長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

闇を照らすもの

2017年08月25日 09時59分59秒 | お知らせ
 酷暑の7月、寒さの夏はおろおろ歩くであろう8月が半ばを過ぎて、再び七月がやってきた。
 …新暦から旧暦を往ったり来たりしておりますお話。
 苛烈な天候にいたぶられて、悲しや人間、文明がいくら進歩しようともグランドネイチャーに抗うすべを持たぬ。
 荒涼たる砂漠の中を一歩、二歩、ばったり倒れて、ぅぅぅとうめき、ぁぁどうしたら…虚空を握ろうとした先に、私の手には三味線があった。

 ありがたや、三味の音。ぐったりして四肢が労働することを拒み、ただ意識だけが存在する木偶となっているときも、三味線を弾けばすっきりシャンとして、たちどころに人間が人間たる活力を取り戻すことができるのである。

 …あれれ、お薬の効能書きみたいになってますね。
 とにかく、かくも暑き日々に、あーもう何もしたくない、できないよぅ…と朽ち果てる間際、そうだ、三味線でも弾こう…と気を取り直し、一心不乱に弾くでもなく三筋の絃(みすじのいと:ミス時の意図だって)と戯れておりますと、いつの間にか脳髄が活性化して、忘れていた前向きな気持ちと視界が拡がってゆくのでありました。

 第2回観余会がありがたや、ご好評いただき、すっかり気をよくして第3回は刺青奇偶、前世紀の新国劇や中村屋×大和屋の歌舞伎座公演、今世紀に残る大衆演劇でのお話など…と企画しておりましたが、夏の日はまばゆくて速い。

 今月は、来る秋の演奏会の練成も兼ねまして、久しぶりに「弾きづめ道場」を行うことといたしました。
 お題は「越後獅子」です。越後獅子を、ただただ弾き続ける実践道場です。
 三曲に携わる方々には言うに及ばず、オペラ好きな方には、ああ、あのプッチーニの蝶々夫人の…と思いつかれる方もいらっしゃるでしょう。
 腕に覚えのある方もない方もどなたでもご参加いただけます。
 ご流儀のちょっとした違いを発見できるかもしれません。

 日時:8月27日日曜日(旧暦では七月六日、プレ七夕)午前10時半より正午まで
 参加費:2千円 (三味線は当稽古場のものをお使いいただけます)

 どうぞ、お越しくださいませ。お待ちしております。
 
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