他所で、先ほど偶然に、NHK・ETV特集をみました。
ETV特集は、これまでNHKの枠組みの中では比較的福島原発事故の影響や、チェルノブイリ影響を伝えようとしていると、評価されたものもありました。
しかし、たまたま先ほど偶然にみたものはそんな話ではありません。
「54枚の写真~長崎被爆者を訪ねて」と題された内容とは、何か違う感覚です。
ケロイド写真をABCC調査で撮られた人々を訪ねるという話なのですが(それはわかりますが)、随所にABCC調査への肯定的表現が飛び交います。
この写真に映し出されている人は一人も現存せず、身内の感想が語られます。
そして、ABCCが不当に貶められていることはおかしいとする言説が出され、「そうした被爆者調査により、ABCCが放射線リスクのゴールデンスタンダートとなった」と宣う放影研理事の言葉を放送します。
更に丹羽理事長が同じ立場でインタビューを受けています。
この54枚の写真にケロイドを写し出されている人々が、放射線リスクのデータとなっていることのみを強調します。
そして番組は、「福島第一原発の事故で、今その基準が切実に役に立つ世の中に私たちは生きている」というようなナレーションで締めくくる内容でした。
これは何なんでしょうか。
ケロイド写真54枚を材料にして、ABCCや放影研へのおべんちゃらが綴られているだけの番組。
夏の戦争を振り返る番組をお盆に数多く放送する構造の中で、戦争そのものというよりも、現在につながる放射線研究組織の賛美がきちんと盛り込まれていた内容です。一般の人は戦争を思いながら、こうした文脈を、そのまま受け入れてしまうかもしれません。誘導。
あまりにも今のNHKらしい内容です。こんなものを平然と福島第一原発事故後に、しかも伊方原発再稼働の夜に流すテレビ局が、まさにNHKということです。
最悪。
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