アルフレッド・ヒッチコック監督『レベッカ』の原作者として知られるダフネ・デュモーリアの小説『My Cousin Raechel』の映画化。
19世紀、イギリス。養父アンブロワーズが養生先のスペインで病没、その未亡人レイチェルが訪ねてくる。アンブロワーズから莫大な財産を受け継いだ主人公フィリップは次第にレイチェルの聡明な美しさに魅了されていく…。
おそらく原作はレイチェルの正体を巡るミステリーに主軸が置かれていると推測できるが、脚本も手掛けたロジャー・ミッチェル監督と主演レイチェル・ワイズは彼女を妖婦ではなく、時代の犠牲者という現代的な解釈で描いている。レイチェルは亡き夫の面影を求めて渡英してきた哀しき寡婦であり、遺産に興味がない事は明確だ。誰かに所有される事を嫌い、自由を強く望む。この言葉よりも感情が先走るワイズの情熱的な演技はオスカー受賞作『ナイロビの蜂』を彷彿。聡明で自立心旺盛なヒロイン像は彼女の専売特許と言っていいだろう。
だが、時代はそんな自立した女性を良しとはしなかった。おそらくアンブロワーズもフィリップ同様、レイチェルを“所有”しようとしたのだろう(フィリップにおいてはろくに女性の扱いも心得ていない節がある)。悲劇的な結末の末にフィリップが課せられる罪悪感はしかしながら、今日に至るまで我々は共有する事なく来てしまったのである。
19世紀、イギリス。養父アンブロワーズが養生先のスペインで病没、その未亡人レイチェルが訪ねてくる。アンブロワーズから莫大な財産を受け継いだ主人公フィリップは次第にレイチェルの聡明な美しさに魅了されていく…。
おそらく原作はレイチェルの正体を巡るミステリーに主軸が置かれていると推測できるが、脚本も手掛けたロジャー・ミッチェル監督と主演レイチェル・ワイズは彼女を妖婦ではなく、時代の犠牲者という現代的な解釈で描いている。レイチェルは亡き夫の面影を求めて渡英してきた哀しき寡婦であり、遺産に興味がない事は明確だ。誰かに所有される事を嫌い、自由を強く望む。この言葉よりも感情が先走るワイズの情熱的な演技はオスカー受賞作『ナイロビの蜂』を彷彿。聡明で自立心旺盛なヒロイン像は彼女の専売特許と言っていいだろう。
だが、時代はそんな自立した女性を良しとはしなかった。おそらくアンブロワーズもフィリップ同様、レイチェルを“所有”しようとしたのだろう(フィリップにおいてはろくに女性の扱いも心得ていない節がある)。悲劇的な結末の末にフィリップが課せられる罪悪感はしかしながら、今日に至るまで我々は共有する事なく来てしまったのである。
『レイチェル』17・英
監督 ロジャー・ミッチェル
出演 レイチェル・ワイズ、サム・クラフリン、ホリデイ・グレンジャー、イアン・グレン
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