ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

晩秋の庭にて

2014-11-13 09:28:47 | ガーデニング
ノエルハーブガーデンにも、秋の終わりの気配がしのびよりつつある。欅の木々も、深い赤や黄に色づき、燃えるようでさえある。
夏の間、短い命を謳歌していた蝶や蝉たちの姿ももうなく、冷たい冷気さえ漂い、静かな秋の日が照っているーー。見る人の心にもひたひたと波が寄せてくるような、寂しさが感じられる季節。庭のベンチに座っていると、腕にも首筋にも淡い日差しが、差し込んで、ものがなしくさえなってしまう。

それでも、木々から落ちた紅葉が地面に散り敷いて、そこに黄金色の夕陽が照っている有様など、寂寥感とともに、豪奢な気配さえきざしているのだ。 衰退に向かう前の、刹那の輝きとでもいったら良いのだろうか――。

庭のベンチに座っていると、素晴らしく豊かな気持ちになってしまう。華麗な絨毯のように広がる落ち葉の堆積、葡萄小屋や木々にさしこむ金色の光…何と贅沢な季節なのだろう。秋の光の透明さは、フェルメールの絵画にも匹敵する美しさだ。どこか遠くで、火を焚く煙が一条上がり、家路を目指していく鳥たちの姿も、夕空に見える--私は、この天然の大広間にもう少し座っていたい。空から、星が降りてくるまで--。
コメント    この記事についてブログを書く
« 伝言板 | トップ | スイスと箱根って似てる? »

コメントを投稿

ガーデニング」カテゴリの最新記事