ぴよこ日和

いらっしゃいませ。
きたむーです。
お芝居、ライブ、お笑い大好きです。

9月29日 遊牧生活 第5日目

2008年10月04日 | 行った
眠りは常に浅い。一晩中、誰かの喋ってる声が聞こえていたような気がしていた。
が、目が覚めるといつの間にか同じテントにヘジンがいた。
なんだ、人の気配にも気が付かなかったなんて、結構しっかり寝てるんじゃん。

それにしても暑い。
テントの中は私たちの吐き出した息が水蒸気となってジメジメと湿り、テントの上部には水滴が溜まっていた。
こりゃ、夏場だったら蒸し死んでるな。
昨日、テントを設営している時に誰かが「台風が来ている」と言っていた。
だからこうも蒸してるのか?

           私とヘジンが寝たテント。

時計を見ると6時。私ってばなんて元気なんだ。
7時半出発予定のタランシィオルム登山に備えてもう少しダラダラするか。
が、なんだかテントの外で人の集う雰囲気がする。そしてその声も聞こえなくなった。
まさか、もう出発しちゃった?
なんでまだ7時半じゃないじゃん!
慌ててテントの外に出て、そこにいたオ先生に訊くと、もう何人かは登りに行っちゃったとの事。
やられたー。
じゃあ1人で行くかと思ってそう言うと、単独行動はやはりさせたくないらしく、ちょうど起きて来たハ先生に、私と一緒に行ってくれるように頼んでいた。
申し訳ないがせっかくの機会だし、ハ先生、一緒に行ってくれますか?

ハ先生は、同じテントに寝ていたコシギ先生ことノバート氏も誘ってくれた。
よし!3人でタランシィオルム登山へ出発。

    コシギ先生ことノバート氏。なぜコシギ先生なのかは謎。

タランシィオルムは丘とは言え、標高382.4メートル。


                      ここが登山道入り口。うっそうとした森だ。
                 

        タランシィオルムと書いてある。


                 最初の森を抜けると、本当に単なる丘の様相。
                 かなりの急勾配で、てすり代わりのロープをしっかり握り
                 足元を1歩1歩確認しながら歩かないと非常に危険。
                 

   所々に咲いている花を見て、心も安らぐ。
     

     

しばらく3人で登るもみんな口数が少ない。喋ってる場合じゃないのだ。ちょっとでも気を抜くと転げ落ちそう。足元に気を付けて、なるべくゆっくりと進んで行く。

隣にあるオルムのてっぺんが見えてきた。


                遠くに見えるあの四角い山はなんだろう?
                なんかハワイのニュアンスを感じる。
                

海も見えてきた。
写真では分かりにくいが、地表と空の間の灰色の部分が海。


半分くらい登った辺りで、かかとのちょい上が痛くなってきた。どうも肉刺が出来たみたいだ。
登る間、常に靴とかかとのちょい上がすれていたみたい。
今日も歩いて次の地点まで行かなくてはならないので、あまり無理はしたくない。
ハ先生とコシギ先生に事情を話して、2人が降りて来るまで途中で待っている事にする。

丘の途中は風が強く吹き付けてくる。風を遮る物もない。
さ、寒い・・・。
ウィンドブレーカーは持って行っていたが、そんなものではどうにもならない程の強い風だ。
30分程はおじぎ体操をしたり(おじぎをするように腰を折る運動。10回程やるとかなり体が温まる)座り込んでストレッチをしたりして気を紛らわせていたがもうダメだ。
このままでは風邪を引く。帰ろう。後で「風邪引きそうだったから帰りました」って言おう。

登る時急勾配だったと言う事は、帰り道がかなり危険だと言う事。
ホントに転げ落ちそうだ。落ちたら怪我くらいじゃ済まないだろうなぁ。この旅も終わりになるだろうなぁ。みんなに迷惑かけるだろうなぁ。と思いつつ、そろそろと降りる。
テント場に帰っていると、今から出発するチームとすれ違った。
なんだよ。今から行くのかよ。先発隊はなんだったんだよ。焦って損したよ。思うところは色々あったが、頑張って行って来てねーとみんなと別れる。

帰ると食事の準備中だった。今朝はインスタントラーメン。
大活躍中の大鍋に大量のインスタントラーメン投入中。


               キムチ乗っけラーメン(実はこの下にライス入り)完成です。頂きます。
                 

オルム登山組も徐々に帰って来て、みんなが揃った所で「野宿者コンテスト」開催。

ウェットティッシュで顔を拭いて、誰が1番汚かったかを競うと言う、絶対に優勝したくないコンテストだ。
エントリーした5人は野宿者っぽいポーズをキメてアピールタイム。
観客の拍手で1番の野宿者を決めた。
優勝者は手前左端のミンチョル。
参加賞のラーメン、焼酎と優勝商品のウェットティッシュをもらってご満悦だ。

朝食後、タランシィの4・3事件について、各自芸術活動の時間になった。
ソンドン氏が事件について説明してくれながら、亡くなった方々に歌を捧げている。
その向こうで、ソンウク氏が詩らしきものを書いていた。


