人の世は、滞在期間の定め無き、今日一日の旅の宿

 時 人を待たず、光陰 惜しむべし
 古より有道の人、国城 男女 七宝 百物を 惜しまず
 唯 光陰のみ、之を惜しむ

大通智勝

2012-01-26 | 日記


長く修行する大通智勝仏が、仏道を完成しないのは何故か?

大通智勝は完成を目的としない仏だからだ、と讓和尚は答えた。

無我の法門は、達成して何か別の自分になる道中ではないのだ。

定規のある門ならば、概念を習得すれば卒業に至るかもしれない。

知識に基づいた見識に依って身を立て、栄達も可能となるだろう。

無我の入門は、自己という存在の無を明らめる道中に他ならない。

自在れば他在り、他を認めることは自らを認めることに等しい。

他者を意識する処に自己を意識し、自己の忘じられる道理はない。

それ故、他者に認めれる自己という身の確立は、目的とならない。

相対の知識で一角のものには成れても、安心立命には至らない。

自らが自らの無明を救う為のプロセス自体が、道の目的である。

無明なものが他者救済の旗を掲げても、何処へ導こうというのか。

自らを光りとなすならば、作せずして他も照らしてゆくに違いない。