長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

たそ、かれ…

2022年04月12日 10時47分17秒 | 近況
黄昏時に至るにはまだ早きこと十時間余り。
急速なる初夏の陽を浴びる、檸檬樹見舞いをせむ…とお水を遣り、さて、今日も稽古に勤しまねばと、明るきベランダより室内を振り返ったときのことでございます。



ガラス戸と網戸の隙間で、ごにょごにょアタフタと蠢く、見慣れた模様の虫が一匹。
はぁあ??
さてはお主はアゲハよな…
こんなところで羽化しちゃったとは、吃驚するなぁ、もう。
羽が曲がったら大変、と、慌ててガタピシ! と網戸を外しました。



一瞬、はて、まだと思っていた最後の一頭がこんなところまで出張って羽化ちゃったのかしらん、いやいや、ワープじゃあるまいし、やだねぇ、子どもの頃SFチックに育っちゃった昭和の子は…と、今朝様子伺いしたばかりの、お隣との国境近い柱の陰の越冬サナギを確認。





まだ大人しく眠っておられます。
どうやら、昨秋、終齢幼虫にて旅立ち、そのまま行方知れずになっていた隠れサナギが、この陽気に誘われ、無事羽化したと思われ…



…そは、たれびとのこなるぞや…
不思議すぎて脱け殻の在り処を探してみようかと、隙間を覗きましたが、はてさて一向に見当たらず…





鶯のホーホケキョ、四十雀のツピツピツピ、名を知らぬ鳥の地鳴きのような囀ずり、そして、思いがけず近くで啼いた鴉の声の時は流石に私も彼もビクッとしましたが、警戒して様子をみているのか微動だにせず、じっと軒(のき:のきのした、という言葉が漢字変換出来なかったのでルビを振ります…( ω-、))の下で翅の伸びるのを待っています。

15分も過ぎたでしょうか、パタパタと翅を上下させ更に上を目指して動き始めたので、すかさずスマフォのシャッターを切ろうと左手を伸ばした、私のその人差し指に、ハタリ、と、彼がとまりました。
思いがけない展開に、そうか、では私が外界への扉へお連れしましょう…と、手乗り文鳥よろしく向きを変えたところ、瞬間、光をとらえたのでしょう、するりと、檸檬の繁みの隙間から抜けて中空へ…



彼の脚が触れた、柔らかい感触がまだ指の関節に残るうちに。

コメント
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