
ねこ吉が小学校の高学年の頃。もう半世紀近くも前の話やわ・・・。

当時、うちではネコを飼っていた。
昔のことだから、避妊手術もしないから年に一度ぐらいは子どもを生んでいたように思う。
まだ目もよく見えていない、鳴きながらヨロヨロ歩く子猫は、もう最高に可愛かった。

生まれて3ヶ月ぐらいになると、あちらこちらにもらわれて行った。
おすし屋さんにもらわれて行った幸せなネコもいたナァ・・・。
確か夏休みだったと思う・・・。
何故か、キジトラと黒の子猫がもらわれないで残っていた。
キジトラのネコは今当時の写真を見てもたまらなく可愛いので、
ねこ吉がどうしても家で飼うと言い張ったのかもしれない。
その頃「ローハイド」という西部劇をテレビでやっていて、若かりしクリント・イーストウッドが演じる
カーボーイ、ロディが大好きだったねこ吉は、そのネコに「ロディ」という名前をつけていた。

耳の大きな痩せたネコで、いわゆるブサイクだった。
今考えても平等に可愛がってはいなかったと思う。
でも、小学生のねこ吉でも気付くぐらいクロが賢いネコだった。

突然、人の背中に飛び乗る癖があった。
当時、フェルトでアップリケをしたり、ブローチなどを作るのが流行っていた。
ねこ吉は茶色のフェルトを丸く切って真ん中にして、黄色のフェルトで作った花びらで
周りを囲んでヒマワリらしきものを作った。
多分ねこ吉の近くをクロがウロウロしていたんだと思う。
ふと、出来上がったヒマワリをクロの頭につけてやろうと思った。

頭に乗せてやると、よく似合う。でもすぐとれてしまう。
ピン止めでも留まらないし・・・。
ねこ吉はヒマワリの裏にセメダインをつけてクロに付けてやった。
「クロ、可愛いよ。よう似合うわ!」

大人しいクロは嫌がる様子も無くウロウロしていた。
さすがに何時までもそのままにしているわけにもいかず、取ってやることにした。
「ワァ、取れへん!」

思い切って引っ張ったら、毛ごと取れた。

クロの頭には直径2センチぐらいの白いハゲ!

ビックリしたと同時に、黒猫の肌が白いことにも衝撃だった。
その光景は、今も目に焼きついている。
その後、白いハゲに黒い毛がホヨホヨはえてきてクロの頭は元通りになったけど・・・。
クロ、ごめんね。

