映画「太陽と月に背いて」を、本当~に、久しぶりに観ることができました。 もう二十年ぶりくらいになる?
これは、若かりし日のレオナルド・ディカプリーが天才詩人アルチュール・ランボーを演じたと、いうそれだけでも、食指がピクリと動きそうな映画なのです。しかし、鮮烈な印象を残す物語であったにもかかわらず、「タイタニック」などの陰に隠れていて、知らない人も多いのでは?
もったいないことであります。
何はともあれ、美と若さが輝くレオ様が、素晴らしい! 19世紀の伝説的な少年詩人を、「タイタニック」で見せた、奔放不羈さや若々しさで、見事に演じきっています。
といっても、「ランボー? 名前は聞いたことあるけど、どんな人?」とその生涯については、知らない人も多いのでは?
ここでかいつまんで説明してみると、アルチュール・ランボーはシャルルヴィルの中流農家に生まれ、15歳の時には、前人未踏の、「新しい詩」を書きはじめます。そして、16歳の時、パリの有名な青年詩人であったヴェルレーヌに、自作の詩を送るのですが、感動したヴェルレーヌは「偉大なる魂よ、来たれ」とランボーをパリに呼び寄せます。
ところが、実際に姿を現したランボーは、青年どころか、年端もゆかぬ少年。おまけに、故意に育ちの悪さをポーズにし、ヴェルレーヌが新婚の妻と身を寄せていた義父の家でもやりたい放題(犬の置物を壊したり、ロザリオを勝手に持っていったりとか)。
さて、このヴェルレーヌというのが、また曲者。若くて綺麗な妻(おまけに、妊娠中)がいながら、少年ランボーの才気や魅力に、ノックアウトされた挙句、妻を捨て、彼とヨーロッパを放浪などするのです。
そのくせ、奥さんのことも忘れられず、ロンドンから女々しい手紙を、彼女に寄こしたりとかーーこの人も、ランボーに劣らず、相当変な人なのでは?
そして、お互いの詩作にインスピレーションを与えるための結びつきだったはずの、二人の友情。これは、同性愛といさかいと、愛と憎しみがぶつかりあう「地獄の季節」そのものの様相を呈することになってしまったのでした。上の写真は、ヴェルレーヌに残酷な悪口を並べ立てた挙句、怒ったヴェルレーヌから置き去りにされてしまったランボーの姿。(泣いています)
結局、二人の愛憎は、二年のち、ランボーの手をヴェルレーヌが銃撃するという、衝撃的な事件と共に、幕を落とすのですね。
しかし、それからのランボーは、さらに「地獄の季節」を突き進むことに――白人などいない、アフリカの地で貿易商人として生き、膝に腫瘍ができたため、フランスへ帰国します。そして、片足切断の末、マルセイユの病院で亡くなるのですが、最後のエピソードが効いている。
高名な詩人ヴェルレーヌのもとに、ランボーの妹イザベルが訪れます。彼女は、「若い頃の兄の詩は、神を冒瀆するものであったから、あなたが持っている原稿を破棄してほしい」とヴェルレーヌに訴えます。
いかにもわかった、というように頷くヴェルレーヌ。しかし、彼はイザベルが帰った途端、彼女が住所を書いた名刺を破棄してしまうのですね。そして、アブサン酒を前に、もの思いにふける彼……その前に、若い日のランボーが座っています。
「僕のこと愛している?」と聞くランボー。その幻が消えていった後、再び、一人、カフェで、アブサン酒を前にしているヴェルレーヌ。
最後に、こんなナレーションが流れていきます。
「彼の死後、今も毎夜、彼に会っている――私たちの大きく輝かしい罪。決して忘れない。私達は幸福だったのだから」
そして、地をゆくランボーの前方に広がる海。
「見つけたぞ
何を? 永遠を
それは太陽に溶けた海だ」
太陽と月に背いて、を検索してこのブログに逢着しました。
ノエル様はどのような手段でご視聴なさったのですか?
いま、私はどうにかしてこの映画が見たいのですが、dvdは高騰しているし、vhsは再生機器を持ってないしで困っていまして、、。
よければご教示ください。
ブログに訪問ありがとうございます。
お訊ねの件なのですが、実は私は、若い頃、この映画を映画館のロードショーで観て感激したあまり、ビデオを購入していました。
幸い、ビデオの再生機器を捨てずに保存していたので、今も観ることができるのですが……。
確かに、あのディカプリオが若かった頃主演したもので、良い作品なのにもかかわらず、現在DVDが発売されていないみたいですね。
でも、本当に良い作品です。ディカプリオの若さと魅力が横溢しているし――ニコさんも、どうぞ観て下さい☆
ご返信ありがとうございました。
私は実は映画上映時は生まれたばかりでして、タイタニックさえ実はど真ん中とは言えない世代に属しています。
それでも今なぜかランボーに惹かれて、その映画が見てみたくなったのです。
ノエルさんの勧めも受けて、どうにかして見る方法を模索して、近くの大学図書館でどうやら見られそうというところに辿り着きました。
少し先になりそうですが、楽しみです。
この作品との出会いのきっかけを与えてくださったことに感謝いたします。
ありがとうございます😊
最初のメールから、「きっとずいぶん若い方bなのだろうな」と思っていたのですが、予想は外れていなかった( ´艸`)
ただ、特にディカプリオのファンという訳ではなく、ランボーの人物像に興味を持たれているのですね。
そして、「太陽と月に背いて」の映画を観る方法を見つけられたとのこと――本当に良かった!
アニエスカ・ホランド監督の同作は史実を丁寧になぞっており、観た後もいつまでも心に残る佳品です。
どうぞ、ニコさんがこれからも、映画との良き出会いを果たされますように♪