旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

旅の途中の酒場探訪 新潟「こばちゃん」

2021-01-23 | 津々浦々酒場探訪

 年明け来の大雪のニュースを目にして、新潟の雪景色が見たくなったのだ。
居ても立っても居られなくなって万代橋を渡っている。新潟には2年暮らした。

幕末の五港を開港によって設置された運上所(旧新潟税関庁舎)周辺は、新潟市歴史
博物館として整備されている。その重厚な建物の向こうに冬の日が沈んでいった。

     

という訳で酒場の時間がやってきた。今宵、本町通8番町の「居酒屋こばちゃん」へ。
新潟時代は狂ったように仕事をしていたので、こうした趣きある酒場に縁は薄かった。
でっ、今になって訪ねるなんて。この店では10年ほど前、吉田類氏も杯を傾けている。

先ずは生ビールを呷る。3点盛りは真鯛、寒ブリ、それに甘エビ、冬の日本海を堪能する。
牛蒡を絡めネギを散らして "村上牛のしぐれ煮" が美味しい。
然らば酒も村上の "大洋盛" を択ぶ。ふくよかな香りのひやおろし生原酒がいいね。

"のっぺい" が無い。代わりに "治部煮" をいただく。金沢のそれと比べて素朴なひと皿だ。
佐渡の "天領盃"、冬限定の純米吟醸しぼりたて生原酒はスッキリとして酸味が特徴、
味の濃い料理にも合う。我ながらよくできたチョイスと思わず悦に入る。単純なのだ。

さて背中の小上がりの半分がご常連さんで埋まった。そろそろ潮時か。
柾谷小路で銀バスに乗って駅へと引き返す。万代橋の下を滔々と流れる信濃川。
新潟は今宵も霧に更けゆくだろうか。

新潟ブルース / 美川憲一