草加市は、森林面積が少なく市街化が進んでいる地域でありながら、森林環境譲与税を交付されています。これは、人口といった要素が配分基準に含まれているためです。しかし、森林整備への直接的な活用が難しいという現状もあり、その使い道や制度の見直しについて議論が求められています。
■6年で1億2942万円が配分される
森林整備などの目的税として、2024年度から森林環境税が始まりました。年間1人1千円が住民税に上乗せされます。国で集めた森林環境税は、全国の自治体に森林整備などの財源「森林環境贈与税」として配られます。
森林環境税の導入に先立ち、2019年度より国から自治体に森林環境譲与税の配分が始まっています。
これまで、草加市に交付された森林環境贈与税は、2019年度の約932万円から年々増えて、2024年度(予算)は2840万円が交付される見込みです。6年間で合計1億2942万円にもなります。
また、草加市では森林環境贈与税基金を創設し、2022年度までの交付合計7505万円をすべて基金に積み立てました。
■備品購入などが主な使い道
積み立てた森林環境贈与税の使い道として、2023年度は1803万円(決算見込み)を、子育て情報スポットプチみっけのおもちゃ、松原児童青少年交流センターミラトンのベンチ製作原材料費、家庭児童相談室や児童発達支援センターあおば学園の備品購入などに活用しました。
2024年度は、基金取り崩しなどにより合計5692万円を、SDGs啓発関係費用や小山児童クラブ建設(うち木材活用部分)、吉町五丁目緑地整備、奥日光自然の家運営・維持管理費として使う見込みです。
これにより、2024年度末の森林環境贈与税基金残高は5447万円となる見通しです。
■森林環境税の実態と課題
森林環境贈与税の配分額は、①私有林・人工林の面積、②林業就業者数、③人口の3つの割合から算出されます。
そのため、草加市のように面積の9割が市街化区域の自治体でも、人口25万人都市として森林環境贈与税が国から配分されています。山林なども無い草加市では、その使い道も森林整備への直接的な活用とは言えない状況です。
財政状況が厳しい草加市にとって、もらえるならありがたいです。しかし、日本全体の森林整備への直接的な活用という大きな視点ではやはり違和感があります。
国として、林業の人手不足など根本的な課題への施策や、森林環境税・森林環境贈与税の制度の見直し、そして、自治体での効果的な活用方法や森林整備、市民参加型の事業の推進など、さらなる改善の余地があります。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます