脾を補わんとすれば
欲補脾者, 必于肝腎処着眼 (脾を補わんとすれば肝腎を忘れずに)
肝には疏泄の功能があり, 脾土は肝木の疏泄を得れば, その土壤には生機が充満し, 万物を生養する事が出来る。肝気の疏泄は, すなわち脾土の運化の助けとなる; 肝木が若し疏泄功能を失去すれば, 脾土の運化功能も失われる。 だから補中益気湯に柴胡、陳皮を用いるのは理気疏泄、幇助脾土運化の意味である。
脾と腎は五行中にあっては土と水の関系である。だから四神丸中に補骨脂を用いる のは, 辛苦大温が, 相火を補い以って君火に通ずるのが狙いである。
火旺なれば土を生じる, だから方中に五味子、呉茱萸、肉豆寇を配して, 補火生土, 行気消食をはかるのである。
慢性瀉泄の多くは命門火衰による, ゆえに治療は脾胃を専治するのではなく, 下焦の元陽を大補し, 火旺土強とすれば, 慢性泄瀉は自然に治る。
ゆえに補脾は補腎に如かずというのが中医の隔臓治療法である。
『名医治則解析』(人民軍医出版社 2007)
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