キツツキのドラミング

思い付くまま, 気が付くまま・・

『竹取の翁』はさて何歳?

2014-06-07 13:54:57 | Weblog

東海道に面して冨塚八幡宮(延久4年、1072年に冨塚山中に創建)がある。孫の初宮参り(産土参り=うぶすな)で参詣、宮司に祈祷をお願いした。社殿に登る左側に、嘉永2年(1849年)に建てられた『鎌倉を いきて出でけむ はつ松魚(がつお)』『芭蕉翁』と刻まれた松尾芭蕉の句碑が建っている。この『翁』が気になった。広辞苑では①男の老人。おきな。②男の老人の敬称。「蕉翁・福沢翁」とある。芭蕉は寛永21年生~元禄7年没(1644~1694)だから50歳で亡くなっている。門弟の森川許六が描いた肖像画が芭蕉を忠実に描き、晩年の顔立ちだろうと言う。62歳下の蕪村の描いた奥の細道図の芭蕉はかなり老けている。敬意を込めて『芭蕉翁』としたのだろうが、寿命が短かったので40歳越せば『年寄り』と見られたのだろう。シェイクスピア(1564~1616=52歳)も『沙翁』と表現したが最近お目に掛からない。『福沢翁』の福沢諭吉(1834~1901=67歳)。芭蕉が尊敬していた杜甫(712~770=58歳)『古希』の出典、詩『曲江』「・・酒債尋常行處有 人生七十古来稀・・」とあるが、<この人生70歳まで長生きすることは滅多にない、今のうちに楽しんでおきたい>まるで自棄酒だ。詳細は判らぬが江戸時代の平均寿命は40歳位で昭和20年頃でも50歳位だった。”船頭さん”という唱歌は昭和16年(1941)だ。♪ 村の渡しの 船頭さんは 今年60の お爺さん・・やはりそう長生きではなかったようだ。"今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。・・・”の『竹取物語』(成立推定年900年頃、作者不詳)の『翁』は、さて何歳だっただろうか?現在日本は世界一の長寿国になって平均で84歳、男80歳、女87歳だそうだ。健康で長生きするのは結構だが、ただ長生きを一概に『メデタイ』と言っていられぬ現象が起きている。医療、介護費の増加は現役世代の負担を増やす一方だ。長生きすれば当然認知症になるのも増える。俳諧ならぬ徘徊する認知症の行方不明者に関する集計を2012年から実施して9607人だった。13年は1万322人で1万88人は昨年中に警察の捜索などで見付かったが今年4月30日時点で151人の所在不明だとは警察庁の発表だ。警察といえば高齢者の万引きも年々増加の一途だ。交通事故の加害者も被害者も増えている。高速道を逆走するのも現れた。これは避けようがない、恐ろしい限りだ。残念だが”亀の甲より年の劫”は昔の諺のようだ。現在はどうも”長生きは恥じ多し”だ。”長生きは社会の迷惑”にならぬように願いたい。写真のカメはミシシッピアカミミガメ。輸入してペットショップや縁日の屋台で『ミドリガメ』(子ガメの時は美しい緑色をしている)として売られて、大きくなり手に負えなくなり無責任に川や池などに放すので今やカメの殆どがミシシッピアカミミガメになった。日本在来種のイシガメはこれにやられて2012年準絶滅危惧種に指定。輸入禁止になる予定だそうだ。お役所仕事、何事も決定が遅い。