注目されている。
ASDの腸内細菌叢への治療介入は,消化器症状とASD症状の緩和とそれらによる社会的機能障害の軽減をもたらす可能性がある。
ただし現在のところ,ASDの腸内細菌叢への治療介入は,2重盲検プラセボ対照試験が乏しく,ASDの中核症状への治療法として推奨されてはいない。
治療法として確立するかどうかは,今後の臨床研究による有効性と安全性の評価を待たねばならない。
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1405206834