旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

休日はローカル線で 雲霧城と舞茸弁当と花の舞 天浜線で呑む!

2015-02-28 | 日記・エッセイ・コラム

全線68kmを単行ディーゼルカーが2時間かけて走る、何とものんびりした列車の旅。
マルーンとクリームのレトロ調車両はきっと観光用、車内放送では沿線の観光案内が流れる。

 関ケ原前夜、山内一豊が家康に差し出した掛川城、すでに桜が見頃を迎えている。
掛川駅から城へと続く大通りの両側には彫刻が立ち、街ゆく人の目を楽しませてくれる。

天竜浜名湖鉄道(旧二俣線)は、東海道本線を、浜名湖北岸を迂回して結んでいる。
太平洋戦時中、その使命通り、何日間か特急列車と軍用列車が二俣線を走ったそうだ。

 天竜浜名湖鉄道の本社が置かれる天竜二俣駅は、駅舎やプラットホームが有形文化財だ。
SL時代の転車台、扇形機関庫、貯水槽などを巡る見学ツアーも催行されている。

 天竜二俣を発車するとまもなく天竜川の鉄橋を渡る。
諏訪湖に発した “暴れ天竜” は、ここから磐田原に開放され、川幅を拡げて遠州灘に注ぐ。
鉄橋から上流側は写真のような渓谷美、下流側は大河の景色なのだ。

 天竜二俣駅で土日のみ販売される "まいたけ弁当" は、相当にレベルが高い。
いままで食べた駅弁の中ではベスト3に推せるのではないだろうか。
先ずは、煮しめ、山菜の天ぷらを酒肴に楽しんでから、〆に炊き込みご飯をいただく。
今日の1本は "花の舞 純米吟醸"、フルーティーな冷酒が旨い。

映画のワンシーンになりそうな宮口駅で途中下車するのは、花の舞の蔵元を訪ねるため。
無人駅を降りて昔からの住宅街を行くと、杉玉を吊るした白壁の蔵が見えてくる。

舞の花酒造は静岡産の山田錦に拘り、南アルプス系の湧水で当に「地酒」を造っている。
菰樽には花吹雪が舞って春の予感。さあ土産に "吟麗生酒" を求めたら駅へ戻ろう。

西気賀から尾奈の間は、車窓右手に浜名湖がそのたびに印象を変えて見え隠れする。
時には漁村の風景、時にはリゾートの雰囲気で、凪いだ湖面が夕陽に照らされて美しい。

車窓から浜名湖が消えて15分ほど、単行ディーゼルカーは新所原に終着する。
新所原は新興住宅地以外見当たらない淋しげな駅、東海道線の駅舎とも別々だ。
日は暮れて18:00。これから5時間半かけて戻る東京への旅程が長いのだ。 

<40年前に街で流れたJ-POP>
年下の男の子 / キャンディーズ 1975年