田園城郭都市構想 Ⅷ

2017年01月27日 | 湖と城郭都市

  

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想

 

4.和歌山市都市計画と学園城郭都市

4-2 北部地区計画と実績

北部地域は、背後に和泉山脈、前面には紀の川の雄大な
の流れを目にすることができるエリア。旧集落を基に
した住
宅地もあり、山地の斜面には戸建住宅地もつくら
れ、地域の内外から新たな住民を受け入れてくる。
地域
の北西には和歌山大学があります。まわりには大規模住
宅地や大規模商業施設が立地し、新駅もできるなど「新
しいまち」ができあがっている。
また、地域を東西に走
る粉河加太線は、近年道路の拡幅整備進んでおり、それ
に伴い店舗の集積が進み、まちなみは時間とともに変化
し、にぎわいの景観が形成されつつある。

4-2-1 移りゆく沿道のまちなみ

粉河加太線沿道-粉河加太線は北部地域の東西をつなぐ
重要な道路です。かつては畿内から淡路島を経て四国に
至る、
南海道の一部。つい最近まで、昔の面影を残すま
ちな
みや神社が点在していた。近年、片側1車線の道路
車線になり、歩道も整備されるなど道路整備が進む
につれ、道
路沿いにはお店などが集まり、ずいぶんと様
変わる
地域に育つ子どもたちの「原風景」になるよう
に景観づくりを計画する。

4-2-2 新しい景観 和歌山大学と
                ふじと台周辺

緑がいっぱいで整った建物のある和歌山大学の、北どな
りにあるのが「ふじと台」です。モニュメントがあるな
ど洋風の装いが目を引く一方で、住み心地のよい住宅地
の環境をつくるため、道路沿いの景観はまとまりをもつ
ように設計。すぐ近くに和歌山大学前駅や大型のショッ
ピングモールが完成し、人の動きも大きく変わり「にぎ
わい」という新たな要素が景観に加わる。

和歌山市では、和歌山大学が立地し大規模宅地開発が進
展するふじと台地区への新駅開業に併せて、新駅が本市
北西部地域における交通結節機能を果たし、公共交通利
用環境を充実させることを目的として、和大新駅周辺地
区の整備を促進させている。

① 和歌山大学前駅再整備

北部、和歌山大学の近くで2007から進められていた南海
本線の新駅設置工事が2011年3月に完了し、4月1日より
和歌山大学前駅が供用する。南海本線の和歌山市駅から
大阪方面に約6キロメートルで、紀の川駅と孝子駅の間
に位置。駅舎は橋上駅、切符売り場や改札口、駅務室や
コンコースなど、駅舎の主要部分が線路の上部空間に配
置、線路を跨ぐ通路(自由通路)の中ほどから利用。駅
の設置に係る事業費は、区域の土地所有者で設立した和
歌山市和歌山大学前駅周辺土地区画整理組合が全額を負
担し、市や県、そして国は、区画整理組合に補助金を交
付することで事業を推進。

駅の東西は線路をまたぐ形で設置された自由通路で結ば
れ、
鉄道を利用しない人でも通行できる。通路幅員は6
メートル、線路の上空を横断する部分では、南側のほぼ
全面を窓としているため、明るく、ゆったりとした開放
的な歩行者空間。また西側の階段横にはエレベーターを
併設、車椅子などでも容易に利用できる。この自由通路
は、鉄道施設の駅舎と一体構造で、市が管理。



② 学園城郭都市計画

ふじと台(ふじとだい)は、和歌山県和歌山市北部貴志
地区のニュータウン。浅井建設グループの西日本ニュー
タウン開発株式会社が学園城郭都市として開発。計画人
口は6,500世帯・3万人以上。総開発予定区域は 240ヘク
タール。現在は約1,400世帯が居住している(2012年9月
現在)。

ヨーロッパの中世につくられた森に囲まれた城郭都市を
コンセプトとして設計されている。城郭としての機能と
して、入口を3
カ所に制限した設計となっている。現在
は国道26号からの入口である南入口と市道中平井線から
の入口である北入口が供用されており、南入口には2006
年5月に中世ヨーロッパの城門をイメージしたゲートが
設けられ、ロダンの考える人をモチーフにした高さ4メ
ートルのブロンズ像がモニュメントとして設置。
また隣
接して和歌山大学がある。

 

大手ハウスメーカーと地元ハウスメーカーの合計35社が
参画、住宅開発を行っている。内訳は、和歌山住宅振興
会に属する9社、ふじと台提携会社に属する23社、大阪
ふじと会に属する3社に分類されている。これら35社以
外の工務店や建設会社・住宅会社ではこの地に住宅を建
設することができない(2012年(平成24年)9月末現在)。



                                     この項つづく

【エピソード】

 
 

【脚注及びリンク】
-----------------------:-------------------------------   

  1. 田園都市 Wikipedia
  2. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  3. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  4. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  5. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  6. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  7. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  8. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  9. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  10. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  11. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  12. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  13. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  14. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  15. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  16. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  17. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  18. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  19. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  20. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  21. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  22. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  23. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  24. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  25. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  26. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  27. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  28. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  29. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  30. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  31. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  32. 彦根市立図書館|簡易検索
  33. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  34. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  35. アウガ Wikipedia
  36. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  37. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  38. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー
  39. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河北新
    2016.01.28
      

 ---------------------;-------------------------