「耳が不自由な親子の役に立つものを作りたい」。普天間小6年の新垣聖咲(きさき)さん(11)は11月中旬、聴覚障がいがある親子のコミュニケーションを支えるiPhone(アイフォーン)アプリを完成させた。
5カ月前までプログラミングの経験はゼロ。自分の殻を破りたいという決意、大好きな「いっこおばちゃん」への思いが実を結んだ。
17日に西原町であるイベント「LEAP DAY」(リープ・デー)の登壇者の一人としてアプリを発表する。
アプリ名は「スマイルキャッチ」。(1)親が聴覚障がいで子どもは聞こえる(2)子どもが聴覚障がいで親は聞こえる―の2パターンを想定した。
幼い子とのコミュニケーションを支えることを意識し、分かりやすいイラストで「伝えたいこと」や機能を表現した。音声機能も付いている。
アイデアのきっかけは、祖母の妹にあたる大叔母の「いっこおばちゃん」だ。幼い頃の高熱が原因で肢体や言語に障がいがある大叔母と交流で、言語によるコミュニケーションの難しさを感じてきた。
親に聴覚障がいがあると、「子どもが泣いていても気づけない」「言葉を教えられない」などの苦労があることも知った。そこで思い付いたのがスマホの活用だった。「人の役に立つアプリを作りたい」。アイコンの原画も自分で描き、音声も吹き込んだ。
プログラミング未経験だった新垣さんの挑戦を支えたのは、人材育成プログラム「CA―Frogs キッズプログラマー特待生」制度。学校で配られた募集チラシを見て「新しいことに挑戦したい」と応募。特待生に選ばれ7月からスタッフのサポートを受けながらITスキルを磨いた。
アプリ制作を始めてから、コミュニケーションの難しさと大切さを今まで以上に感じるようになり、家族と会話する時間を意識して増やすようになったという。「聴覚障がいの人だけでなく、子どもとコミュニケーションを深めたい人に使ってほしい」と願う。
同アプリは近く、ダウンロードサービスに載せられるよう申請を行う予定だ。
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新垣さんがアプリを発表する「LEAP DAY」は17日午前10時半~午後6時まで、西原町のさわふじ未来ホールで開かれる。
問い合わせはRyukyufrogs運営事務局(電話)050―3757―3915。
◆新垣さんらキッズプログラマー特待生3人のインタビューは、ウェブマガジン「琉球新報Style」に掲載している。