今週もフランスを旅した岸村さんのリポートを紹介したい。
フランス・パリにあるルーヴル美術館。年間8百万人以上の観覧者を誇り、美術品約3万5千点が総面積約6万平方メートル(甲子園球場約1.5個分)という広大なスペースに展示されている。
長期滞在が叶わない限り、目当ての作品を効率的に巡らなければならない。
【写真】美術館の中庭から旧凱旋門を望む
今回、私は83歳になる祖母とここを訪れた。健脚ではない祖母にとってそれを可能にするのは車椅子。そこでは車椅子の利用者に対する配慮と支援体制があたりまえに行われている。
車椅子利用者向けの館内見取り図。通常のものと比べ、エレベーターやスロープの位置が追記。館内でもそれらがわかりやすくサインされており、スムーズに目的の作品までエスコートしてくれる仕組みが確立。
観覧者が多く集まる「モナ・リザ」では最前列を車椅子利用者のために確保するなど、ハード・ソフトの両面からサポートされているという印象を受けた。
また、EU圏に居住する26歳未満の者や、18歳未満の者は観覧料がいつでも無料。
アートが身近な存在となり、教育の一環として位置づけられていることに強い魅力を感じた。
(岸村敏充/フランス・パリ)
パリは「芸術の都」「華の都」と呼ばれる文化都市。全ての人が分け隔てなくアートに触れられる環境が整えられたことも一因し、世界屈指の観光都市にもなった。
和歌山県も多くの文化・観光資源を持つ。訪れる人々に親切でわかりやすく、かつ、地域の宝として受け継がれるか。
文化都市の在り方を考えさせられた。
(次田尚弘)