旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

酒と肴と男と女 たく庵@四谷三丁目

2024-09-18 | 日記・エッセイ・コラム

一杯の生ビールを呷ったら、手書きの品書きから大好きな “花垣” を択ぶ。
はじめましての一杯は、福井県産の酒造好適米「九頭竜」を醸した純米無濾過生原酒だ。
シャープでスッキリな純米酒は、ほんのり甘い “だし巻き玉子” をアテに美味い。

荒木町で落ち合う大人の時間は、この日ばかりは新宿通りを渡らずに、四谷三丁目の地下に消える。
隠れ家のような店は、スマホのマップでも開かなければ、その穴蔵は見つからないのだ。

仄暗い隠れ家には7席ばかりのカウンターが延びて、趣味のいい陶器を並べている。
久しぶりの人は最奥の席で、タンブラーを弄んでいる。挨拶はなしだ。

日本海の幸を陶器に盛ったら、山葵と岩塩と辛味噌を添える。キレイだね。いやお造りのこと。
雫石の “菊の司” は、ひとめぼれを磨いた純米生原酒うすにごり、少しガスを感じる爽やでフルーティな酒。
“線香花火” に和金が遊ぶガラスの酒器を並べて、ゆく夏を感じるのもまたいい。

被災した珠洲の櫻田酒造に天狗舞が手を差し伸べて “能登大慶×天狗舞”、ちょっぴり苦味も感じる旨酒だ。
さすればアテは “能登のへしこ” を。この塩辛い糠漬けで何杯かいけそうだ。酒器は陶器に代わっている。

大将のお薦めは “不二正宗” は乾坤一を醸す宮城の蔵、リンゴの香りを感じる甘味あるサッパリした酒だ。
〆は “塩むすび” をひとつずつ、へしこを齧りながら米の旨みを堪能する。

夜の帳が下りるのも少しづつ早くなって、これからの季節、ゆったりと大人のふたり酒もいい。

あなたに逢いたくて / 稲垣潤一 with 松浦亜弥



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