人の世は、滞在期間の定め無き、今日一日の旅の宿

 時 人を待たず、光陰 惜しむべし
 古より有道の人、国城 男女 七宝 百物を 惜しまず
 唯 光陰のみ、之を惜しむ

共依存の連鎖

2010-05-20 | 日記


アリス.イン.ワンダーランドを観て、ユングの集合的無意識を思い出した。

基本的に、親は自(みずか)らが育てられたように子を育てる。

親は精神的に自ら為(な)し得たことだけを、子へ伝えることができる。

親離れの経験があるからこそ、親離れのできる子を育てる事ができるのだ。

自ら親離れをしていなければ、親離れのできない子を育ててしまうだろう。

アリスが終盤で戦った怪物は、内在化した母権性の象徴である。

精神的成長のプロセスで、自立から婚姻へ至る通過儀礼がテーマになっていた。

依存心を超克するときの恐怖心が怪物の姿であり、権威者に対する恐れを象徴する。

親からの干渉を容認することは、子に対する自らの干渉を認めることに等しい。

この関係が雛形(ひながた)となり、責任の境界線が曖昧な、共依存の関係を導く。

自立不全に由来する無力感を避ける為に、弱者を求めて彷徨う事になるだろう。

自ら権威者になることで、自らの権威者への依存を正当化する必要があるからだ。

共依存は疑似親子関係であり、権威と依存、保護者と被保護者の関係に等しい。

外観の華々しい活動が自己逃避に基づくのなら、自己欺瞞を重ねる事になるだろう。

共依存は互いの自立を助ける関係ではなく、自立を妨げる関係に他ならない。

権威と依存の関係は、自由・平等・友愛に基づく自立した個人の関係を損なう。

他者への"無力"を認めて権威を手放す事は、共依存から自立への最初の一歩である。

今日の縁:  「 依存と権威 」
http://krishnamurti.g.hatena.ne.jp/sessendo/20110209/p1