沖縄講演の翌日に、ガレキ本焼却が終わってちょうど一週間が経過した北九州で、話すことになりそうです。詳細が確定すれば、またお伝えします。
少し微熱が続いている状態です。あんまりよくならなければ、水曜日に直接、新幹線で横浜にうかがうかもしれません。どうするかは、まだわかりませんが、講演できる体力はあるので、体調をみて、いつ行くのか考えています。
熱があるので、継続的な思考が難しいのですが、僕が今考えているのは、日本のドメスティックな意識が蔓延していることにどういうふうに対処していくのかと言うことです。
ドメスティックは、家族内、あるいは国内のような意味でつかわれます。ドメスティックバイオレンスが一番わかりやすい例かもしれません。家庭内暴力。
僕は、ずっとこの用語、ドメスティックは、固着化した関係の内部に、囚われ続けている状態を指している用語だと考えていて、外に開放的に向かう性向を疎外し、人を周りに絡め取らせるような意味合いを有している用語と考えています。内向きですが、自らの意識の内奥を探し求めるような探求的なものではなくて、本当にまわりや、既存のものにとらわれていく感覚です。
僕にもこうした意識が多少はありますし、拘ってしまうことも、多々あります。しかし、それでも、通常のみなさんよりは、僕にはそうしたドメスティックな意識は少ないだろうと思っています。そういう僕に対して、「中国人だ」「朝鮮人だ」というレッテルを張って、差別的な言説を吐く妨害者は多数いますが、たぶんその感覚は、この人々が依存しているドメスティックな意識に、僕の依存度が薄い事があからさまで、それへの嫌悪感がこうした文言にあるのだろうなと、前から思っています。
それでも、僕は、組織というものは、結局は、何事か起きた時に、対応できるシステムでなければならないし、その構成員にとって、組織にいることによって、メリットがもたらされる状態でなければ、本質的に組織としての体を為していないと考えます。その意味で、3.11以降、日本の組織はその存立基盤を思想的にほぼ失ったと思っています。特に戦後、新しい民主主義国家というフォークロアを信じさせてきた流れの中で、人々の命を守らない国家、政府、行政、企業、報道機関、家庭になんの意義を見出すのかは、極めて難しい状態です。
このドメスティック化は、組織や集団内部、家族間にとどまりません。自分が、慣れ親しんだ習慣、流儀、雰囲気ということまで広範囲に考えるべきだと思います。どうした事柄に対しても、こうした感情、囚われて、そのシステムの中で考えることに連なっていく状態なんだろうと思います。これは、体制のシステムとしても機能していますし、一人一人の心の中で、「意識のドメスティック化」が続けられているのだろうと思っています。
放射能の問題は、まさにこの「意識のドメスティック化」というものを、さらに無理やり顕現させたものに他ならないと僕は思います。表に出した炙り出しのマシーンです。
自分たちが、つまらないけれども、特に激しくない日常を生きていることを、自分の人生として受け入れ続けてきて、未来もそうある筈の殆どの人々は、この「意識のドメスティック化」を潜在的に、収斂する日々だったのだろうと思います。しかし、3.11以前は、それは潜在的なもので、そうしたことを見据えずに、自分の目標や夢、達成願望を表面上は掲げている人が大半だったと思います。
しかし、この放射能の問題がおきたことで、偽りの看板は脱ぎ去るしか無くなったということです。
破滅的な状態がおきる可能性も想定される事態にも関わらず、そうしたことを見据えることさえ、一定程度の人々は拒絶し、ごまかして生きていることになりました。勿論、何も気がついていない人々もいます。こうした人々ならまだしも、一定程度気がついていて、ごまかしている多くの人達がいることが、僕にはある意味とても怖ろしく思えます。
この人たちが、「意識のドメスティック化」をさらに、あからさまに、積極的に進めようとすると僕は、思います。これは、誤魔化しの集大成であり、お互いの意識を裏切らせないための、相互監視システムへと進化していくことは容易に想像できますし、現在もその兆候はあちこちに見えています。
これにどのように抗えるのか。その方法論はどこにあるのかということです。
少なくとも、この行きつく先は精神的な意味合いでの「内戦」しかないでしょうし、場合によっては、海外で、「流浪」を我々が選択するしかなくなるかもしれません。どちらもきつい話です。
ここにあるのは、絆とか何かの繋がりを賛美する話では到底なくて、実は根本的な断絶となります。
しかしながら、問題は、今、圧倒的少数に見える我々が、本質的に圧倒的少数なのかどうなのかということです。情勢の分析が必要なのです。
「意識のドメスティック化」が我々をさらに少数に追いやろうとするでしょうが、実際にリアルな事態の進行によって、こうした「意識のドメスティック化」が、そのままの勢いで継続できるのかどうかということは、実は疑わしいのではないかと僕は考えています。
