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「家づくり」の周辺で感じることを、建築士がなんとなくつぶやき解説しながら・・・自由に語るかも

外も丸ごとカタチどる

2007-05-31 05:42:06 | 家づくり

5-23:外も丸ごとカタチどる

昔っから、家は屋根が命と言われるように、屋根は外観に及ぼす影響は大きいのです。で、住宅にも流行のようなものがあって、屋根を見ると建てられた時代がわかります。現代でも、持ち家は寄棟で借家は切妻という感覚から、持ち家での切妻が流行、次に片流れ、そして、フラット屋根など等・・・

家を建てるとなると、やはりカッコよく綺麗に見えるように外観には並々ならぬ思い入れがあるのです。

でも残念なのは、すごーくいっぱい考えた割には、一部分しか見えないのが日本の住宅事情というもので・・・ボヤケてしまったり、不都合の方が目立ったりで難しいのです。

ここで、何点かのポイントをご紹介します。

1.家を見る場所と目線の高さを意識する。

2.家が見える部分を確認する。

3.家の周辺(境界線の外)から受ける条件を考える。

4.家が周辺(境界線の外)へ及ぼす圧力を考える。

5.植栽やガレージ、塀の外構も一体化する。

「外も丸ごとカタチどる」と簡単に言っても色々なのです。植栽に至っては、季節や経年により見え方も違ってきますが・・・そうすることで、欠点を隠したり、さらに見栄えを良くしたり、何より、賢そうな家になるのです。


外も丸ごと間取る

2007-05-30 08:25:11 | 家づくり

5-22:外も丸ごと間取る

構造の話はどうも食いつきが悪いみたいです(笑)。ということで、間取りの話を致しましょう。

間取りを考える上で、少しだけ忘れがちなものがあります。それは、外部の間取りです。駐車場の計画や、アプローチ計画、ガーデニング計画・・・外にも間取りがイッパイあるのです。

で、それを決める要因は「家の中」は勿論ですが「敷地の廻り」にもあるのです。

「家の中」との関係は、今から幾らでも修復や調整が可能な訳ですが、「敷地の廻り」との関係は、自らが変えることの出来ない不変なものが多いのです。

たとえば、隣のブロック塀、窓、外壁の開き、道路の交通量、影を落とす大木、美しい借景など等・・・

心地良くそこに住むためには「外も丸ごと間取る」ことも必要なのです。


継手を支配する

2007-05-29 06:11:19 | 家づくり

5-21:継手を支配する

木造住宅の軸組みを語る上で、「継手」を忘れてはいけません。材料自体が木であるために長さに限界があるのです。3M、4M、6M等を効率よく使い分けて軸組みを構成します。

良く考えらたもので、柱の少しヨコッチョの力が加わりにくい場所で継手を作るのです。

何故、「継手を支配する」必要があるのか?大げさですが・・・

ここで登場するのが、またまた「スジカイ」と呼ばれる斜め材と、同じく斜めの「火打ち梁」なのです。すごく悩ましいです。

継手という木造軸組みの最大の弱点に、力をツタエル斜め材がからんでくると・・・そう、良くないのです。材の本体は耐えることが出来ても、継手は簡単に悲鳴を上げてしまいます。

さてさて、何故このようなことを言いますかというと・・・

柱が太い、スジカイが多い、チャンと構造計算をしている、金物も使いました・・・とは言っても、木造住宅の軸組みルールを守っていないと、言うほどは強くないという事実が生まれます。

時代が、便利になりすぎたのかPCをあてにした家づくりは、簡単に答えを出し、考えることを排除しているのです。

理由も解からずにカタチをつくるとバランスが悪いのです。

構造シリーズはこのへんで・・・


通し柱の伝説

2007-05-28 07:46:32 | 家づくり

5-20:通し柱の伝説

昔ッから、通し柱が多いと家が丈夫と言われている。長い柱が一気に2階まで延びているのだから、そう言われる事も分かる気がする。

そもそも通し柱はどんなものでしょう?

通し柱は、大体のところ2階の出隅の部分に配置されるのです。全ての出隅に配置するかといえばそうでもなくて、普通の住宅で2カ所か3ヵ所といったとこである。1階に柱が無かったり、和室の化粧柱であったりすると、バランスを考えて別の場所にする場合もあります。

他の柱よりもひと回り太く、やっぱり丈夫なんじゃない?と思ってしまうのです。こう言う書き方をすると否定から入っているようですが・・・半分は当たっています。でその半分は、風圧力などによる引抜作用(難しくてゴメンナサイ)には、つながっている分威力を発揮しそうです。

元々通し柱は、上棟の時、1階と2階の軸組みを組みやすくそして縦方向の通りを良くする為に入っているのです。

さてさて、この通し柱、実は穴ボコだらけなのです。2階の床の部分で梁(桁)を受けるためにホゾ穴や欠き込みが沢山開きます。場所によったら、柱の1/3ほどの断面しか残っていない場合が普通にあります。これでは強い訳がありません。ホゾ穴の数はというと、出隅で2方向、外周部で3方向、入隅や内部では4方向に穴が開いてしまいます。だから、出隅に配置するのですが・・・

通し柱は、そう強いものではないことが分かったでしょうか?多けりゃ良いというものでもなさそうですね?

もうひとつの注意点は、通し柱のホゾ穴の集まった部分にくれぐれもスジカイを差し込まない( ┣+〈  )様にしましょう。力がかかりすぎて柱が折れることもありえます。木造住宅は、地震が来たときに粘れる構造でなくてはならないのです。

次回は「継手を支配する」です。


補強金物のカラクリ

2007-05-25 22:02:08 | 家づくり

5-19:補強金物のカラクリ

近年の木造住宅において、構造軸組み(土台、柱、梁、スジカイ)を特殊な金物で文字通り補強する事が当たり前になっています。そいうすることで、地震の揺れから柱や梁、土台の抜けをなくする為に取り付けます。この金物によって、木造住宅は随分と強く、ネバリのある建物となりました。

基本は、柱と梁・スジカイの力の掛かり具合で、耐力の異なった金物を使い分けバランスを保ちます。

この補強金物、1棟の家(30数坪)に大体10数万円~20万弱位の金額が掛かります。家が強くなったから、対価としてはマズマズと言って良いでしょう。

と思っていたら・・・、そういう人達ばかりではありません。どうやって、金物代を少なくするか?と考えるのです。

スジカイの力の掛かり具合で金物の耐力を決定する事がカギでした。スジカイが集まる所は大きな金物が必要だったのです。???そこでスジカイをメクラメッポウに入れたのです。どう言うことかは前回の「スジカイの秘密」を参考にして下さい。

スジカイの力をバランスよく分散したかに見せかけて、力を伝えなくしたのです。特に、外周部に配置するよりも内部に入っているほうが、力が掛からなくなるカラクリがそこにはあります。

こうすることで、確実に金物代は安くなります。そして、建物は確実にネバリを欠きます。

さてさて、補強金物=丈夫という事も如何やら当てにはならないようです。

次回は、「通し柱の伝説」です。