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「物語のティータイム」(お菓子と暮らしとイギリス児童文学) 北野佐久子 著 岩波書店
今月の19日に発売されたばかりの新刊。 副題にもあるようにイギリス児童文学の名作とされる作品に出てくるお菓子の紹介と舞台となった土地を旅するエッセイが一緒になったとても贅沢な一冊。
ここ数年、児童文学を「勉強」(ああ、あんまり好きな響きの言葉じゃないなあ)するようになって、ある程度の本を知ったというものの、この本にはまだ読んだことのない作品がいくつも出てくる。
でも、「ライオンと魔女」、「秘密の花園」、「クマのプーさん」「ピーターラビットの絵本」「くまのパディントン」、「時の旅人」「りんご畑のマーティン・ピピン」などなど歴史に残る名作がずらりと並んでいる上、お菓子研究家でもある筆者の作るお菓子のおいしそうなこと!
プラムケーキ、ハニーバナナマフィン、シードケーキ、マーマレード、アップルクランブル、ターキーデイライトなどなど、とっても綺麗な写真とレシピまでついているお菓子は、見ていると生つばがわいてきそうなのだ。
もちろん、作中の舞台も魅力的に紹介されていて、名作を生みだした背景が想像だけでなく、現実のイギリスの大地に根差していることがよくわかった。
イギリスといえば、誰もが認める児童文学の宝庫ともいうべき土地柄。そして、我が身をかえりみても、思うのだけれど、子供の頃読んだ本はその話の面白さもさることながら、登場する食べものやお菓子にも惹きつけられたもの。 そこに登場する食べものは、たとえ身近にあって、よく知っているものとしても、本に描かれると、夢の国に出てくる信じられないほどおいしいものに見えた。
それが、シードケーキとかヨークシャープディングといった、異国的な響きのする知らないものだったら、「ああ、食べてみたいなあ」とどんなに憧れたことでありましょう?
読んで、見て、心の中で旅して、食べて、と幾通りにも楽しめるガイドブックというべきもの。私も久しぶりにバナナブレッド(これって、スゴーク簡単にできるの)くらい作ってみようかな。
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