なんか、ものすごく疲れる。日々しなければいけないことをしただけで、もうグッタリしてしまい、後は横になって休息をとっている。
こんなことでいいのだろうか? (よくないに決まってる)
しかし、体が動かないので、考える力が回復した後は、TVを見たり、読書をするよう心掛けている。
最近、面白かったのは、「群像」。
文芸誌は、学生時代に借りて読んだものの、「何だか、面白くない」とずっと離れていた。しかし、この間、読みたいと思った石沢麻衣の「月の三相」が掲載されているというので、図書館から「群像 2022 5月号」を借りたのだが、とてもスリリングで楽しい読書体験だった。
えっ、文芸誌って、こんなに面白かった? 狙いの「月の三相」は、設定や作品世界が実に異質。架空の街らしき、ドイツの南マンケロートという街が舞台なのだが、ここでは住民は皆、肖像面という自分の顔を面にしたものを所有している。この面を打つための面作家という不思議な職業人もいるのだが、この面と人のアイデンティティーをめぐって、思考の螺旋階段のごとき、物語が延々と続く。会話もほとんどなく、面をめぐって、キャラクターというべきほどのものも持たない、登場人物が影のように立ち現われゆく。
実は、この街には「眠り病」という奇病があり、長い眠りについた人々の顔を面に作り上げた「眠り顔」という面もあるというから、ややこしい。石沢麻衣の言う、面とはベネチアのカーニバルで使われるような、あるいはかつての西洋画で描かれた寓意としての仮面に近いものらしいのだが、南マインケロートの人々が、なぜ仮面を必要とするかについては、はっきり書かれていない。
面をめぐってのエクリチュールが延々と繰り返される中で、ドイツという国が背負ってきた歴史の影も見え隠れする。
(一般受けしない文学作品だろうけれど)、私には実に、面白かった。しかし、この書き方は、作家というより……。と思い、調べると、やはり、東北大学大学院を出て、今ドイツに在住とある。学者の書く文体に、近いと思った通りだった。
町田康の「日本武尊」も、とてもポップで面白い! 実は、名前だけはよく知っているものの、町田さんの小説を今まで読んだことはなく、エッセイの「スピンクシリーズ」(町田さんが、保護犬である愛犬のスタンダードプードル、スピンクたちとの日々を、楽しく、自虐的につづった、パンクロックなエッセイ!)のファンだっただけなのだが、このヤマトタケル、関西弁丸出しで、ほんま、おもしろいどすわ。
会話が、すでにロックンロールしてる! よし、町田さんの小説を、探しに旅立とう、と決心した秋の終わり。
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