問題は、希望退職に応じる人にあるのではなく、日本が時代の変化に合わせて労働市場を改革できなかったことにあります。明治政府は「四民平等」を掲げて、国民のやる気を引き出し、奇跡的な発展をもたらしました。バブル経済の崩壊後、雇用の過剰を解消するため日本は非正規雇用を増やしました。非正規と正規の格差が生まれました。
ロンドンで暮らしていると、日本人は見えない差別構造をつくるのが本当に好きなんだなと痛感することがあります。「チュー妻」という言葉をご存知でしょうか。駐在員の妻たちという意味です。ロンドンの高級百貨店ハロッズでの買い物に飽きたらず、日帰りで国際列車ユーロスターに乗ってパリまで出かけて、買い物やおしゃべりを楽しんで帰ってくるそうです。
駐在員の妻というだけで、まるで大名の奥方です。海外の邦人企業には駐在員の下にローカル採用の日本人スタッフがいて、現地のスタッフがいます。国内では「正規」と「非正規」という階級、海外には「駐在員」「ローカル採用の日本人スタッフ」「現地スタッフ」という壁が築かれています。これで組織の士気が上がるでしょうか。
希望退職を「絶望」にしないために 日本も「ワサビ・ウエイター」で労働市場を活性化させよう