パンクと釣り

オールドタックルでのバスを中心にした釣行記
ハードコアパンクバンドNERDとCARCASS GRINDERの活動

冬期北アルプスに挑戦 ①西穂高岳

2019年03月06日 | 

3月です。

恒例の繁忙期に突入し山にも釣りにも行けない日々が続いていますが、たまに魂だけ厳冬の北アの稜線をさまよったりしながら、やり過ごしています。

では、いまだに魂が抜け出せずにいる年末年始の北アルプス遠征を思い出してみましょう。病状が悪化しそうで少々心配ですが…。

まずは西穂高岳を狙います。技術的には今までで最難なのではないでしょうか?

これまでにクリアしてきた自分的雪山難ルートの八ヶ岳横岳、塩見岳山頂部、赤石岳核心部の経験を武器にどこまでやれるのか挑戦してみましょう。

 

いつものように一番遅い新幹線で博多から名古屋まで行きネカフェ泊でスタート。

今年はスタートが遅くこの日が大晦日。年が明けるころにはぐっすり眠っていました。

 

翌朝は元旦。ネカフェで明けましておめでとうとは何とも味気ないですがしかたないですね。今は旅人ですから。

朝一の特急で高山駅まで行き、バスで西穂高ロープウェイ駅まで。昼過ぎには到着。ここまでは槍・穂や常念山脈の時とほぼ同じなので難なく来れました。

2本のロープウェイを乗り継ぎ(どちらも女子添乗員が可愛い)、登山口に到着。

登山を開始する前に食堂で腹ごしらえ。名前に惹かれれて「雲海うどん」なるものを頼んだのですが、これがトロロで雲海を表現したもの。じつは私、山芋アレルギーでして…。

トロロをよけつつうどんだけをすすったのですが、少しだけかゆくなってしまいました。(少し肺に入った…!とナウシカ風に心の中でつぶやく)

登山届もここで提出していよいよ出発!と言ってもこの日は西穂山荘まで1時間半の行程ですが。

天気はあいにくですが、無いのではないかと心配していた積雪はしっかりとありました。年末の寒波でかなり降ったようですね。

ほどなく本日の宿、西穂山荘に到着。

このころには時折晴れ間もみえました。

山荘があるところはあまり風の影響を受けないようで、穏やかでした。テント泊の人たちも快適そうでしたよ。

名物雪だるまもありました。この人が生まれた時はまだ雪が少なかったため例年よりスリムになったようです。

それでは明日のアタックに備え山荘で体を休めることにしましょう。

この山荘はとても居心地がよく、ゆっくりとできました。

スタッフも親切。ロープウェイと同じく女子スタッフが素朴で可愛いのも良い。

気になる明日の天気ですが、山荘オーナーの話では非常に予測がしにくいとのこと。わかっているのは風が非常に強く、気温も低いということだけ。

風速20mで気温マイナス20℃らしい。

キビシイ戦いになるのは決定しているようです。

とりあえず明日のために今日も寝ましょう。

 

翌朝。西穂高岳アタックの日が訪れました。

天気は昨日と同じ感じ。ガスってます。

天候回復を信じて出発!

緩やかに高度を上げてゆきます。

稜線に出るとやはり風が強い。

しかしながら、登山道はなだらかで難しいところはありません。

強風の中歩を進めると白く輝く三角形が!ピラミッドピークです。

さらに行くと独標も見えてきました。

はじめて観る厳冬の穂高の稜線に士気が上がります!

独標が近づいてきました。

この独標の登高からやっと岩稜が現れます。

その岩稜をクリアすると

独標に到着。

振り返る稜線

そして

これから向かうピラミッドピーク!

さらにその奥に続く稜線も見えます。

いやあ、これは厳しそうだ。

そしてその荘厳なる姿に心を囚われると、どうしても行きたくなるのだから危険ですよねえ。セイレーンの魔女でもいるのでしょうか?

いるならロープウェイや山荘のスタッフと同様に可愛いと良いのですが。

 

ここで問題が発生します。

ここまでは多くの人々が登ってくるのですが、だれもここから先へは行こうとしないのです。

皆、先に続く稜線を恐る恐る覗いては、無理無理と言って引き返してしまいます。

別に他人をあてにしていたわけではありませんが、何かあった時誰にも発見されないのは怖いですし…しかもここは穂高の稜線。

何かが起きても不思議ではありません。

だったら1人で来るなよ!ということになるので、とりあえず行けるところまで行ってみることに。

無理だと思ったら引き返そう。勇気ある撤退も去年覚えたことだし。

そして禁断の向こう側へクライムダウンを始めると、足をかけたデカい岩がボコッと外れて谷底にゴロンゴロンと消えていったではありませんか!

ひいいい!オレ!怖い!

