一昨日、ポストに小包が届けられ、その中には素晴らしい作品集と丁寧なお手紙が。米子にお住まいのレザーアーティスト、本池秀夫さんの御家族からのもので、父が送ったらしい手紙に対するご返信だったようなのですが、またあの美しい作品を見ることができた、と何度もほれぼれと見てしまいます。
このお話には前段があって、昨年の秋、中央ヨーロッパへ旅行した時、本池秀夫さんのご夫人(とてもお話の面白いかたで、会話するのが楽しかったです)と息子さんにお会いすることができ、その時、ご主人が有名なアーティストであることを知ったのですが、その作品集をバスの中で見せていただいたことがあったのです。
何の気なしに、頁を開いたのですが、その作品の圧倒的な凄みや美しさに愕然。うまくは言えないのですが、一流の芸術家とされる方のみの持つオーラが、作品に感じられるのです。ご自分の名前を書かれた(ここにも、洒落たセンスの表れが)MOTO TOYS MUSEUMというおもちゃ屋さんの店をそのまま革で作ったという芸術品(写真なので、はっきりしたサイズなどは、わからないのですが、英国の伝統的なドールハウスみたいな感じでしょうか)・・・の小宇宙とでもいいたい精緻さ!
人形や木馬、店のカウンターの他、ショーケースに置かれたテディベアも革で作られているのです。革といったら、昔フィレンツェで買ったペン入れを綺麗だなあ、などと思っていたのですが、ここではそんな凡庸な発想など通用しないですね・・・それにしても、テディベアなどクマの毛のもこもこした感じも寸分たがわず再現されていて、クマの子の独特のほほえみが浮かんでいるのさえ見えます。 そして、お店の壁には、イースター島のモアイ像や京都のお寺、インディアンの姿まで描かれているという洒脱さ!(これが、紹介文にも書かれていた「革絵」というものなのでしょうか?)
アルルカンの哀愁漂う、滑稽なメーキャップ姿を描いた人形・・・この表情や姿が、「革」でできているなんて、誰も想像できないのでは?
この少年とおじいさんの像の見事さもそうです。少年の着ている服は折り目や皺まで丁寧に再現され、本やランドセル、帽子といった小道具まで、宝石のような美しさを持って迫ってきます。少年を優しく見守るおじいさんの、柔らかな表情・・・う~ん、革でこんな繊細な表現ができるなんて・・・感嘆の一言です。
そして、この動物たちの像。革の彫像とでも呼びたい、迫真力と美しさです。写真だけで、実際に見たことはないのではっきりとは言えないのですが、大理石やブロンズとちがって、温かな血が流れるような柔らかさがあるのでは? と思うのです。これらの壁にかけられた動物たちの胸像--ここで、私の想像は飛躍して、どこか森の近くの古いシャトーや城館が目に浮かびます。そこは、中に入ると、壮麗なタペストリーや紋章のたてかけられた廊下に、革でできた鹿や象、ライオンたちの像が立てかけられているのです。その城館には、「MOTO CHATEU」とエンブレムが描かれていました。
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