今から22年前、考古学上の大事件=旧石器発掘捏造事件が発覚しました。考古学にそれほど関心がない人も、記憶されていることと思います。
日本に人間が住んでいた=住み始めた最初の時代は、これまでの発掘調査やその後の研究から「旧石器時代後期」が定説とされていました。もし、それ以上の前の時代=旧石器時代中期、前期の遺物や遺跡が発見されたとしたら、それこそ世紀の大発見!になります。
日本に人間が住んでいた=住み始めた最初の時代は、これまでの発掘調査やその後の研究から「旧石器時代後期」が定説とされていました。もし、それ以上の前の時代=旧石器時代中期、前期の遺物や遺跡が発見されたとしたら、それこそ世紀の大発見!になります。
1970年(昭和45年)代半ばから、次から次へと年代をさかのぼる大発見が続きました。日本に住み着いた人間は、岩宿遺跡の関東ローム層から発見された遺物の年代鑑定から3.5万年前とされていましたが、それがナント!
70万年前!
にまでさかのぼることになったのです。それも、日本には世界の同年代と比較しても類のない文化があったことが発掘により実証されたのです。
ところがー これは捏造だったことがわかったのです。発掘調査に携わっていた考古学研究者が、自ら事前に埋設した石器を自ら掘り出して、発見した!と。彼は、民間研究団体「東北旧石器研究所」の副理事長の職にありました。
捏造発覚までの約25年間、周囲の研究者が期待するような石器を、期待されるような古い年代の地層=ローム層から次々に掘り出しました。自分の地位や名誉のためにも。そのためグループにとって欠かせない人物として評価され、後に「神の手」(=ゴットハンド)と呼ばれ、周囲から期待されました。
1970年代半ばから、各地の遺跡で旧石器時代の遺物が続けて発見され、不信に思う人も当然現れ、現場証拠!を写真でーということになりました。ある筋の情報から、毎日新聞が動き、遂に石器を事前に埋めている姿を 2000年11/5の毎日新聞の朝刊にスクープされ、不正が発覚されました。
これにより日本の旧石器時代研究に疑義が生じ、中学校・高等学校の歴史教科書はもとより大学入試にも影響がありました。自白から、「発見」された遺物の9割方は、彼自身の手によって表面採集されたり発掘されたもので、例え他の人が発掘したものでも、彼があらかじめ仕込んでおいたものとされています。彼が掘り出して見せたり、埋められていた石器は、自らが事前に別の遺跡の踏査を行って集めた”縄文時代”の石器がほとんどであったとのことです。捏造された「偽遺跡」は、宮城県を中心とし、一部北海道や南関東までにも及びました。