長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ザ・レディ・イン・オーケストラ:NYフィルを変えた風』

2025-01-16 | 映画レビュー(れ)
 魅力的な人物を魅力的に撮らえることは劇映画、ドキュメンタリー問わず容易なことではない。モリー・オブライエン監督は自身の叔母であるオリン・オブライエンについて35分のドキュメンタリーを撮った。

 オリンは今年90歳。レナード・バーンスタインに見初められ、NYフィル初の女性奏者となったコントラバスの名手だ。洋服も小物も目の醒めるようなブルーを好み、年齢を感じさせない快活さで日々、後進の育成に励む。子供はおらず、独身。モリーにとっては自立した理想の芸術家だ。

 オリン・オブライエンの両親はサイレントからトーキーにかけて活躍した映画俳優ジョージ・オブライエンとマルゲリーテ・チャーチル。ハリウッドスターの華やかな生活と没落を見たからこそ、オリンは“助演”であるコントラバスに魅せられたという。モリーが抱いた叔母への憧れが伝わってくる好編である。


『ザ・レディ・イン・オーケストラ:NYフィルを変えた風』24・米
監督 モリー・オブライエン
出演 オリン・オブライエン

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