沖縄市が計画を進める多目的アリーナの外観イメージ図
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2023年のバスケットボールワールドカップ(W杯)予選が、沖縄県沖縄市が計画を進める1万人規模の多目的アリーナを会場に行われることが決まった。関係者は沖縄県内のさらなる“バスケ熱”の高まりに期待する。世界で最も競技人口が多いスポーツの一つであるバスケのW杯開催は、世界中で「OKINAWA」の知名度を上げる経済的効果も期待できる。
一方、本番に向けては国際大会のノウハウや会場周辺の交通インフラなど課題もあり、開催には関係者の強い連携が欠かせない。
競技レベルの向上
国内では昨年、待望のプロバスケリーグ「Bリーグ」が開幕した。一部リーグに参戦する琉球ゴールデンキングスは今季目下9連勝中で、プロを夢見る子どもたちを大いに魅了している。NBAなどの選手がW杯で来沖すれば、子どもたちにさらに刺激を与えることは間違いない。
県バスケットボール協会の日越延利専務理事は「間違いなく沖縄の競技レベル向上に寄与する」と断言。大会時の日本代表に県出身選手を入れることを視野に「キングスと一緒になってU-15や18などのカテゴリをつくり、中高生を強化したい」と力を込める。
新たな客層
バスケはNBAがある米国やカナダはもちろん、世界トップクラスの実力を持つ国が多い欧州や南米などでも高い人気を誇る。
沖縄観光は近年、外国人客が右肩上がりに増えるが、大半をアジア客が占める。W杯の開催は、欧州や中南米など世界各地からの誘客が期待でき、新たな客層を獲得する好機にもなり得る。日本バスケットボール協会(JBA)の田中道博専務理事は経済効果は少なく見積もって60億円と見る。
沖縄観光コンベンションビューローの平良朝敬会長は「(開催決定で)観光地としての沖縄のポテンシャルが上がった。世界に『観光地・沖縄』を発信するいい機会だ」と強調する。ホテルなどの受け入れ体制については「沖縄市の20~30キロ圏内には多くのホテルが建つ。世界基準では十分に近い」と自信を示す。
協力体制
会場となる沖縄市のアリーナは、20年の稼働を予定する。FIBAは完成が「最低条件」とするが、建設を巡っては採算性の確保や周辺の渋滞悪化などの懸念から市議会で依然反対意見がくすぶる。今後も収支計画の在り方や建設資金の調達方法など、丁寧が議論が求められる。
完成から3年後の開催のため、運営ノウハウをいかに蓄積するかも問われる。市は本番に向けさまざまな大会を誘致し、備える構えだ。
田中専務理事は「日本は世界でも極めて運営能力が高い。これまでのノウハウを沖縄のバスケ協会と連携し取り組めば十分対応できる」と見る。
アリーナが立地予定のコザ運動公園では、駐車場不足や周辺の渋滞などが課題に挙げられる。市は完成までに約千台の駐車場を増やすほか、今年8月から公共交通の利便性を高める議論を始めている。
沖縄市の上田紘嗣副市長は「JBAを中心に市や県、経済界が各持ち場で力を発揮し、協力して進めていきたい」と力を込める。アリーナの活用で「沖縄市だけでなく、沖縄全体の観光を盛り上げたい」と腕をまくった。(長嶺真輝)