今日は青山外苑前にある日本オラクル社の大会議室にて行われた、第19回数学カフェ”超越数”回に参加してきました。
ちなみにMeの前提知識では、超越数とは円周率のπとネイピア数eに代表される多項式の解とはなり得ない数である。これ以外の前提知識0で望んだ。他の方は少なくともMe以上の知識は持っていたであろうと思う。
今回の講師は前半はせきゅーんさん、後半はなれさんでした。
せきゅーんさんは御自身のブログ「インテジャーズ」とのコラボレーションという形で、詳細はブログで見て、粗筋を説明という形で講演されていました。話は超越数の歴史を遡り、最初に発見された(証明された)超越数は1844年のリュービル数が最初であると説明し、後半のなれさんにその証明は託されました。その後1873年にエルミートがeは超越数であることを証明し、実際にその証明を実演してくれました。証明は背理法を用いる方法で、eが代数的数(多項式の解として書ける)と仮定して矛盾を導く方法でした。e^xの微分は変わらない性質と平均値の定理を用いて、特殊な関数(詳細はブログで)を導入すると片やeを用いた多項式の結果が整数となり、片や0と1の間にある値で抑えられ矛盾を導くのです。その後、リンデマンが1882年に円周率πが超越数であることの証明に成功します。これはオイラーの公式を用いた巧みな証明でした。これで円積問題(円と同じ面積の正方形は作図できない)もクリアされました。その後、エルミート・リンデマンの定理(αが0でない代数的数ならばe^αは超越数)を紹介し、その言い換え(αが0でも1でない代数的数ならばlog αは超越数)、さらにその言い換え(log αがQと一次独立ならば、1とlog αはQ代数的数上一次独立)を紹介しました。そして三つの真珠として、リンデマンーワイヤストラウスの定理(1885年)、ゲルフォルトーシュナイダーの定理、そしてジーゲルの補題を用いてベーカーの定理(1966年)を紹介し、様々な超越数を披露してくれました。最後にe+πが超越数かどうかは未解決であり、自分は死ぬまでに知りたいのだと語って講義を終えました。
後半のなれさんは、また違った切り口で超越数を語ってくれました。まず§1でランダム性と予想と題し、10進正規数の定義(やや確率的)し、ほとんど全て(ルベーク測度的に0?)の実数は10進正規数であるというボレルの定理を紹介し、例として以下の二つの数が超越数であることを紹介しました。
Champernowne数(0.123456789101112・・・)
Copeland-Erdos数(0.2357111317・・・)
そして10進正規数ではない実数は有理数or超越数であろうというボレルの予想を紹介しました。§2はリュービルの定理の証明でした。(内容割愛。でも内容は分かりやすかったです。)§3は飛ばし、§4でオートマトンシーケンスでAdomczemski,Bugrond,Luka(綴り怪しい)の定理を紹介します。この証明はリュービルの定理のすごい拡張である部分空間定理を使用するそうです。そしてDeterministic Finite Automaton with Output(DFAO)を紹介します。これはあるオートマトンの規則を与えて入力と出力を決めると超越数が生成されるという驚きの手法でした。これにより、Thue-Morse数列という超越数が作られたりできるそうです。ひょっとしてオリジナルのオートマトンを自作して、自分のMy超越数ができるかもとのこと。最後は世界のナベアツ(3の倍数もしくは3がつく数を1とする)のアホを続けると超越数になるというオチで皆を笑いの渦に変えて終わりました。
とりあえずノートは取ったので、後日復習します。ブルーバックスの「超越数とはなにか」も購入したので読むのが楽しみです。超越数がこんなに広い世界を持ってたなんて全然しらなかったMeには驚きでした。講師のお二方と数学カフェの皆様ありがとうございます。
次回は7月23日トロピカル幾何学だそうです。可能な限り出席したいと思います。
後記
家に帰ってからNHKスペシャルの「人工知能 天使か悪魔か 2017」を見て少しへこみました。人工知能が人間を管理する時代がくるのかなあ。。。人工知能はパターン認識で結論づけ、理由はブラックボックス。パターン認識で置き換えられるものは人工知能に取って変わられる。それではパターン認識で置き換えられないものとは?ちょっと考えさせられます。。。未来は厳しい。
とりあえず寝る。