JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

九条の会として行動した、加藤周一氏の原点1・・「羊の歌」

2010年04月09日 | Weblog
 生い立ちのまとめ方に無駄が無く、時代がなんとなくわかるような気がしました。佐賀の資産家の祖父のもとでの裕福な生活と、その後資産の大部分を失った祖父の晩年など、氏の生い立ちが書かれているのですが、当時の日本人が見えてきます。
 氏は、文章の最後の短い文に、すごいと思うことがあるのですが、裕福な屋敷に住む加藤氏と周辺の長屋がすべて、祖父の貸家であることのなかで、こども心に「総じて明るく済んだ私の空に残された大きな暗点であったといえるだろう。祖父の家に行くたびに、長屋の人々をなるべく見ないようにする習性を、私はいつのまにか身につけていた。」と。
 戦争について当時の加藤氏は「中国との戦争は、道義上の罪悪であり、国際法上の侵略であり、その戦略上の杜撰そのものだろう、とわたしは考えた」と書いています。
 「社会に対する私の無力」と感じていた加藤氏は、九条の会を立ち上げ行動する人となりました。
 日本共産党は、小林多喜二は、「党生活者」を書き、日本共産党員として、反戦・平和の先頭に立ち、特高警察に虐殺されました。宮本顕治氏は、一二年間牢獄で、非転向を貫きました。