田園城郭都市構想 24

2017年02月23日 | 湖と城郭都市

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
.日本型田園都市構想
4.和歌山市都市計画と学園城郭都市
5.近代ニュータウンの系譜
       -理想都市像の変遷-
6.世界遺産登録に向けた取り組み


7.街道と湖上交通と都市形成
7-1 稲部遺跡と歴史背景

 

16日、彦根市は、弥生時代後期から古墳時代中期(2~
5世紀)時代の大規模な遺構が見つかった彦根市稲部町か
ら彦富町にかけての稲部遺跡を保存するため、彦根市は当
初予定していた道路計画を見直す。今後は道路を含めた稲
枝駅西口開発の早期実現を目指す地元側との調整が必要と
する。
 

17日、同市は稲部遺跡の国の史跡指定を目指すと発表。
市教委文化財課では発掘中の稲部遺跡のうち、重要な遺構
部分の範囲確認を本年度に実施。範囲確認後に国の史跡指
定を受けて、保存整備を行う予定。

市はまた稲部遺跡の保存に伴い、稲枝駅西口の道路計画の
見直しを決定。当初は稲部本庄線と芹橋彦富線をT字路型
に合流させ、稲枝駅につなげる予定だったが、稲部遺跡を
避ける形で新たな路線を築くことになり、総延長も約2百
㍍延びる。

この遺跡は、弥生時代末期から古墳時代初期にかけて、鉄
製の武器や工具を作っていた当時の国内最大規模鉄器生
産センタ
だった可能性がある遺構が発見。また古墳時代前
期の巨大な倉庫が建っていたとされる建物跡も見つかり、
当時の物流拠点の中心地だったことが判明する。これらか
ら、稲部遺跡の集落は弥生時代後期から古墳時代中期まで
約400年間続き、3世紀前半の邪馬台国時代には最盛期
を迎え、当時の倭の国にあった約330のクニの1つに数

えられる重要な遺跡として全国的に注目されている。

そこで、疑問になるのは原料の鉄鉱石・砂鉄(平安時代に
砂鉄に一本化する)をどこから調達してきたかと言う点。
弥生時代後期には需給ギャップにより朝鮮半島に依存して
いたという見方が主流、そこで、近江の製鉄技術は渡来人
がもたらしたと考えられているが、朝鮮半島に先立つ事例
はなく、その由来については様々な見方があり、製鉄は当
時の朝鮮半島や中国大陸でも先端技術、機密扱いで、外に
漏れることはなかった故、国内・畿内で調達され、独自に
技術開発されてきたとする見方があるなかでの、稲部遺跡
の発見である(「鉄鉱石の採掘地と製鉄遺跡の関係につい
ての試論―滋賀県の事例を中心に―」注2)。



7-2 湖上交通史

彦根市と街道史についてはすでに、「城郭都市の設計史」
などで触れており、必要に限り記載していくことし、ここ
では、用田政晴 著「信長 船づくりの誤算―湖上交通史
の再検討」注3)を参考に湖上交通と都市形成として記述す
る。

7-2-1 人の移動

全国的に見ると丸木舟の初現は、長崎県伊水力遺跡で縄文
時代早期末(六千年ほど前)、縄文時代前期には、若狭の
鳥浜貝塚でも丸木舟が出土。このころは、全国的に丸木舟
の出土例か増え、琵琶湖でも、4遺跡20例をはるかに越
える全国一の出土例を誇る琵琶湖の丸木舟で、縄文時代後
期以前(約四万年前)のものは知られていない。

彦根市松原内湖遺跡では、内湖のさらに奥まった入り江で
12隻の丸木舟が発見されている。一つの集落には、ある
程度の数の丸木舟があったとされる。こうした丸木舟は、
波が穏やかだと時速3.6キロメートルで航行が可能である
という実験結果もある。また、製作途中の丸木舟とすでに
完成していた丸木舟が、松原内訓遺跡では近接し見つかっ
ている。琵琶湖のほとんどの丸木舟は杉で作られているに
もかかわらず、この未製品は桜の木材が用いられているこ
とや、製作中に舟の中はとがら切断されていることなとが
ら、丸木舟であることを疑問視する向きもあるが、木を火
で焦がしながら削られている。

                    この項つづく




 