こちらもソンウク氏の作品。


畑を通り、藪を掻き分けて虐殺のあった場所を訪れた。
クンジョルを捧げる。


                 人形が亡くなった方々の魂を送り出しているようだ。
                 

お婆さんの絵が描かれた画用紙を埋葬する。


悲しい事件をいつまでも忘れないように、芸術家が集まって自分の芸術活動としての作品を残していくのだ。
亡くなった方々の魂をせめて慰められるように。

さあ、そろそろ次の場所へ移動を開始しなければ。
その前に今日帰ってしまうひろき君に花輪の授与式。
この旅では参加者には全員花輪が贈られるとの事。
途中参加者には腕輪を、全行程参加者には花の冠が贈られるそうだ。
ひろき君、あと1日を残して帰国。残念ながら腕輪になってしまったが、それでも花輪をもらえて嬉しかったと言っていた。
もらった花輪をぴよこにかぶせてくれてハイチーズ。

また日本で会いましょう。

今日もバスに乗る事はなく、全行程歩いていくそうだ。チェジュの景色を楽しみながら歩いていく。

               お墓。


                                   随分離されてしまった。
                 



                 

お昼ご飯はキンパプ。1人1本ずつ。


この日はとにかくきつかった。
歩いて歩いて、足の裏もふくらはぎも太ももも全部が痛い。
ヘジンから車に乗ったら?とも言われたのだが、みんなが歩いて行くのに私だけ車に乗るのも憚られ、しかも家に帰ったら「全部歩いて行ったよ」とうちのダンナさんに自慢したかったので頑張った。
下を向いて、頭を空っぽにして1歩1歩歩く。
よっぽど辛そうだったのかイジョンが「大丈夫?」と心配してくれて嬉しかった。
大丈夫さ。歩けるさ。みんな歩いているじゃない。

夕方、もうダメかもと思っていた時、前方にいたヘジンが駆け寄って来た。
「ダンナさんから電話だよ」
うちのダンナさんは、私がいない間北海道に行っていたのだが、無事に小倉に帰って来たよと言う報告だった。
ああ、それは良かったね。私も元気だよ。ありがとう。もうちょっと頑張れそうだよ。
言いたい事はたくさんあったけど、2、3言話して電話を切る。
ヘジンに電話を返すと「本当はきたむーが後の方にいたからここまで来るのきつかったんだけど」って笑ってた。
ああ、それはありがとう。本当に力が湧いてきたよ。

空が夕焼けて来た。
みんな「火山が噴火しているみたいだ」って言っていた。
今まで夕焼けを見て、そう思った事がなかったので、これはチェジュに住む人独特の気持ちなのかも知れない。


そして着いた。
ここが今日の宿泊地、キムニョン海水浴場だ。


ここで1泊すれば文化遊牧民の旅も終わりだ。
何となくみんなゆっくりとした気分になっているみたいだった。
夜は特にちゃんとした食事はなく、前回文化遊牧民に参加した方からのチキンの差し入れと、冷凍食品のハンバーグや餃子でお腹を満たす。

トイレのひさしの下が台所だ。


                 ヒョンリム氏お手製オデン湯
                 

明日、私たちはバスで移動し、チェジュ市庁前まで行くそうだ。
だが、リヤカー隊は歩いて行くと決まっている。
明日は夕方から公演も控えているので、その前に到着出来るように夜中から出発する。
本当にお疲れ様ですな。


参加者たちは明日の公演のため、パフォーマンスを創り上げていた。
どんなパフォーマンスになるのか楽しみだ。

それ以外の人は飲みに突入。


                 
それにしても韓国人ってホントに元気だ。
毎晩飲み会して、朝早くから起きて、1日中歩いて。

トイレに行くと数人が体を洗っていた。
来た!
今こそ、トイレで、全裸で、水で、体を洗う時だ。
洗面道具を持って再びトイレへ。
そこにいた数人はもう体を洗い終わり帰って行くところだった。
ギョエー、1人かよ。
誰か来たらどうすんだ。
ま、その時はこの痩せたとは言えまだまだメタボ気味の体をなんとか隠すしかないのかな。
色々な事を考えながら思い切って体を洗い始める。
さすが水。冷たい。
髪を洗うも泡立たない。
しかし弱音を吐いている場合ではない。タランシィでドロドロになった体を洗わないことには。
と、人の声が近づいて来た。
誰か来た。
と、思ったらチャングンニムとヘジンだった。
笑われたよ。
「きたむー寒くないの?私寒くてシャワー出来ないよ」とか言われたけど、もうそんな事に構ってる場合じゃないのだ。
薄く笑いながら彼らをかわし、体を洗ってサッパリしたところで私も飲み会に参加。
マッコリを飲みながら、アホほど辛いタッパル(鶏の足)を食べた。
それでも慎重に酔っ払わない程度にとどめ、寝ることにする。
一体何時だったのか。良く分からない内に就寝。

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