とりあえず下りてはみたものの、いきなりの落石で戦意喪失。

どうしたものかと迷っていると、人が1人下りてきました。

そして「御一緒しませんか?」との申し出!

是非!是非!

この方も一人で行くことに一抹の不安を感じていたようです。

ここに即席チームを結成。

西穂をともに目指すことにしました。

しかもこの相棒、私よりはるかに実力者でしてずっと先導してもらいました。

さあ、まずはピラミッドピークを目指すぞ!

ここからの道のりは予想以上に険しくこんな登下降が連続する、全く気の抜けないものです。

比較的平坦なところも強風とクラストで気が休まりません。

何とかピラミッドピークに到着。写真の人物は私ではなく相棒です。

さらに続く険路。

やっと西穂山頂が見えてきました!

そしてついに

西穂高岳登頂!これ私です。誰だかわからないけど!

嬉しいですねえ!相棒とハイタッチ!

正直この人がいなかったらここまで来れてなかったでしょう。本当にありがとう!

 

しばらく待ってみましたが天候の回復は見込めそうにないので下山を開始しました。

ここでまた問題発生。

私のバラクラバですが口と鼻に穴が開いているタイプで非常に呼吸が楽なのですが、呼気がまともに外気に触れるからでしょうか口と鼻回りがガチガチに凍ってしまいました。

凍りついたところが顔の皮膚に張り付いて逆に凍傷の恐れがあったので外してしまいました。

これによって顔の露出部が増えるので結局凍傷の危険はあるのですが…。

予備を持ってくるべきでした。

さて下山中は事故が起きやすいとされるうえ、この険路ですからなおさら気を使います。

さらに風は攻撃力を増し、寒さは痛さへと変わります。

そんな中、一瞬ですが晴れ間がのぞき目を楽しませてくれます。

本当は槍や穂高連峰、笠が岳を観たかったのですが贅沢は言うまい。

ピラミッドピークまで戻ってきました。

ピラミッドピークを下っているとまた晴れ間がのぞきました。

振り返るピラミッドピーク

雪塵を巻き上げる強風が何とも似合いますね。

独標が見えてきました。まだまだ険路は続きます。

そして独標に到着。

この景色も見納め。

ここから先はなだらかな道となりホッとします。

しかし依然として風は強いのです。

振り返る独標とピラミッドピーク

ここからは道はなだらかですが、ガスにまかれると迷いやすいので何度も地図とコンパスととYAMAPで確認しながら下りました。

最後に一瞬だけ西穂の山頂部が見えました。

あそこにさっきまでいたんだなあと思うと、なんだか信じられないような気がします。

こうして無事に下山できました。

登ったというより、連れて行ってもらった感が強いですが、確かに厳冬の西穂の頂を踏んだのです。

ここは素直に喜んでおきましょう。

そして私を連れて行ってくれた名も知らぬ相棒は最終のロープウェイに乗るのだと言って、さっそうと去って行きました。

名前どころかお互いの顔すらよくわからない状態でしたが、きっと忘れられない出会いになったと思います。

 

こうして西穂高岳への挑戦は何とか成功したのでした。

 

この日は西穂山荘にもう1泊。

 

神経がまだ高ぶっているからか、おっさんたちの発する音のアンサンブルのせいか、なかなか寝付けない夜でした。

俺も寝たらあんな変な音出してんのかな?俺もおっさんだし。大体何の音だ?出す必要あるのか、それ?

などと山小屋特融の夜を過ごしました。

歳はとりたくないものですな。

 

あと心配した通り、顔が軽い凍傷になっていました。

特に鼻の頭がヤバそうです。

 

でもいいんです!西穂登ったから!

 

翌朝。

下山する前にもう一度穂高の稜線が見えないかと思い丸山手前まで登ってみましたが

かすかに遠く霞むだけでした。

さらば西穂高岳よ。

来る時より積雪が増した森の中をのんびり下ります。

途中見晴らしの良い場所があったので西穂が見えないかなと思いましたが

ガスの中でした。

 

厳冬の西穂は想像していたよりさらに厳しく、危険な美しき山でありました。

あの山に呼ばれる感覚はちょっと怖いですけどね。

とにかく登りました。達成感。

夏の西穂も登ってみたくなりました。

そのときはきっと、ジャンダルムに呼ばれるんだろうなあ。

そしてこれにて穂高のピークはコンプリート!

 

楽しみにしていた帰りのロープウェイの添乗員はカワイコちゃんではなく無愛想な兄ちゃんだったのは少々不服でしたが、無愛想はお互い様ということで…。

良い旅でした!

 

そして休みはまだまだ残っています。

ということで焼岳にアタックすることに決定。

 

焼岳編につづく。

 

 

 

 

 

 

 

コメント
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