⑨それぞれのシツラエ(ホール)
玄関から続く場所はホールと大体決まっているのです。
でも、玄関に付属するホールと廊下に続くホールでは少しだけ意味合いが違います。
前者は、生活空間への間(ま)みたいな空気を必要とします。ニッチ、飾り棚、ピクチャーフレーム、飾り窓・・・など等、威張らず控えめな演出で気持ちをほぐします。
後者は、生活空間の道しるべのようです。扉のカタチや方向、サイズや見え方でヒトの動きをコントロール出来ます。「見せたい、隠したい」「入って欲しい、欲しくない」を自然と教えてくれます。そればかりかチャンと誘導することも出来るのです。
この二つの性質をうまく使い分け「動線と導線」の関係がうまくいくと・・・心地好い印象を持ちます。
この場所、大抵の人は「とにかく収納を・・・」と言って扉の付いた収納を欲しがるのです。思い切って見せる収納を意識すると・・・ホール全体で「間」を表現できるアートな世界に生まれ変わるのです。
ホールというツナギの空間も無駄にしてはいけないのです。
なんとなく出来た、微妙な広さの空間。
「何だか用途のわからない空間だけど、とりあえずそこをホールと呼びましょう。
なんだか勿体無いので、せっかくだから収納でも付けといてもらおうかしら・・」
本当の意味を知らないと、なんとなくそうな風になりがち・・・。
でも、ホールにだってちゃんと意味があって、ちゃんと役割がある。
ちゃんと意味を考えて作り上げていけば、それはなんとなく出来た空間ではなく、そこにあるべくして出来た、つくった空間になるのですね。
意味のないものなんて、何もない。
部屋名先行型の使い方には、何となく型にハマッタ発想から抜け出せないのです。狭小にになればなるほど、有形無形の壁を取り払う必要があるのです。