出た・・・フランスの伝説的貴公子、ジェラール・フィリップ。36歳で、1959年、亡くなる。思えば、彼が死んでから半世紀はとっくに過ぎているのだが、映画ファンの間では、「花咲ける貴公子」(ジェラール・フィリップが主演した「花咲ける騎士道」をもじって、こう呼ばれている)として絶大な人気があるらしい。もはや、グレタ・ガルボやマルレーネ・ディートリッヒと並んで、永遠のスタアとしての位置づけみたい。大好きだったジェームス・ディーンが忘れ去られているのを思うと、複雑な気分だけど。
二十代の頃、主演したスタンダールの「赤と黒」、「パルムの僧院」などで彼の魅力は十分発揮されたけれど、私としては「夜の騎士道」やファンファンという騎士に粉した、一連のコメディタッチのものが忘れがたい。美貌といっても、アラン・ドロンみたいな油絵を思わせる強烈さと違って、ジェラールは水彩画のような透明な美しさで、まるで水辺に咲く花のような清らかさも感じられるから不思議。
映画「トロイ」で、ブラッド・ピットと共演したオーランド・ブルームなんか。ちょっと近いかもしれない。だが、ジェラールのような気品の感じられるスターはもういない。南フランスの小さな村の岬にあるという、彼の墓をいつか訪れてみたいと思う。
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