【エピソード】

● 松原内湖遺跡

 Sep. 18, 2016

彦根市の北にはかつて松原内湖が広がり、米原町の入江内
湖と今の矢倉川で一部がつながっていた。戦後の干拓事業
でその多くは水田になってしまったが、旧松原内湖の東側
湖岸付近は、山に囲まれた内湖で、さらに湾のような地形
であった。このかつての湾に面した湖岸付近が松原内湖遺
跡として知られ、下水道東北部浄化センター建設に先立ち、
1985年から87年にわたって発掘調査が実施。その結
果、旧内湖の湖岸およびその沖のヨシが堆積してできた厚
腐植土層から、縄文時代後期~古墳時代を中心としたた
くさん
の遺物が出土。この層は、一般にスクモと呼んでい
るが、こ
れは非常に軟弱な層で水分をたくさん含んでいる。

近くでバックボーなどの重機が作業していると地面がゆら

ゆらとゆっくり揺れるほどである。それだけに木製品の保
存状況は非常に良かった。余談になるが、今は下水処理場
であるが、天保年間以降の彦根藩の火薬庫跡も発掘されて
いる。中でも12隻見つかった縄文時代後期を中心とする
丸木舟は、琵琶湖周辺での遺跡の中では最も多い出土量。
縄文時代晩期の四弦琴、弥生時代の小銅鐸として使われた
銅織、古墳時代の木製短甲、蓋、奈良時代の巻胎漆器をは
じめ多くの木裂品は、注目を集める。

【脚注及びリンク】

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  1. 古代の都支えた湖畔の製鉄炉 古きを歩けば(49)源
    内峠遺跡 2013.03.12 NIKKE STYLE
  2. 鉄鉱石の採掘地と製鉄遺跡の関係についての試論―
    滋賀県の事例を中心に―」(
    大道和人 滋賀県文化財
    保護協会紀要 No.9 2012.06.08
  3. 淡海文庫 「信長 船づくりの誤算―湖上交通史の再
    検討」用田 政晴【著】1997.07.20
  4. 世界遺産の保全と住民生活-「白川郷」を事例とし
    て-」才津祐美子、福岡工業大学、環境社会学研究
    (12)、 23-40、2006-10-31)
  5. NPO法人 彦根景観フォーラム 第4回世界遺産を目
    指す彦根の課題
     2008.02.29
  6. 世界遺産所在自治体の保全と観光活用に関する取組
    事例集 国交省観光庁 2014.10.24
  7. 世界遺産登録による経済波及効果の分析 えひめ地
    域政策研究センタ 2007.01.11
  8. 世界遺産登録と持続可能な観光地づくりに関する一
    考察『地域政策研究』(高崎経済大学地域政策学会)
    新井直樹 第11巻,第2号,2008年9月
  9. 世界遺産を活用した観光振興のあり方に関する研究
    運輸政策研究所 第35回 研究報告会 小室充弘
    2015.08.05
  10. 世界遺産登録に向けた取り組み(2014年度)彦根市
  11. 世界遺産に登録されるまで|世界遺産検定 NPO法
    人 世界遺産アカデミー
  12. 高句麗平壌城の都市形態と設計 閔徳植、 国際日本
    文化研究センター学術リポジトリ
  13. 松本市の都市計画 松本市
  14. ひこにゃんがいてもダメ? 彦根城はなぜ世界遺産
    になれないのか 週刊朝日 2013年6月28日号
  15. 利用者が“便利”だと思えるパーク&ライド ECO
    JAPAN インタビュー前編 2007.03.02
  16. 利用者が“便利”だと思えるパーク&ライド ECO
    JAPAN インタビュー後編 2007.03.09
  17. 第1回 ポストケインズ派経済学とは何か 佐々
    木啓明 2011.10.05
  18. 2回 ポストケインズ派経済学とは何か 佐々
    木啓明 2011.10.07
  19. 第3回 ポストケインズ派経済学とは何か 佐々
    木啓明 2011.10.19
  20. 第4回 ポストケインズ派経済学とは何か 佐々
    木啓明 2011.10.26
  21. 第8次彦根市交通安全計画 2012,03.22
  22. Core Strategy (2013) - Milton Keynes Council
  23. "The New Towns: There Problems and the Future
    Department for Communities and Local Government,
    2002.11.21
  24. 日本エシカル推進協議会Japan Ethical Initiative-
    エシカル日本
  25. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  26. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  27. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  28. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  29. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  30. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  31. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  32. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  33. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  34. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  35. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  36. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  37. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 03
  38. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  39. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市 橋梁長寿
    命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  40. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  41. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  42. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  43. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  44. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  45. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  46. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  47. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  48. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  49. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  50. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  51. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  52. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  53. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  54. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  55. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  56. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  57. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  58. 彦根市立図書館|簡易検索
  59. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  60. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と展望
    2014.11.26
  61. アウガ Wikipedia
  62. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  63. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  64. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー
  65. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河北
    新聞 2016.01.28
     
        

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