1985年に制作されたイタリア映画「フェノミナ」を観る。実は、これはすこぶるつきのホラー映画。
以前、このブログで紹介した「サスペリア」の監督であるダリオ・アルジェントのもう一つの代表作というわけだが、最近になるまで、そのことも知らなかった。
しかし、この「フェノミナ」——ずっと観たいと願い続けてきた映画でもある。何度も口にしてきたことだけれど、私は中学生の頃、映画雑誌の「スクリーン」を愛読していて、この「フェノミナ」のロードショーが告げられた記事を読んだ時も、何だか興味をひかれたのだ。でも、当時の私は、ホラーなんて嫌いだった。
1970~80年代は、ホラー系統がブームだったのか、「オーメン」シリーズ、「エクソシスト」、スティーブン・キング原作の「ミザリー」だとかが、人気を博していた記憶がある。でも、中二だった私が、この作品に興味を持ったのは、純粋に、主演が当時、15歳のジェニファー・コネリーだった一点に限る。シンプルな制服を着て、こちらをきりっと見すえる、ジェニファーの知的で、清楚な美しさが、くっきり、心に残っていた。
それから、幾星霜もの年月が流れ、ようやくamazonで買ったブルーレイ版で、彼女に会えたというわけだが、予想以上に面白い作品だった。
主人公の少女、ジェニファーは、世界的な大スターを父親に持つ、少女だが、家庭的には恵まれず、孤独。そんな彼女が、スイスにある少女だけの全寮制の学校に入学するため、アメリカからやって来るというところから、物語は始まる。
この設定に、ジェニファー・コネリーの美貌が加わるだけで、ドキドキするのに、なんと、ジェニファーは虫を愛し、彼らと交信する超能力を持つ。そして、夢遊病の発作にも見舞われる。
フツーでないヒロインが降りたった、風光明媚なスイスの地には、時悪しくして、かよわい少女ばかりを狙い、惨殺する殺人鬼が出没していた。夢遊病の発作に見舞われ、深夜、学校から抜け出したジェニフアーは、車いす生活の昆虫学者のマクレガーに救われる。マクレガーは、賢いチンパンジーのインガと暮らしているのだが、彼の助けを借りて、ジェニファーは連続殺人鬼を見つけ出そうとすうr——というのが、大まかなストーリー。
事件の鍵は、学校の女性教師、ブルックナーが握っており、ジェニファーはアメリカの父親のもとに逃げ帰ろうとした時、彼女の家に一晩泊まるよう言われる。しかし、その家では、すべての鏡に布がかかっており、ブルックナーは「息子が鏡を怖がるから、こうするしかないのだ」などと言う。
その言葉の意味は? そして、ブルックナーの息子とはどんな人物なのか? そして、ブルックナーは、事件にどんな役割を果たすのか? とスリルと恐怖で、観客を引っ張っていくアルジェント、本当に上手い!
ただ、見終わった時「?」の点がいくつも、あったのは事実。なぜ、犯人は、少女ばかり狙ったのか? ブルックナーの恐ろしい息子は、どういう因果を背負っているのか?
と釈然としない思いもあったものの、それをはるかに上回って、ジェニファー・コネリーのヒロインぶりが魅力的! 可憐でありながら、どこかミステリアスな影を宿した少女——虫とテレパシーができるって、他に見当たらない、ヒロインでは?
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