長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『アントマン&ワスプ』

2018-09-28 | 映画レビュー(あ)

マーヴェル史上最大の戦いが繰り広げられた『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』。残された数々の謎の1つがアントマンの不在だった。いや、本当はあのIMAXスクリーンの端っこに1.5cmの勇姿を刻んでいたのではないか?いやいや、そういうワケではない。『シビル・ウォー』での事件がきっかけでFBIに逮捕、軟禁状態にあったのだ。

 第1作目『アントマン』はエドガー・ライト監督の途中降板等、製作の不備が露わな急場しのぎの仕上がりだったが、今回は余裕で前作超えの快作となった。前回、代打だったペイトン・リード監督は今回、正監督として再登板。とにかくギャグを盛り込みまくって観客を飽きさせない。衝撃の幕切れとなった『インフィニティ・ウォー』の後でこのお気楽さは何とも嬉しい清涼剤だ。全ての俳優を引き立てる素晴らしい主演ポール・ラッドを中心にキャストアンサンブルは実に楽し気である。ワスプ役エヴァンジェリン・リリーがアントマンの相棒としてヒロインの座に着くのはこのご時世において遅過ぎたくらいだ。圧倒的に話の下手な男ルイスに扮したマイケル・ペーニャは今回もコミックリリーフとして最高に笑わせてくれている(自白剤の下りは先が読めるのだが、もぉ可笑しくて可笑しくて…)。

 今回のヴィラン、ゴーストは単なる悪役に留まらない哀しき改造人間であり、演じるハナ・ジョン・カーメンは『レディ・プレイヤー1』に続く印象的な好投だ。あらゆる物質をすり抜けるこのキャラクターの特殊能力が縮小、拡大を繰り返すアントマンのアクションにバリエーションを与えており、終盤サンフランシスコで繰り広げられる『ブリット』を引用したカーチェイスに楽しいアレンジを加えていた。

来年公開予定『アベンジャーズ』第4弾への中継ぎとして最高の息抜きである。
 どうやら量子レベルにまで縮小するとサノスの指パッチンを回避できるらしく、逆転のキーパーソンはまさかのアントマンか?そして『インフィニティ・ウォー』も『ミッション・インポッシブル/フォールアウト』も欠席したホークアイ=ジェレミー・レナーは今いったいどこで何をやってるんだ!?

『アントマン&ワスプ』18・米
監督 ペイトン・リード
出演 ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、マイケル・ダグラス、ハナ・ジョン・カーメン、マイケル・ペーニャ、ウォルトン・ゴギンズ、ミシェル・ファイファー
 


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