それは、結局どこにも、なんにも得することがないからです。個別の生命体にとって、その生命体としての安全確保が、やはり最重要案件で、この「意識のドメスティック化」はそれを補助するのであれば、有効なのですが、少なくとも、危険回避という普通に最初の選択肢として取られることさえ、拒絶するよう感化させている今の事態から考えても、実は逆にその有効度は減少しつつあると思います。
そうなると、生命体として、より自分を大事にしていきたい個体から、率先して守ることになります。自分や自分の愛すべきものを。
であるならば、ある意味、初期避難者が、社会的にはわがままなタイプの人が多いのも当然ですし、特に初期の沖縄避難者でそうしたことが多いのも、実は論理的だなあと僕は思います。
でも、二年のフェイズが過ぎて、事態は変ろうとしています。
良い意味で、たとえば女子アナのように、自己愛で我欲が強い人達ばかりでなく、自分と家族、自分と身のまわりとの関係の中で、この事態に、見ざる言わざる聞かざるを続けてきた人達、まさに「意識のドメスティック化」を続けてきた人達が、否応なく、リアルを直視して、意識を外に向かうしか、術がなくなってくるだろうということです。
それがはっきりするのは、自ら為すべきことを喪失し、為すべき役割がなくなり、遂には、生存の意味合いを見失うからです。放射能によって本質が徐々に露呈するからです。過去、「意識のドメスティック化」は、保守的なシステムにおける、安定装置としてなら、うまく働いたのですが、そもそも生命の危機が想定される事態に、その想定をないがしろにし、危機管理という概念さえも放念させるために、機能しようとするものとである限り、それは大きな働きを続けることは難しくなります。
どこかで大半の生命体は、その生命体の維持を優先させることになり、その優先を怠った個体の末路は簡単明快なことになります。だから、事態は確実にはっきりしてきます。
とするならば、「意識のドメスティック化」よりも、人は何を求めるのか。人は外に、リアルに志向します。それは、自分の内奥を更に更に見つめることと、本質は同じです。
その時に初めて、いろんな形で、貴女は、次を見出すことができるはずです。次の未来を。楽しいばかりではありませんが、少なくとも次のフェイズがある未来を。
恐らく、そうした状態に多くの人が置かれることになります。もちろん、前向きに選べない人もいるでしょうが、あきらかに、確実に、先に進む人たちが出てきます。これは、他に進む道がないからです。否応なく、進み方がなければ、そこを歩むしかなくなるからです。
これが、二年という時間が経過して、この後におこることだと僕は考えています。全体としてこうなるという事でなく、自覚していた中の一定数が動く可能性を感じています。背に腹は代えられないと言ってもよいかもしれません。
貴女はどうしますか。貴女は抗えますか。貴女は外に踏み出しませんか?
僕は貴女をずっと見ていますから。
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御免なさい。横浜講演は満席となりました。万一、キャセルの方は必ず他の方の為、こくちーずでキャンセル手続きを。キャセルが出れば、随時受付できるようになります(そういうふうになっています)。
3/20(水・祝)木下黄太講演IN横浜 「健康被害の現状と放射能防御」
18:30開場19:00開始(~21:00予定) 関内ホール<小ホール>
申込やキャンセルなどは→http://kokucheese.com/event/index/78824/
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4/6(土)木下黄太 講演 IN 沖縄市 「放射能汚染の現状と対策」
場所:沖縄市民会館(沖縄市八重島1−1−1)中ホール
日時:4月6日(土曜日) 開場13:30 開演14:00 終演16:30(質疑応答含む)
座席:全席自由。受付番号とチケットを持っている方から先着。300席(超過した場合にはフロアに座ることが可能です)
料金:800円(小学生以下無料)
駐車場:有(無料)
講演時間中に 紙芝居を楽屋控え室にて行います(舞台モニターあり)
申し込み方法:
kinositakouta_okinawa20130406@yahoo.co.jp に、ご予約(お名前、電話番号、参加人数を記入)をお願いします。返信メールで受付番号を発行します(yahooドメインのメール受信を可能にしてください)
お問い合わせはメールにて。
別途、沖縄県内で紙ベースのチケットも販売致します。
主催:OCRR(Okinawa Committee on Radiation Risk)