相撲
父は相撲が好きだった。
私と姉は父とよくテレビで相撲を見た。
今では、段々と高揚し緊張感が高まっていく独特な間が好きだが、当時落ち着きのない私は、のろのろとして、なかなか試合が始まらない相撲にいつも苛立ちを感じていた。
それでも大一番になると、家族皆、画面に釘つけになった。姉や私は、「ほら、押せ!」とか「あっ!あっ!よしっ!」とか叫びながら、勝負の行く末を見守った。父はいつも一枚板でできた座卓の端と端を回しのように両手で握りながら、自分も一緒になって、座卓と相撲を取っていた。そして座卓をガタガタと揺らしては、卓上の湯飲みを倒して、よく母に叱られていた。
一回でいいから、父に国技館へ連れて行って、相撲を見せてやりたかった。私は、事あるごとに姉といつも父を偲んでいる。
父は相撲が好きだった。
私と姉は父とよくテレビで相撲を見た。
今では、段々と高揚し緊張感が高まっていく独特な間が好きだが、当時落ち着きのない私は、のろのろとして、なかなか試合が始まらない相撲にいつも苛立ちを感じていた。
それでも大一番になると、家族皆、画面に釘つけになった。姉や私は、「ほら、押せ!」とか「あっ!あっ!よしっ!」とか叫びながら、勝負の行く末を見守った。父はいつも一枚板でできた座卓の端と端を回しのように両手で握りながら、自分も一緒になって、座卓と相撲を取っていた。そして座卓をガタガタと揺らしては、卓上の湯飲みを倒して、よく母に叱られていた。
一回でいいから、父に国技館へ連れて行って、相撲を見せてやりたかった。私は、事あるごとに姉といつも父を偲んでいる。