翁曰く、夫(そ)れ誠の道は、學(学)ばずしておのづから知り、習はずしておのづから覺へ、書籍(しょじゃく)もなく、記録もなく、師匠もなく、而(しこう)して人々自得(じとく)して忘れず、是ぞ誠の道の本體(ほんたい)なる。
◎『肺(はい)』と『腎(じん)』の機能低下
前述のように、潰瘍性大腸炎は、自己免疫疾患と呼ばれる慢性疾患の一つですが、 中医学では『肺』と『腎』の機能低下ととらえます。
漢方では免疫にかかわる働きをしている場所が腎と呼ばれる場所です。 また大腸の機能を管理してる場所が肺です。
◎免疫にもっとも重要な腎
中医学で言う腎は、生命維持活動にもっとも重要な臓腑とされています。 水分調節だけでなく、生殖活動や成長、骨・骨髄、ホルモン系、防衛機能の免疫系など、生命の基底を支える生理機能全般をしています。
潰瘍性大腸炎で重要なポイントとしては、免疫に関わるところです。腎の機能が低下 した状態の『腎虚(じんきょ)』と呼ばれる状態では、免疫の不調をきたします。 風邪をひきやすいなどの免疫低下や掌蹠膿疱症などの免疫異常などです。 漢方で考える免疫疾患での一番のポイントとなる臓腑です。
◎大腸と肺は、葉と根の関係
肺と大腸は、植物で例えると根と葉の関係があります。 植物は根の方に栄養や水分を与えると葉が生き生きとしてきます。漢方の五臓六腑の関係では、肺が根、大腸が葉の関係にあり、肺の状態を整えると大腸の働きが整います。
便秘がちな方が肌荒れを起こしやすいのは、このためです。肺の主な機能は、呼吸器系の働きをしています。皮膚も呼吸をしているので、肺の機能に含まれます。 簡単に言えば身体に必要なものを取り入れ、不要なものを出しています。同様に大腸の働きも必要なものは吸収して、不要なものは大便として出す働きです。このことからも肺と大腸が密接に関係していることがわかります。
◎漢方薬は?
潰瘍性大腸炎の漢方治療は、症状を繰り返さないように肺と腎の強化し、自己免疫の誤りを正常に整える体質改善を行います。出血や下痢、炎症などの症状に対しては症状を抑える漢方薬を用います。