いろはにぴあの(Ver.3)

ピアノを趣味で弾いています。なかなか進歩しませんが少しでもうまくなりたいと思っています。ときどき小さな絵を描きます。

チェルニー30番

2011年02月10日 | ピアノ・音楽
 子供のころチェルニー30番は大嫌いな曲集でした。中学生までハノン、チェルニー、バッハ、そしてソナチネ、ソナタのような曲という順番でレッスンを受けていたのですが、ハノンの次のチェルニーで多大な労力を費やしていた記憶があります。指を早く動かし続けなければならないところが多く、初めから終わりまで気を張り続けれいなければならなそうな割には、ドラマチックでなくて面白くないような気がして苦痛でした。そのくせ30番よりは40番、早く進んだ方がかっこいいと思っていたので、嫌な30番は早く終わらせたくて、ろくに仕上がっていないのに最後あたりは無理やり合格をもらっていたような気がします。楽譜にあるチェルニーさんはいたずら書きの格好の餌食となっていました。
 しかし、チェルニーをやりたくなってきたのでレッスンで話をしたところ、音楽之友社のNew Editionを勧められました。楽譜の前に入っている「練習を始める前に」「練習の進め方」「各曲の手引き~演奏と指導のために~」に衝撃を受けました。「各曲の手引き」から一部を引用します。

 第1番はAllegro 2分音符=100 ハ長調 4拍子から始まり、アレグロの説明、そして以下のような説明が始まります。感動したので引用させていただきます。 ←以降太字が私の突っ込みです。

 音形の違いを理解する
まず右手の音型をよく見てください。ドレミやレミファのように隣り合った3つの音の組み合わせがあります。指の1-2-3、2-3-4、3-4-5それぞれは、往復や反復運動をしていますね。そして第1小節のように、最初の音と次の音が跳躍音程(5度、4度、3度)で結びついています。それらの音型をとても長いスラーでつないでいます。←よく観察しているなあ、まるで科学だ。 
 左手も見ましょう。譜例1に、この曲の左手のいくつかのリズムのパターンを書き出しました。これが、右手の急速な動きの伴奏です。リズム、スラーの付き方、スタッカート、音型の違いに注目してください。←左手にもリズムがあったんだなあ、このように並べてみると実に変化に富んでいるような気がする。(譜例1がある)

 スラーの弾き方
 スラーはレガート、前後の音をつなげて(指がキーから離れないように)弾くことを指示しています。スラーがないときはその反対でノンレガートです。また、スラーが2音または3音にかかる場合は、スラーの始まりを後の音より大きく弾きます(弦楽器の弓使いを受け継ぐ伝統的な弾き方です。)スラーの終りの尾とは少し短めにして「スラーの終り」を表現します。そこにスタッカート記号の・が付いているときは、もっと短く弾きます(15-16、30-32小節)。 ←スラーは指がキーから離れないようにするのか。よく分かってなかったよ。それから弦楽器の弓使いを参考に、スラーの始まりを後の音より大きく弾くという話なんか、ここ2年ぐらい、ごく最近に知った話だよ。

 バスからフレーズの区切りを読みとる
 譜例2に、この曲のバスを書き出してみました。バスは、一般に、その調の音階の第1音(主音)、または第5音(属音)でフレーズを大きく区切ります。←なんとフレーズの区切りに見られやすい音のタイプまで説明してあるとは!確かにそういうケースが多いような気がする。 そのときに生じた音楽の段落を終止と呼びます。←段落ですか、国語ですな。 楽曲を演奏するときは、文章を読むときように、まず終止に注目しましょう。(以下省略)  

 第1番の説明だけでもこんなに充実した解説です。スラーの弾き方やフレーズの区切りに見られやすい音のタイプなどは音楽を演奏する上で知っておくとよさそうな大切なことなのに、少し前までは全く意識すらしていませんでした。
 第3番では和声音、非和声音、解決音などの解説も出ていて、かゆい所に手が届くような気がしました。目から鱗がぽろぽろと落ちました。
 
 この解説を読むだけでも満足感が得られそう。私も下手な自己流仮説(?)を書く前に、この楽譜の解説をじっくり読んだほうがよさそうに思いました。

 しかし

 この解説が有難い、と思うのは、現在大人になって曲を音楽的に弾けるようになりたいと思うようになったからというのも明らかです。子供のころは絶対に有難いなんて思わなかったと思います。細かく書いていてうるさい、と思いながら読み飛ばしていたでしょう。子供のころから有難い、と思っていたら絶対に今もっとピアノが弾けていただろうと思いますが。。。残念ながら私はそうではありませんでした。

 でも出会ったのが今だとしても、出会えて本当によかったと思えた楽譜でした。過去嫌だったからこそなおさらそう感じます。

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