草加市議会議員の佐藤憲和は、草加市議会12月定例会において、草加市の政策形成及び財政等について質問を行いました。そのうち事業総点検に関わる部分をまとめました。
1. 事業総点検における廃止事業
質問
- 今年度実施された事業総点検「廃止事業」とされた事業、現状での予算規模、すでに廃止予定であった事業は?
答弁要旨
- 今回の事業総点検で「委託料」「負担金、補助及び交付金」「扶助費」の3つの予算費目を対象に708の事業内容を評価
- その結果、33の個別事業が「事業廃止・事業終了」と評価された
- これらの事業の予算規模は、今年3月の点検作業時点の計画額で約8,000万円
- すでに廃止予定であった主な事業は、新里防災広場拡張用地整備事業、児童発達支援センター運営管理事業など(下資料参照)
2. 事業規模拡大とされた事業
質問
- 事業規模拡大とされた事業、現状での予算規模は?
答弁要旨
- 「事業拡大」と評価された事業の予算規模は、同じく3月時点の計画額で約82億円
- これらの事業は法定受託事務ではない
- 主なものは、ふるさと納税推進事業、障害者相談支援事業、産婦健康診査等事業、水路清掃等管理事業など(下資料参照)
- これらの事業は、歳入増加につながるものや、福祉・保健分野に関するものが中心
3. 事業総点検結果の反映
質問
- 事業総点検の結果が今後の政策形成や予算編成にどのように反映されるのか?具体的なプロセスや指標は?
答弁要旨
- 今回の事業総点検で、特に「要改善」と評価された222の個別事業について、次年度予算での改善に向けた検討・調整を行った
- 8月と10月には、各部局室で事業の見直し検討と課題整理を行い、次年度の予算編成作業と並行して検討を継続
- 今後のプロセスは、早期に見直しが見込まれるものがある一方で、上位計画との整合や関係団体との調整、市としての方針決定が必要なものもある
- そのため、実施スケジュールを令和7年度当初、令和7年度中、令和8年度以降の3段階に分け、具体的な見直しに向けた検討を進めていく予定
4. 事業総点検の今後
質問
- 事業総点検は継続的に実施するのか?今回限りなのか?今後の議論の考えについて
答弁要旨
- 今回の事業総点検は個別事業単位で実施し、より詳細に事業の特徴を把握できた
- 今後の実施は、今回の成果を踏まえ、より一層の精査を念頭に置き予算編成作業を進めるとともに、対象とならなかった費目への対応も含め、行政評価や予算編成の整理統合を視野に検討を進める
5. 政策形成・財政運営における手段と目的の逆転
質問
- 草加市をこういうまちにしたいとの方針があり、その施策を展開するための財政議論を深めていくことが重要に感じる。最小の経費で最大の効果を目指す根底には、住民の福祉増進がある。まちづくりの目標に向かって施策を展開する過程の中で、最小の経費で最大の効果を目指すべきである。しかし、今の草加市の政策形成や財政運営において、手段と目的が逆転しているように感じるが、市の考えは?
答弁
- 行政運営の基本は、あるべきまちの将来像に向けた計画的な事務事業の推進であり、将来への希望が持てるよう取り組んでいくことが重要と考えている。このため、第四次草加市総合振興計画に基づく施策を推進するとともに、教育・福祉・子育て支援をはじめとした市民生活を支える行政サービスを継続的・安定的に提供していく必要がある。そのため、財政運営のみならず、政策形成の一環として、事業総点検を通じて各事業を見つめ直し、それぞれの課題や改善の必要性について、各部局室において検証している。
6. 財政再建と市民サービスのバランス
質問
- 財政再建と市民サービスのバランスをどこに置くかが、まさに首長の重要な役割であり、手腕が問われる。目先の財政難を乗り越えるという、いわば「財政削減」を唯一の指標とするような定量的評価から捉えれば、今の政策形成や財政運営は正解なのかもしれない。しかし、このまちで暮らしている市民や地域経済、長期的なまちづくりの視点から捉えたらどのようになるか。このまちに住みたい・住み続けたいと思えるだろうか。地域経済の発展の芽は広がっていくだろうか。急激にそのバランスが崩れていっている。目先の財政難を乗り越えるという視点と長期的なまちづくりの視点について、どのようにバランスを取っていくのか市長の見解を伺う。
答弁
- 今後は、公民連携の強化・推進とともに、草加に息づく人・場所・施設・つながりなどの既存の資源・財産を活用し、その価値を最大化させる取組などを進めていくことで、市民の皆様に「このまちに住み続けたい」、「このまちで子どもを育てたい」と思っていただけるよう、長期的なまちづくりの視点に立ちながら、財政再建と市民サービスのバランスの取れた市政運営を進めてまいりたいと考えている。
今回の質問を通して、草加市の財政状況と今後の事業展開における課題を浮き彫りにしました。廃止事業、拡大事業、そして継続事業の内容から、市の重点施策が見えてきます。しかし、財政再建と市民サービスのバランス、手段と目的の逆転など、重要な課題も浮き彫りになりました。山積する課題解決には、市民との対話や情報公開が不可欠です。事業総点検後の草加市の次の一手に注目していきたいと思います。
【資料:事業総点検】
■事業廃止と評価された事業
- 新里防災広場拡張用地整備事業(整備完了)
- 企業立地促進奨励金事業(県補助を活用し、既存企業への補助のみに)
- おくのほそ道草加松原国際俳句大会・俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会
- 社会福祉活動センター管理運営委託(利用形態見直しや廃止含め検討)
- 高年者日常生活用具給付(火災警報器等の給付)
- 高年者及び障害者住宅改善整備資金融資
- 草加市金婚式事業助成金交付
- 居宅改善整備補助等事業(利用者がなく他制度活用が可能であり廃止検討)
- 広報そうか特集号事業(デジタル活用等の検討、特集号の廃止検討)
- 児童発達支援センター運営管理事業
- 消費者啓発事業
- 施設維持管理・運営事業(モニュメント噴水)
- 奥日光自然の家管理運営事業(施設廃止を含め検討)
■事業拡大と評価された事業
- 電子申請システム
- 統合認証システム(PCセキュリティ強化)
- 職員採用試験事務
- ふるさと納税推進事業
- 市民参画型障がい者社会参加促進等創発事業
- 産婦健康診査等事業
- 妊婦健康診査事業
- 民間保育所等運営事業
- 排水施設維持管理事業
- 公共下水道事業会計繰出金(雨水整備分)
- 水路清掃等管理事業
- 子ども読書活動推進事業
- 障がい者入浴サービス事業 ※中長期的に検討
- 障害者相談支援事業 ※中長期的に検討
- 後期高齢者医療関係4事業 ※全て中長期的に検討
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