長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

宵は待ち

2014年01月24日 11時22分33秒 | お知らせ
 よく、三味線で弾き歌いをしたいのですが、どのくらいでできるようになりますか?…というお問合せをいただきます。
 ふふふふふ。

 数年前から上つ方面からのお達しにより、義務教育で長唄の“唄”が必修とされまして、洋楽のみが音楽教育であった戦後の教育で育った先生方はドッキリなさった。
 そこで、夏休みに先生がたへの講習会が持たれたりしまして、来たる21世紀東京オリンピックでの“和の文化によるおもてなし”、という喫緊の課題と相俟って、風雲急を告げつつあるのが、昨今の邦楽界を取り巻く状況なのであります。

 語り物(つまり浄瑠璃)ではない長唄は、洋楽とは全然違いまして、楽器part(つまり三味線ですね)と、うたpartのメロディラインが全く異なるところに特徴があります。
 三味線は唄の伴奏じゃないんです。
 
 そしてまた、歌詞が三味線の音と微妙にズレるところに入り込む。
 ほんのちょっと前だったり、後だったり、音と音との間に入れ子になってたり、一口では言えません。
 それは西洋の音楽理論とは別のところに立脚した音楽だからです。
 理論ではなく、経験則でしか習得できないもの。
 これは長唄に限らず、文楽の義太夫も、太棹の三味線もそうだと思います。

 “ずれを愉しむ”のが、長唄のみならず、日本の伝統文化の特色でもありますね。

 ですから、あぁ、唄ね、弾き歌いね…なんて簡単に思ってた方は、実際に体験すると頭を抱えることになってしまうのです。

 さて、今や、日本人でも聴いたことが無い長唄、というものになってしまった習い事に、もっと気軽に触れていただきたいという願いを込めまして、わが師匠・杵屋徳衛が企画いたしました、長唄のズバリ!唄の稽古プロジェクト。

 今期3回目を迎えます。
 月に1回ほど、土曜の宵の口に開催。4回ほどの講座で一曲マスターを目指します。
 講師は長唄杵徳会家元・杵屋徳衛。

 【初級:宵は待ち】
2014年1/25、2/22、3/8の3回 午後4時より下北沢稽古場
 【中級:都鳥】
2014年1/25、2/22、3/8、3/29の全4回 午後6時より下北沢稽古場 

費用は一回3千円前後です。
詳しいお問合せは
  • 長唄杵徳会
  • http://kinetoku.com へお願いいたします。


     さて、“宵は待ち”は、めりやす物のひとつで、長唄の手ほどきに習う曲です。
     歌舞伎のBGMでも独吟のめりやすが演奏されて、江戸の市井の生活感…すてきな情緒を醸し出します。
     
     日本人の独特の美意識・価値観が育んできた、世界に類を見ない日本の伝統文化。
     聴いて観て触れるだけの世界…としてではなく、ぜひ、実践習得なさってくださいませ。
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